2025年建築基準法改正で何が変わる?家づくりの前に知っておきたいこと

2025年4月1日に、建築基準法が改正されます。

主な改正内容

  • 四号特例の縮小
  • 構造計算基準の合理化
  • 省エネ基準の義務化

今回の改正は、省エネと木材利用の促進を目的として実施されますが、個人の家づくりにどのような影響がおよぶのか気になっている方もいるかもしれません。

この記事では、建築基準法の改正による変化点やメリットについてまとめました。

この記事でわかること

  • 2025年の建築基準法改正により変わること
  • 建築基準法改正により対応すべきこと
  • 建築基準法改正のメリット

ぜひ最後までご覧ください。

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1.建築基準法とは

建築基準法とは、1950年に制定された建築物に関する基準を定める法律です。
建築物の安全を確保し、国民の命や財産を守るために、敷地や構造、設備などに関する最低限の基準を定めています。

建築基準法は時代の流れに沿って、何度も改正が実施されてきました。
例えば、1981年には新しい耐震基準に変更され、2000年には建築時の地盤調査が義務化されました。

今後もより安全かつ安心して暮らせる環境を構築するために、建築基準法が随時見直され、改正されると予想されます。

2.【2025年】建築基準法改正の目的

2025年4月から施行される改正建築基準法は、以下の2点を主な目的としています。

改正の目的

  • 省エネの促進
  • 木材利用の促進

それぞれの目的を達成することがなぜ求められているのか、以下より詳しく解説します。

2-1.省エネ対策の促進

省エネ対策の促進イメージ

地球温暖化防止のための対策は、すべての国々が取り組むべき問題として認識されています。

地球環境をより良い状態で次世代に引き継ぐためにも、二酸化炭素やメタンガスなどの温室効果ガスの排出を減らす施策を実施することが求められています。

日本では、2030年までに温室効果ガスの排出を46%削減(2013年比)し、2050年までにはカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、全体としてゼロにすること)を実現するために、さまざまな対策を実施してきました。(参考:環境省「日本のNDC(国が決定する貢献)」)

その中で注目されているのが、建築物分野です。
建築物分野のエネルギー消費は全体の約3割を占めているため、省エネ対策を実施することで大幅な温室効果ガスの排出量の削減を期待できます。

2025年の建築基準法改正では、建物の省エネ対策に関する内容が盛り込まれました。
改正法に則った建築物を建てることで、大切な地球環境を保護するための一歩を踏み出せます。

2-2.木材利用の促進

木材利用の促進イメージ

日本の木材需要の約4割は、建築物分野が占めています。
化石燃料や金属とは異なり、木材資源は育成が可能な資源のため、枯渇の不安はありません。加工時に大量の温室効果ガスが排出されない点も、木材を活用するメリットです。

また、樹木を育てることは、温室効果ガスの吸収量を増やすことにもつながります。
地球温暖化防止対策の1つとしても、木材利用を促進することは有用といえるでしょう。

2025年の建築基準法の改正では、「木材利用の促進を目指す内容」も盛り込まれました。
施行後は、木造住宅の建築を後押しする法整備が実施されます。

つまり、最近の家づくりのトレンドは「環境にやさしい家」であるともいえ、省エネかつ木材の積極的な利用がなされていないメーカーでの家づくりを行った場合、将来的に法律上の恩恵を得られにくくなる可能性もあるのです。

今後、注文住宅を検討する際には、まず無料のHOME4U 家づくりのとびら プラン作成依頼サービスで建築基準法やトレンドを押さえた建築手法を行えるハウスメーカー・工務店を調べ、その中から複数社の実際の住宅プランを比較していくことをおすすめします。

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3.2025年建築基準法改正により変わること

2025年の建築基準法の改正により、主に次の3点が変更されます。

主な改正内容

  • 四号特例の縮小
  • 構造計算基準の合理化
  • 省エネ基準の義務化

以下より1つずつ見ていきましょう。

3-1.四号特例の縮小

四号特例とは、以下の四号建築物については都市計画区域内であっても、建築士が設計を行った場合は建築確認の際に構造耐力関係規定等の審査を省略できる特例です。

当該建築物については、建築士である工事監理者が設計書どおりに施工されていることを確認すれば、構造耐力関係規定等の検査も省略できます。

対象となる住宅

  • 2階建て以下、延床面積500平米以下、高さ13m・軒高9m以下のすべてを満たす木造建築物
  • 平屋かつ延床面積200平米以下を満たす非木造住宅

家づくりへの影響

2025年の建築基準法の改正により、四号特例は縮小され、平屋かつ延床面積200平米以下の住宅(木造・非木造問わず)のみ建築確認を省略できるようになります。

そのため、2階建て以上の住宅もしくは延床面積200平米以上の住宅は、すべて建築確認を実施する必要があります。

総務省の調べによれば、木造住宅は住宅全体の54.0%を占めます。
建築基準法改正後の建築確認基準に合致する建築物も多いと想定されるため、従来よりも住宅完成までに時間がかかる可能性があります。

参考:総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果

注文住宅を建てるときは、木造か鉄骨造・鉄筋コンクリート造、平屋か2階建て以上など、住宅の構造から決める必要があります。

どのような構造にしようか迷ったときは、住宅展示場で直接モデルハウスを見学してみるのもよいでしょう。
間取りや外観などのイメージが湧くうえ、疑問点は直接メーカーの担当者に聞くこともできます。

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3-2.構造計算基準の合理化

特定の基準を満たす木造建築物については、耐震性や耐久性などを客観的に確認するためにも、「許容応力度等計算」や「保有水平耐力計算」といった高度な構造計算が必要でした。

これらの建物については、一級建築士以外は設計・工事監理ができないと定められていました。

しかし、2025年の建築基準法の改正により、高度な構造計算なしに建てられる建築物の範囲が拡大されます。

また、二級建築士が設計できる建築物の範囲も拡大され、より合理的な建築が可能になります。

対象となる住宅

簡易的な構造計算のみで建築可能
  • 高さ16m以下の延床面積300平米超の平屋
  • 高さ16m以下の延床面積300平米超の2階建て
  • 高さ16m以下の3階建て
仕様規定だけで建築可能
  • 高さ16m以下の延床面積300平米以下の平屋
  • 高さ16m以下の延床面積300平米以下の2階建て

家づくりへの影響

簡易的な構造計算や仕様規定の確認だけで建築できる木造建築物の範囲が拡大されるため、対応できる建築士が増え、従来よりもスピーディかつコストを抑えた建築が可能になると期待されます。

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3-3.省エネ基準の義務化

従来、300平米以上の非住宅のみに対して、建築確認を実施する際に「構造安全規制等の適合性審査」を実施し、省エネ基準への適合が義務付けられていました。

それ以外の住宅に適合義務はなく、300平米未満の「小規模非住宅」や「小規模住宅」は説明義務、300平米以上の「中規模・大規模住宅」は届出義務のみが課されていました。

しかし、改正法では非住宅・住宅を問わずすべての新築建造物に対して、省エネ基準への適合が求められます。

対象となる住宅

省エネ基準への対応が求められるのは、2025年4月以降に着工される延床面積を問わずすべての非住宅・住宅です。

対応改正前*1改正後*2
説明義務
  • 小規模非住宅
  • 小規模住宅
  • すべての非住宅
  • すべての住宅
届出義務
  • 中規模住宅
  • 大規模住宅
適合義務
  • 中規模非住宅
  • 大規模非住宅

※延床面積300平米未満を小規模、300平米以上2,000平米未満を中規模、2,000平米以上を大規模とする
*1 2025年3月までに着工
*2 2025年4月以降に着工

改正建築基準法の施行後に着工を予定している建築物は、広さや建物用途を問わず、構造安全規制等の適合性検査を実施し、省エネ基準への対応の確認が求められます。

家づくりへの影響

改正前、住宅には省エネ基準の対応が求められていませんでした。
省エネ基準についての説明か届出は必要でしたが、基準そのものに合致する必要はなかったのが実際のところです。

しかし、改正法施行後は、広さを問わず省エネ基準への合致が求められます。
確認の手順が増え、竣工までの期間が長引くことに加え、省エネ基準適合のための設備や資材を導入する必要が生じ、建築にかかるコストの増加が見込まれます。

自分の予算内で家づくりを進めるには、あらかじめ「自分が建てたい家」の見積もりを複数のハウスメーカーからもらい、比較することが一番です。

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4.改正建築基準法の注意点

改正建築基準法の注意点イメージ

2025年に建築基準法が改正されることを受け、住宅建築を予定している方は、以下の点に注意が必要になります。

改正後:家づくりの注意点

  • 余裕を持ったスケジュールを組む
  • 予算オーバーに備えてこだわりの優先順位を決めておく
  • 法規制を熟知した信頼できるハウスメーカー・工務店に依頼する

それぞれのポイントについて解説します。

4-1.余裕を持ったスケジュールを組む

まず注意したいのは、建築申請に時間がかかる可能性があり、予定していた時期に着工できないリスクがあることです。

改正後は四号特例が廃止され、2階建て以上の住宅もしくは延床面積200平米以上の住宅は、すべて建築確認を受けなくてはいけません。

また、広さや建物用途を問わず、すべての建築物は省エネ基準に合致していることが求められるため、さらに確認過程が長引くことがあります。

引っ越しや進学などの事情で新築住宅への入居時期を決めている場合は、早めにハウスメーカーや工務店に相談し、余裕を持ったスケジュールを組むようにしましょう。

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4-2.予算オーバーに備えてこだわりの優先順位を決めておく

確認事項が増えるだけでなく、省エネ基準に合致した住宅を建てることが求められるため、従来よりも建築にかかるコストが増える可能性もあります。

「思ったより見積もりが高くついてしまった…」という事態に備え、あらかじめこだわりたい部分に優先順位をつけておきましょう。

一緒に住む人と意見を交わす際には、ハウスメーカー・工務店からもらった具体的なプランが手元にあるとイメージが付きやすくスムーズです。

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4-3.法規制を熟知した信頼できるハウスメーカー・工務店に依頼する

建築基準法だけでなく住宅を取り巻くさまざまな法律は、不定期に改正されています。

法規制を熟知したハウスメーカー・工務店に建築を依頼しないと、建築許可が下りないばかりか、着工までの時間が長引いてしまうかもしれません。

また、国や自治体では、新築住宅に活用できる補助金・助成金制度を実施していることもあります。
制度を熟知しているハウスメーカー・工務店ならば、申請手続きを積極的にサポートしてもらえる可能性もあります。

信頼でき、なおかつ依頼主目線でサポートしてくれるハウスメーカー・工務店を選ぶようにしましょう。

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まとめ

建築基準法が改正されることによる変化について解説しました。
改正による主な変更点は以下のとおりです。

主な改正内容

  • 四号特例の縮小
  • 構造計算基準の合理化
  • 省エネ基準の義務化

これにより、家づくりを検討する際には、以下のような点に注意が必要になります。

改正後:家づくりの注意点

  • 余裕を持ったスケジュールを組む
  • 予算オーバーに備えてこだわりの優先順位を決めておく
  • 法規制を熟知した信頼できるハウスメーカー・工務店に依頼する

改正建築基準法により、すべての住宅は省エネ基準に合致していることが求められます。
断熱性や気密性に注目しつつ、ご自身の予算・要望に合った信頼できるハウスメーカー・工務店を選びましょう。

時には無料サポートサービスも活用しながら、効率よく家づくりを進めてくださいね。

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この記事の編集者

「家づくりのとびら」編集部

NTTデータグループが運営する注文住宅相談サービス「家づくりのとびら」編集部です。難しい住まいづくりの情報を、わかりやすく正確にお伝えします。記事は不動産鑑定士や宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修記事がメイン。初めての住まいづくりをサポートします!

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