- 変更日:
- 2024.09.10
一戸建てを建設する際は、雪対策を考慮する必要があります。特に、雪の多い地域は設計段階から雪への備えが必要です。
この記事では、一戸建ての雪対策について以下の点を紹介します。
この記事でわかること
- 一戸建てに雪対策が必要な理由
- 家の雪対策に役立つ設備や道具
- 降雪地域で一戸建てを建てる際のポイント
ぜひ最後までご覧いただき、雪に備えた理想のマイホームを実現してください。
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注文住宅で失敗しないために押さえておきたい「理想のマイホームを建てるコツ」については、こちらの記事もご覧ください。
目次
1.一戸建てに雪対策が必要な理由
豪雪地帯はもとより、雪が降る地域の一戸建て住宅では、雪対策が欠かせません。とりわけ昨今の異常気象で、今までにないほどの雪が降り、交通がマヒしたり転倒してケガをしたりする事例が発生するようになっています。温暖な気候で知られる山梨県でも、2014年には甲府市で114cm、2023年にも20cmの積雪がありました。大雪が降ることはめったにない地域でも、念のために雪対策をしておくのがおすすめです。
雪は集中的に降り積もることがあるため、雪対策を講じていないと思わぬ被害を受けることがあります。雪は見た目よりも重く、屋根からの落雪に当たれば命にもかかわりかねませんし、ドアの前が雪でふさがれて開かなくなるなどの危険性もあります。
雪への対策は、降雪シーズン前に準備しておくことが肝心です。北海道などでは11月ごろから雪がちらつき始めます。天気予報で大雪が降りそうだと知ってからでは、対策が手遅れとなる可能性があります。積雪の多い地方では11月に入る前に準備を始め、そうでない地方でも12月前には手を付けておきましょう。雪への具体的な対策については、後述しています。
2.家の雪対策に役立つおすすめ設備
住宅の雪対策に役立つ設備としては、車庫やカーポート、物置、風除室などがあります。この項では、雪をよけたり、解かしたりするための設備をご紹介します。
2-1.車庫(ガレージ)・カーポート
車庫(ガレージ)やカーポートは、それがあるだけで車の雪下ろしをしなくて済むため、負担の軽減に有効です。降雪量の多い地方では、車庫やカーポートが雪の重みで倒壊してしまい、車にも大きな被害が及ぶことがあります。小まめに除雪することや、積雪に耐えられる車庫やカーポートを設置することが大事です。
車庫やカーポートを新設する際に注意したいのが、風向きです。住宅周辺の風向きによっては、車庫内に雪が吹き込んで、たまってしまうことがあります。側面全体を覆うようなサイドパネルが付いていれば、風や雪の吹き込みを防げます。サイドパネルを付けると風の影響を受けやすくなるため、支柱を増やすなどの対策を講じることも多いです。実際に設置する際には、ハウスメーカー・工務店とよく相談してください。
2-2.物置
雪が多い地域におすすめの設備として、物置が挙げられます。物置があればスコップなどの除雪道具を保管でき、必要なときにすぐに出せて便利です。スキー用品やソリなどのレジャー用品も、物置にしまっておけます。自転車も、外に出しっ放しにしておくと雪の重みでハンドルやカゴが歪んでしまうことがあるため、物置に入れておけば安心です。
2-3.風除室
雪のあまり降らない地方ではなじみがないかもしれませんが、玄関前に温室のようなガラスで囲われた「風除室」を設けるのは、北海道などの豪雪地帯では一般的です。風除室があることで、玄関前に積もった雪によってドアが開かなくなる事態を防げます。
玄関を出入りする前に風除室というワンクッションが挟まるため、家の中に直接、外の冷気が入ってこなくなる防寒効果も見込めます。風除室は、スコップなどの除雪道具の置き場所として使われることも多いようです。
2-4.融雪槽
雪かきをして降った雪をどけても、その雪はたまってしまいます。融雪槽があれば、雪をその中へ落とし込んで、自動で解かすことができます。融雪槽は地中に埋め、熱源で効率的に雪を解かせる装置です。手軽に使えるため、降雪の多い地域ではよく見られます。
庭や車庫前などに設置されることが多く、熱源には灯油やガス、電気のほか、地下水を使うタイプなどもあり、さまざまです。作動音がほとんどしないため、近所迷惑にならないメリットがあるほか、自動で解けて水になるため、雪が多くても対応できます。設置費用と熱源のランニングコストはかかりますが、除雪の負担を軽減してくれる装置です。
2-5.ロードヒーティング
ロードヒーティングは、玄関前や駐車場などの地中に埋めたパイプに温水を通すことや、電気ヒーターなどによって路上の雪を解かす装置です。ロードヒーティングがあれば、その上の部分では除雪作業はほぼ必要なくなります。一方、設置費用が必要となるほか、ガスや灯油、電気を使うためランニングコストがかかります。
前項の融雪槽とロードヒーティングは、設置費用の目安が約100万円程度です。光熱費も別途かかるため、コストと利用頻度を考えて、設置するかどうかを判断するのがおすすめです。これらは設置費用の負担が大きいため、自治体によっては無利子融資や補助金などの制度があります。設置を検討している方は、自治体に問い合わせてみることをおすすめします。
3.【家の場所別】知っておきたい雪対策
家周辺で、雪対策をしっかり押さえておきたい場所は屋根、カーポート、窓の3か所です。雪対策で重要なことは、自宅に損害を与えないことと、近隣の迷惑にならないようにすることです。この観点から、以下にそれぞれの場所ごとの対策ポイントをまとめました。ご参考にしてください。
3-1.屋根
屋根に積もった雪は、重さで自宅にダメージを与える可能性があるほか、落雪が人に当たるなどの事故やトラブルを引き起こしかねないため、雪下ろしが必要です。民法218条は「土地の所有者は、直接に雨水を隣地に注ぐ構造の屋根その他の工作物を設けてはならない」と定めています。自宅の屋根から雪が落ちて、他人をケガさせたり隣家の物品を壊したりした場合は、損害賠償責任を問われかねません。
参照:民法
屋根の雪対策は、屋根の形状によって異なります。三角屋根は落雪しやすいため、トラブルになりやすい点は要注意です。三角屋根の場合は雪止め金具の設置が効果的です。雪止め金具は、屋根に取り付けて落雪しないようにする装置で、「先付け」と「後付け」の2種類があります。「先付け」は屋根を施工する際に取り付けるタイプで、新築や改築時に用います。「後付け」は既存の家の屋根に後から取り付けるタイプです。
豪雪地帯では、比較的フラットな形状の「無落雪屋根」が多く使われています。無落雪屋根は屋根の上に積もった雪を落とすのではなく、徐々に解かして雨どいや融雪ダクトなどから流す仕組みです。基本的に雪下ろしの作業は不要となるため、屋根からの転落事故などの心配も軽減できます。ただし、雨どいやダクトが詰まっていると効果を発揮できません。枯れ葉の除去など、清掃は小まめにやっておきましょう。
3-2.カーポート
カーポートが雪の重さに耐えきれなくなり、倒壊してしまうと自宅や車のほか、隣家にも損害を与えてしまう可能性があります。そのため、カーポートの雪対策も重要です。
確認しておきたいのは、カーポートの屋根の耐荷重です。カーポートの耐荷重は製品によって異なるため、工務店などで適切な製品を選定してください。
積雪量の見込み積雪の少ない地域でよく使われる、積雪20cmの耐荷重の屋根であれば、雪が20cm積もる前に雪落としをする必要があります。その場合、屋根に乗ったり、水をかけたりする方法は危険なため避けてください。雪かき用の専用の棒を、ホームセンターなどで購入して使うのがおすすめです。
3-3.窓
付着した雪の重みで窓が割れたり、屋根から落ちた雪で窓にヒビが入ったりしてしまうこともあります。窓の破損を防ぐための雪対策としては、二重窓や二重サッシの設置が効果的です。二重窓や二重サッシには断熱機能があるため、安全対策だけでなく、防寒対策にも有効です。
窓やサッシの交換ができない場合は、窓の周辺に雪囲いのパネルを設置する方法があります。アクリル板などを設置して、窓を保護する方法です。見栄えが良くない点と、外光が遮断されて室内が暗くなる点はデメリットですが、窓に雪の重みがかかるのを防げます。
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4.雪対策は早めの準備が大切!揃えておきたい除雪道具
雪が積もってしまったら、除雪をする必要があります。除雪は機器がなければできません。除雪に使う道具は、雪が降り始める前に買い整えておきましょう。雪対策で備えておきたい各種の道具について、以下で説明しています。
4-1.スコップ
雪の少ない地方でも、スコップを備えてあれば、いざ降雪という際にも安心できます。スコップとそれに類する道具は、雪が多いか少ないか、雪質が硬いか柔らかいかによって選び方が変わります。地域の降雪量や雪質など、実情に合わせて使いやすいものを選びましょう。
軽い雪が少し降った程度であれば、金属製のスコップよりも、プラスチックでできた「雪ハネ」の方が便利です。雪ハネは、網目状のプラスチック製で、チリトリのような形の先端に柄が付いている道具です。軽い雪を掃くようにして除雪できます。素手で持っても冷たさを感じにくいように、柄の部分が木製のものを選ぶのがおすすめです。
少量の雪なら、柄の短いスノースコップで十分対応できます。サイズが小さく、力に自信のない方や小柄な方などでも扱いやすいのが利点です。降り始めの柔らかい雪であれば、雪を押していくプッシャータイプも使えます。プッシャータイプはラッセルとも呼ばれ、持ち上げずに押し出すようにして除雪する製品です。駐車場など平坦な場所を除雪する際に有効です。
硬い雪の除雪には、柄の長い角スコップを使います。先端部分が四角くなっているため、雪を切り出して運ぶのに適しています。雪が氷のように硬くなってしまったら、先端が尖った鋭角スコップの出番です。鋭角スコップは土を掘るなどの用途にも使われる、一般的なスコップのことです。尖った先端で氷を割って、除雪します。
大量の雪に対処するには、雪を運ぶ部分が大きいスノーダンプが便利です。雪に差し込むように使い、そのまま雪を積んで運びます。
4-2.除雪機
雪かきは重労働です。雪が多く降る地域や広い土地がある場合などは、手作業では限界があります。自宅付近だけでも、除雪機があると負担を減らすのに役立ちます。除雪機の選び方を決めるのは、以下の3点の要素です。
- 雪の量
- 雪の質
- 面積
雪の量については、「どのくらい積もるか」「どのくらいの幅で除雪するか」によって除雪機の選択が異なります。雪の質では、「湿った雪」や「1~2日置いたような、しまった雪」を得意とする除雪機と、そうでないものがあるため、地域に降る雪のタイプで選んでください。新雪であれば、多くの除雪機が問題なく対応します。
面積は、自宅周辺や玄関前など限られたスペースの除雪をすればよいのか、駐車場やグラウンドなど広い面積への対応が必要なのかで機種が変わります。ただ、自宅用であれば、それほど大型の除雪機は必要ないでしょう。
除雪機は、積もった雪を飛ばして除雪する機械です。除雪機を使う際には、飛ばした雪が近隣の迷惑になったり、施設を壊したりしないよう十分な注意が必要です。
4-3.融解剤・凍結防止剤
融解剤は融雪剤と呼ばれることも多い薬剤で、塩化カルシウムや塩化ナトリウム、塩化マグネシウムなどの、いわゆる「塩」が主成分です。融雪剤には、以下の2つの働きがあります。
- 雪を速やかに解かす
- 雪解け水の凍結を防止する
融雪剤は、水の凝固点降下という現象を利用しています。通常摂氏0度で凍結する水ですが、塩化カルシウムなどの不純物が混ざっていると、0度以下にならないと凍結しません。これが凝固点降下です。
融雪剤には顆粒タイプのほか、液体のものも販売されています。融雪剤は「塩」であるため、車などの金属製品を錆びさせたり、植物を枯らしたりするリスクがあります。使用する場合は、場所を十分に検討してください。融雪剤による錆びから車を守るには、小まめな洗車が効果的です。
凍結防止剤も、効果は融雪剤とほぼ変わりありません。強いて違いを挙げると、融雪剤が主に塩化カルシウムを成分とするのに対し、凍結防止剤は塩化ナトリウムが用いられるという点です。塩化カルシウムは凝固点がマイナス50度程度まで引き下げられるため、雪を解かす即効性があります。塩化ナトリウムは凝固点がマイナス20度程度までしか下がりませんが、持続力が長く、降る前にまいておく凍結防止剤に適しているのです。
4-4.融雪マット
融雪マットは、ゴムマットの内部に電熱線などを埋め込んだもので、地面に置いておくことで雪を解かします。凍結しやすく、転倒のおそれもある玄関先や階段などに置かれることが多い製品です。
玄関先などは、お湯をかけて手早く雪を解かしてしまおうとすることもあるかもしれませんが、危険なためおすすめできません。雪を解かしたお湯は再び水になり、凍結してしまうため、玄関先が凍り付いてしまう危険性があります。
5.降雪地域の一戸建て建築で押さえたいポイント
雪の多い地域で一戸建て住宅を建築しようとするなら、押さえておきたい重要なポイントが2つあります。雪が必ず降るという前提であるため、除雪作業のスペースを確保することは必須です。また、地域の雪の降り具合や積もり方、対策などをよく知るハウスメーカーを選ぶことも重要です。それぞれのポイントについて、以下で解説します。
5-1.除雪作業のスペースを確保する
雪が降ったら除雪しなくてはなりません。除雪した雪を置いておく場所を敷地内に確保しておかないと、その都度、指定の雪捨て場まで運ぶ、業者を頼んで排雪してもらうといった動きが必要になります。肉体的負担や金銭的な負担がかかることになるため、除雪作業のスペースは自宅の敷地内に用意するようにしましょう。庭の一角や、ガレージの一部などを雪の置き場として利用するのが一つのやり方です。
敷地面積や建物の大きさなどから、どの程度の量の雪を処理することになるかは、ハウスメーカーに尋ねれば目安がわかるでしょう。設計段階からハウスメーカーと相談し、除雪作業のスペースを確保しておくことが重要です。
敷地が狭いなどの事情で十分な雪の置き場が取れない場合は、前出の融雪槽やロードヒーティングなどの設備を検討することになります。これらの設備には電気やガス、灯油などの熱源が必要となるため、設置費用のほかにランニングコストがかかることに注意してください。
5-2.地域を良く知るハウスメーカーを選ぶ
降雪地帯や寒冷地で建てる一戸建て住宅で、ポイントとなる性能は以下のとおりです。
- 断熱性
- 気密性
- 換気性
住宅の断熱性は「UA値」という数値で表されます。UA値は壁や窓、屋根などからどの程度熱が逃げているかを示す値です。数値が小さいほど、断熱性が優れていることを示します。気密性は、延床面積に対して家全体の隙間がどの程度あるかを表す「C値」で比較できます。
地域を良く知るハウスメーカーであれば、地域の実情に合わせた住宅設計ができる可能性が高いでしょう。降雪地帯での施工実績を確認できれば、安心感につながります。それだけではなく、ハウスメーカーの営業担当者にヒアリングするなどして、上記のUA値やC値をチェックするのもおすすめです。
雪の多い地域で一戸建てを建築する際には、建てる地域の気候や特徴に詳しい、建築実績のあるハウスメーカーを選ぶことが重要です。
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6.まとめ
雪の多い地域で一戸建てを建築する場合は、設計段階から雪について十分に検討することが必要です。雪対策には、カーポートや風除室、物置などの設備が役に立ちます。融雪槽やロードヒーティングも便利ですが、ランニングコストがかかる点には注意が必要です。
家の場所別では、屋根、窓、カーポートの3か所が要注意ポイントです。三角屋根は落雪しやすいため、事故防止に気を配る必要があります。雪止め金具を設置して、雪が落ちないようにしてください。窓は二重窓や二重サッシがおすすめです。除雪道具などの購入も、早めに済ませておきましょう。
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この記事の編集者
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