株式会社ライフスケッチ
人生で多くは訪れることのないマイホームを建てる機会。簡単に替えがきくものではないため、できるならば注文住宅で細部までこだわった家にしたいもの。
そこで今回は、奈良を中心に関西エリアで事業を展開し、住む人の生活スタイルに合わせた家づくりで定評のある工務店「ライフスケッチ」の設計を担当しているグループ会社の「and design株式会社」代表取締役社長 金井 亮さんにインタビューを実施。
注文住宅を手掛ける際の考え方や特色となるポイントを中心に、普段はあまり語られることのないデメリットとなる部分についてもお話を伺い、実際の建築事例も2邸ご紹介いただいた。
目次
取材先情報
and design株式会社
(KITANO HOLDINGS内グループ会社)
代表取締役社長 金井 亮さん
神戸大学工学部建設学科を卒業後、株式会社竹中工務店に入社。教育施設、病院、工場、事務所などの施工管理や研究開発、実施設計業務を経験。
2003年に株式会社竹中工務店を退社。株式会社安井工務店 専務取締役、ツナグ設計の設立などを経て2022年にand design株式会社を設立、代表取締役社長に就任。
CASE
それぞれの暮らし方に即した土地で、デザインにもこだわった家づくりができることで定評のあるライフスケッチ。その自由度の高さを生かして建てられた邸宅の実例を2邸ご紹介。どちらも建売住宅などではまずみられない、個性の際立つ仕上がりだ。
邸宅実例 Ⅰ
【奈良県奈良市M様の邸宅】
施工期間:11カ月
構造:木造
間取り:3階建て 5LDK+ライブラリ、パウダールーム
世帯人数:5人家族(夫婦、子ども3人)
土地面積:約278平米(約84坪)
延床面積:約165平米(約50坪)
子供達が思春期を迎えるタイミングで、部屋を分けることにしたM様。
数年後には子どもたちも成人し、ファミリーが成熟期に入るということを踏まえ、家族全員が集まって暮らすというよりも、プライバシーに配慮することや、スペースの用途が変わってもフレキシブルに対応できるようにすることなどを意識した家づくりが進められた。
構成は三層構造とし、1階は各自の居室、2階はリビングを中心とした生活の場、3階は屋上とあわせて多目的に使えるようにゾーニング。法的な制限への対応もあり、各フロアを奥へ向かって段々になるように構成。 奥行きを創出し、プライバシーを確保した。
LDK のスペースは2階に配置。広々としたリビングはテラスと連続性のあるつくりで、外からの目線を遮断しながらも開放的な空間となっている。
この邸宅の特徴をよく表しているのがリビングの一角に設けた3畳ほどのスペース。囲いとなる壁の上部はオープンにしてあり、半個室のような構造。
現在は奥様のパウダールームとして利用しているが、リビングのなかのプライベート空間として家族の成長にあわせてフレキシブルに対応できる。
また、リビング自体の使い方については、要点は押さえながらも、ある程度の「遊び」を設けておいたのがポイント。「実際に住んでからアジャストできてよかった」と施主からも高評価。
さらに、客間を想定した1室がある3階も、屋上を含めて多用途に使用可能。ジャグジーも備わっており、テントサウナなども楽しめる。
邸宅実例 Ⅱ
【奈良県奈良市O様の邸宅】
施工期間:11カ月
構造:木造
間取り:2階建て 4LDK
世帯人数:4人家族(夫婦、子ども2人)
土地面積:約300平米(約91坪)
延床面積:約132平米(約40坪)
過去にライフスケッチで家づくりをされた方からの紹介で声を掛けていただいたO様。
土地の購入を含めての依頼だったが、指定のエリアは高低差が大きく、候補地はいずれも擁壁工事が必要。数カ所を吟味しながら選び抜くまでに3ヶ月程度要したうえに、その土地での配置計画も重要となったため、住居のプランニングよりも時間を掛けて慎重に検討が重ねられた。
いくつか挙げられたリクエストの1つにあったのが、「玄関ホール自体は広くなくても連続した吹き抜けに階段を設け、家に入ったときの広がりを感じさせたい」というもの。あわせて明るい空間へのこだわりもあったため、階段上部の窓からの光に加え、地窓を設けて低い位置からの光も取り入れられるようにプランニング。
また、幼い子どものいる家庭では注意が必要だが、十分に理解いただいたうえでストリップ階段を採用し、「明るく広い家」という第一印象を与えられるスペースに仕上げられた。
また、広さを強調する工夫はリビングでもみられる。ポイントとなるのは勾配天井。リビングの入口の天井高は最低クラスの2.1mという高さだが、リビングの奥側へ向けて1m程度高くなっていくようにし、上部に採光用の窓を設置。抑えられていた視界が一気にひらけることによって高さ方向への広がりを印象付けるとともに、空調効率もより好ましくなるという2重のメリットを生む。 また、リビングを中心とした1階にはどの部屋にも面した中庭を配置。部屋にいながら植栽が目に入ることで安らぎをもたらすとともに、採光やメンテナンス時の出入りにも役立っている。
CONCEPT
ライフスケッチは、奈良県で95年以上にわたって事業を展開しているKITANO HOLDINGS株式会社において、建築や不動産事業を担当。設計を担う同グループ内の and design株式会社とともに自由設計である注文住宅を手掛けている。
その特色としてまず挙げられるのは、家族の成長にあわせてフレキシブルに対応できる家づくり。ときにはスペースの用途にある程度の幅をもたせた提案も実施。実際に暮らしながら、そのときにもっとも適した使い方にアジャストさせることが可能。
そのほか、並行して携わっている店舗やオフィスの設計からヒントを得て、そのエッセンスを住宅に取り入れる提案も得意。
ユニークでありながらも実用的な工夫が毎日の暮らしに彩りをもたらす。
ライフスケッチが手掛けるハイクラス向け邸宅のこだわりとして、金井さんからまず語られたのは「余暇の過ごし方なども加味した『暮らす』場として、それぞれのスタイルに合わせた家づくりを行う」ということだった。
金井さん:ハイクラスの邸宅では特に『ただ住むだけの家』ではなく、ちょっとしたパーティの場として使用したり、ホームジムやルームシアターを設けたりと、余暇を過ごす場としての役割も重視して家づくりをされる方が多くなります。
そういった要望は顕在化されているものばかりではありません。
ヒアリングを丁寧に行って潜在的なニーズを探り出したり、これまでのハイクラス邸宅のオーナーからどのような要望があったかなどを振り返ったりしながら、一邸ごとにフィットした提案ができるよう努めています。
また、使用する部材にも当然こだわりますが、単に高級なもの、高品質なものという視点で選ぶのではなく、その部材が持つ意味合いやバックボーンもしっかりと把握し、『なぜその部材でなければならないなのか』を施主に説明。『語れる家』にできるよう心がけています。
2つめのこだわりとしては、提案の質を常に高くキープするために実施している複数回の事前レビューが挙げられた。
金井さん:注文住宅をオーダーされるお客様の要望は十人十色。そのすべてにおいて常にクオリティの高い提案をするために行っているのが、何度かに分けて段階的に行う事前のレビューです。案件によって回数は変わりますが、少なくとも3回は行っています。
レビューで扱う内容はフェーズによって分けており、1回目はヒアリングの内容について、2回目はコンセプトやゾーニングについて、3回目以降はコスト面も含めて提案は本当にこれでよいのかを確認しています。メンバーは、最初の2回はand designのメイン設計士3名で行うことが多く、3回目以降はライフスケッチのスタッフも交えて実施しています。住宅のデザインや設計は、どうしても積み重ねられた個人の経験が反映されるものですが、このレビューを行うことによって属人化されやすい知識やスキルが共有されるので、安定して質の高い提案が行えるようになりますね。
住宅だけでなく、店舗やオフィスといった施設も多く手掛けているライフスケッチとand design。その取扱範囲の広さを生かして、それぞれの良い部分をクロスオーバーさせた提案をすることも珍しくないという。
金井さん:住宅のみを扱うメーカーでは、よほど意識していないと、提案時の発想は住宅というカテゴリーの域を出ないものになってしまうのではないかと思います。その点、私たちは店舗やオフィスなども多く手掛けており、なかにはミシュランの星を獲得しているようなところも存在。そういった日頃の仕事のなかには、注文住宅でいただいたオーダーへのヒントになったり、一般的な家とは異なる魅力を付加できたりするものも散見されるので、良さそうであれば柔軟に提案に取り入れるようにしていますよ。他とは違う、自分のためにつくられた家で暮らすワクワク感がさらに高められるものになっているのではないかと自負しています。
FEATURES
注文住宅の醍醐味の1つ「何でもできる」ことを生かした家づくりで高い評価を得ているライフスケッチ。その自由度以外にも、さまざまな面で個性や特色がみられる。
金井さん: 最初に知っていただきたいのは『デザイン=形』ではないということです。邸宅をデザインするにあたって出発点となるのは、お客様1人1人がそれぞれ持っている新しい家への要望。明確になっていることはほとんどないので、私たちはまず、この潜在的な要望を丁寧なヒアリングによって引き出し、言語化します。言語化ができると、具体的な課題として関係者全員が共通認識を持つことができるようになります。その共通認識が図れてはじめて『コンセプト』をまとめることができ、それに基づいて空間を構成。最後に『木質感を求めている』『無機質なものが好き』といったお客様個人の嗜好をふまえて、ふさわしい素材を選んで形にするようにしています。
金井さん: ハイクラスの住宅となると、あまり予算にシビアにはならないこともありますが、それでも私たちはやはりコストを最適化するように意識して間取りや配置を考えています。なかでも特に差がつくのが、外構に関する費用なので、駐車スペースのとり方などを熟考。高低差のある土地に建てる場合は、残土をいかに出さないようにするかといった点にも頭を使うことが多いですね。
住宅性能、特に断熱性については高い水準での提案を心がけており、基本的に初回はZEHレベルで提案しています。だだし、すべての住宅、すべての部屋でZEHレベルが必要かというとそうではありません。お客様が求めている度合いや立地条件なども加味し、しっかりと説明をして同意が得られれば、局所的に過剰になっている部分は変更するなど、必要十分な性能に留めることも多々あります。
WEAK POINT
ライフスケッチは奈良県を拠点にした比較的小規模のメーカーであるため、その点に由来したデメリットといえる面もみられる。
主体が木材を扱う企業ということもあり、木造住宅は全般的に得意としているが、その一方、鉄骨住宅はやや苦手。
建てること自体に何ら問題はないが、木材での家づくりに強みを持つ故に対応できる人材が少ないのが実情だ。
また、組織が小さめであることから、人海戦術的に最新の工法をすぐに実践したり試したりすることは難しい。
ただし、これらの点は自社の弱い部分として認識しており、いち早く対応できるよう体制を整えている。
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