- 変更日:
- 2024.09.10
こだわりの注文住宅が完成したとき、最後に待っているのが「引き渡し」です。
引き渡し日からは正式に自分の家となるので、期待が膨らみワクワクしますよね。
でも実は、引き渡しにはトラブルになりやすい要素がたくさんあるので注意が必要です。
まず、「引き渡し日=自分の家に住める日」というイメージがあるかもしれませんが、それはちょっと違います。
引き渡し日に引っ越すこともできますが、そうなるととてもあわただしいスケジュールになってしまいます。
「引き渡し日」にはさまざまな手続きがあります。そのため、新居に引っ越すのは引き渡し日から1~2週間後に設定する人がほとんどです。
待望の新築マイホームですから、「1日でも早く引き渡してほしい」と思うのは当然ですが、引き渡しを急ぐと準備不足やトラブルが生じ、後悔することになるかもしれません。
また、ハウスメーカーによっては、「完成前だけど引き渡しの手続きだけしたい」など、理解しがたいことを言われるケースがあります。
書類上だけ引き渡したことにするとトラブルになりやすいので、絶対に避けましょう。
良心的なハウスメーカーであれば、初めてでも困らないようサポートしてくれるので心配ありませんが、傷や不具合があった時の対応やアフターサービスについては、企業の姿勢によって大きな違いが出る部分です。
このように、「引き渡し」には注意することがたくさんあります。
そこでこの記事では、注文住宅の「引き渡し」前後の流れや、「引き渡し」で後悔しないための5つのポイントについて解説します。
安心して新生活を始めるために、ぜひ参考にしてください。
注文住宅がどのような工程で建つのか知りたい方は「注文住宅の流れ」の記事もご覧ください。
目次
1.注文住宅の「引き渡し」前後の流れは?
家が完成したら、いきなり「引き渡し」ではありません。
注文住宅の「引き渡し」前後の流れは次のとおりです。
まずは「内覧会」「引き渡し」「引っ越し」について概要を見ていきましょう。
1-1.完成した家をチェックする「内覧会」
建物が完成したら内覧会(完成検査・施主検査)を行います。
内覧会は、引き渡し日の1~3週間前くらいに行うのが一般的です。
内覧会では、ハウスメーカーの担当者立ち合いのもと、次のような点をチェックしていきます。
- 新居の仕上がりが図面通りになっているか
- 壁紙に汚れや傷がないか、継ぎ目は目立っていないか
- ドアや収納扉の建付の不具合はないか
- 床の傷やきしみ音はないか
見落としがないように細かくチェックしたら、結果を記録に残してもらいます。
もしも、不具合や図面通りではないところがあったら、引き渡しまでに修理してもらいましょう。
1-2.「引き渡し」で正式に「あなたの家」になる
引き渡し当日の詳細な流れは、次の章で詳しく解説しますが、引き渡しには5つの要素があります。
- 代金の支払い・・・金融機関で最終的な手続きを行い、住宅ローンが実行されて建築代金の残りを支払います。
- 名義変更・・・引き渡し日には建物の所有権が建築主に移ります。家があなたの名義で登記され、客観的に所有者がわかるようになります。
- 補修状況の確認・・・内覧会で見つかった傷や不具合などの補修が終わっているか確認します。
- 建物の使用開始・・・玄関の鍵をもらって、家に自由に出入りできるようになります。
- 使用方法やメンテナンスの説明・・・設備の保証書や説明書を受け取り、使い方の説明を受けます。
1-3.引き渡し後に引っ越し
引き渡し日の午前中に銀行での手続きを終えて、午後に引っ越しをすることも不可能ではありませんが、かなりあわただしくなります。
一般的には、引き渡し当日ではなく、1~2週間後に引っ越しするのがおすすめです。
引っ越し日までの間に新居にカーテンや照明を設置しておいたり、様々な手続きを計画的に進めたりすることができます。
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2.「引き渡し」当日の流れ
それでは、引き渡し当日の流れを詳しく見ていきましょう。
2-1.銀行での手続き
引渡し当日に、住宅ローンを利用する金融機関で「決済」の手続きを行うのが一般的です。
「決済」では、ハウスメーカーと金融機関の担当者が同席し、住宅ローンの融資が実行されて、建築費の残金を支払います。
具体的には、あなたの銀行口座に住宅ローンの融資金額がいったん入金され、すぐに引き出してハウスメーカーに送金する形式になります。
そのため、決済と言っても、その場で多額の現金を授受するのではなく、振込伝票などの書類上のやりとりになります。
なお、引渡し前の「中間金」などを「つなぎ融資」で借りていた場合は、実行された住宅ローンでつなぎ融資が返済され、これ以降は住宅ローンのみの借入に一本化されます。
また「決済」には司法書士が同席し、不動産の登記のための書類を整えて、決済後に法務局に提出してくれます。
法務局では、「所有権の保存手続き」と「抵当権の設定」が行われます。
「所有権の保存手続き」とは、土地や建物の所有者が誰であるのか、登記簿に記載する手続きです。
「抵当権の設定」とは、住宅ローンの返済が滞ったときに備えて銀行が土地・建物に抵当権を付けるための手続きです。
なお、登記手続きは書類を法務局に提出してから1~2週間ほどかかりますが、書類を提出した日(決済日)に所有権は移転します。
最後に、登記費用、司法書士への手数料、税金の清算などを行います。
決済は金融機関や法務局が開設している平日に行う必要があり、1時間前後かかるのが一般的です。
2-2.引き渡しに必要なもの
引渡しの手続きをするために、いくつか用意しておくものがありますのでハウスメーカーの担当者に確認しましょう。
必要とされる主な持ち物はこちらの通りです。
- 本人確認書類
- 住民票
- 実印
- 印鑑証明書
- 銀行届出印
- 登記費用
- 税金の精算金
登記費用や税金などは、必要な金額を事前に教えてもらえるので、現金で用意するか、決済手続きを行う銀行の口座に準備しておきます。
2-3.建物の引き渡し
建物の引き渡しでは、「傷などの補修の確認」「鍵や説明書の受領」「設備の説明」を行います。
まず、内覧会で見つかった傷や不具合がきちんと補修されているかチェックし、問題がなければ書類にサインをします。
補修されていない部分があれば、引き渡し後にもう一度補修してもらえるように手配してもらいます。
そして、家の鍵や、建築検査済証などの重要書類、設備の保証書、取扱説明書などを受け取ります。
鍵は玄関ドアだけでなく、勝手口、外部収納などがあればそれら全ての鍵を受け取ります。
玄関ドアは、正式なカギを使用すれば工事専用のカギが使用できなくなる仕組みになっていることが多いので、引き渡し後に工事関係者が勝手にカギを使ってしまう心配は無用です。
そして、主要な設備の説明を受けたら引き渡しは完了です。
【これもおすすめ!準備リスト】
絶対に必要というわけではありませんが、引き渡し日に用意しておくとよいものは次のとおりです。
- タオル、ハンドソープ、トイレットペーパー・・・引っ越し前でも、手を洗ったりトイレを使ったりする可能性があります。
- スリッパ・・・特に冬は足元が冷えますし、新居に複数の関係者が立ち入るので用意しておくと安心です。
- ハウスメーカーの担当者へのお礼・・・すてきな家を建ててくれた現場監督や担当者にどうしても感謝を伝えたい!と思うときは、ちょっとした菓子折りなどを用意するのもおすすめです。
家づくりに関する流れや必要な手続きに関して少しでも不安がある方は、無料相談サービス「HOME4U 家づくりのとびら」のご活用をおすすめします。
3.「引き渡し」で後悔しないための5つのポイント
引き渡しでハウスメーカーとトラブルになってしまったり、新生活がスムーズに始められなかったりするのは避けたいものですよね?
後悔しないための5つのポイントは次のとおりです。
- 完成前の引き渡しは避ける
- 傷や不具合は書類に残す
- 使用方法やアフターサービスを確認する
- 余裕のあるスケジューリングと各所への連絡を行う
- 家に関する書類は確実に保管する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
3-1.完成前の引き渡しは避ける
引き渡しは建物が完成してから行うのが鉄則です。
ところが、「ハウスメーカーの決算日までに納品したい」といったような理由で、「書類上だけ引き渡ししたい」と言われるケースがあります。
あるいは、「年末までに入居すれば住宅ローン控除をその年から受けられる」というメリットがあるからといって勧められるケースもあります。
でも、引き渡しを行ってサインをすれば、「注文住宅を建てる契約(建築請負契約)」が完了したことを認めたことになります。
もしも未完成のままの状態で引き渡しを終えてしまうと、なかなか工事を終わらせてもらえなくなったり、傷や不具合があった場合に補修をしてもらえなくなったりする可能性があります。
最悪のケースでは、未完成のままハウスメーカーが倒産してしまって、泣き寝入りするしかなくなる可能性もあります。
書面上で引き渡しを完了してしまった後では、ハウスメーカーから対応がなくても法的に責任を問えない可能性が高くなります。
このような点から、引き渡しは必ず建物が完成してから行うようにしてください。
3-2.傷や不具合は書類に残す
内覧時に気づいた傷や不具合が小さなものでも、補修の依頼を遠慮する必要はありません。
家は高い買い物ですし、良心的なハウスメーカーなら親身になって対応してくれます。
後日になってから「やっぱり気になる」と思って申し出た場合、「引っ越し作業で付いた傷ではないか」と言われてしまって、認められない可能性が高いです。
また、口頭で指摘して補修を約束してもらうと、「言った・言わない」とトラブルになる可能性があるため、指摘箇所ははっきりと書類に残してもらいましょう。
悪意がなくても、内覧会に立ち会う担当者と現場で補修作業にあたる人は異なるのが普通なので、連絡がうまくいかず、補修作業の取りこぼしが生じてしまうこともあります。
指摘した箇所にマスキングテープなどでマーキングをして、自分でもメモや写真に記録を残し、最終的に補修されたかどうか確認すれば安心です。
なお、内覧で見つかった傷などの補修作業は、引き渡し日までに完了しているのが理想的ですが、工事日程の都合で間に合わないこともあります。
万が一、補修作業が引き渡し日を過ぎてしまう場合には、点検書類に補修箇所や工事予定時期を詳細に記載してもらいましょう。
3-3.使用方法やアフターサービスを確認する
引き渡し当日には、現場監督、営業担当者などから保証書や設備の取り扱い説明書を受け取ります。
大量の説明書に全て目を通すのは大変なので、使い慣れない設備の使用方法はしっかり説明を受けておくことをおすすめします。
間違った使い方をすると、高額な修理費用が発生してしまうかもしれませんので、メモを取りながらしっかり聞いておいてください。
例えば、給湯器や24時間換気、IHクッキングヒーター、太陽光発電、カードキータイプの玄関キー、床暖房、モニター付きインターホンなどは、簡単に使い方や注意点を説明してもらってください。
換気フィルターの交換時期や掃除の頻度など、セルフメンテナンスに関する注意点も聞いておきましょう。
保証書・説明書には定期点検やアフターメンテナンスについて記載があります。
ユーザー登録をしないと保証期間の無償メンテナンスを受けられない可能性もあるので確認が必要です。
引き渡しのチェック時点では問題ないと思っても、入居してみると設備がうまく作動しない可能性もあります。
点検や修理を依頼する場合の連絡先が明記されているかを確認し、説明書は必ず保管しておきましょう。
また、ハウスメーカーによっては、一ヶ月点検や一年点検などを無料で実施してくれるので、次の点検の日程などもチェックしておきます。
無料の点検はいつまでなのか、どんなケースで有償になるかについても確認しておくと安心です。
3-4.余裕のあるスケジューリングと各所への連絡を行う
引き渡し日や引っ越し日までに準備しておくことは多いので、できるだけ余裕のあるスケジューリングをおすすめします。
「引き渡し日」が決まったら、住宅ローン、引っ越し、ライフライン、旧宅の退去等を手配します。
予定通りに引っ越しできなかったり、新生活に支障が出たり、余計な追加費用がかからないように注意しましょう。
ポイントは次の6つです。
(1)引き渡し日の決定
引き渡し日に精算する税金や登記費用などは事前にハウスメーカーに確認し、準備しておきます。
大安に引き渡ししたい場合などは日程が限られてしまうので、特に早めにハウスメーカーに相談しておいてください。
(2)銀行への連絡と「金銭消費貸借契約」
引き渡し日が決まったら、早めに銀行に連絡を入れます。
引き渡し日に住宅ローンが下りるように、引き渡しの1~2週間前までに銀行に行き、「金銭消費貸借契約(金消契約)」を締結します。
金銭消費貸借契約とは、住宅ローンの借主が金融機関と交わす正式な契約で、内容は借入金額・返済年数・借入条件等です。
(3)引っ越しの手続き
引き渡し日が決まったら、引っ越し日も選定しましょう。
引き渡し日に引っ越ししようとすると時間に追われてしまうので、引き渡し当日ではなく1~2週間後に引っ越し日を設定しておくと余裕を持って準備できます。
引っ越し業者については、数社に見積もりを依頼して比較してみるのもよいでしょう。
特に引っ越しシーズンの場合や、大安、午前中の引っ越しを希望する場合には予約が取りにくいので早めに手配すると安心です。
(4)ライフライン
引っ越し当日からスムーズに生活できるように、引っ越しまでに新居の電気・上下水道・ガス・インターネット等の開設ができるように手配しておきましょう。
ガスの開栓には立会いが必要という点と、インターネットの工事予定は1ヶ月くらい先になる可能性があるので注意してください。
(5)旧宅の手続き
現在の住まいや駐車場の解約の手続きも忘れずに行いましょう。
賃貸アパート等に住んでいる場合、退去の予告は1ヶ月前までに必要なのが一般的なので契約書を確認してみてください。
直前になってから退去予告をすると無駄に家賃を支払うことになってしまいます。
(6)市役所等の手続き
異なる市区町村に引っ越す場合には、旧居の役所で「転出届」を提出しておきます(引っ越しの14日前から)。
引っ越し後には、新居の役所で転入手続きを行い、免許証の住所変更、郵便局へ配達物の転送届も依頼しておきます。
3-5.家に関する書類は確実に保管する
引き渡しが済むと、書類が山積みになることでしょう。
引き渡しを受けたら「もう安心!」と油断して処分しないようにしてください。
引き渡し時に受け取った書類は、あとで必要になることもあるので、しっかりと保管しておきましょう。
家に関する書類は、例えば次のようなときに必要になります。
- 「住宅ローン控除」や「すまい給付金」の申請
- 税金の優遇、地震保険の割引を受けるとき
- 住宅ローンの借り換えをするとき
- 家を売却するとき
- 家の増改築、建て替えをするとき
特に、検査済証、登記関連書類、住宅ローンの契約書、住宅性能評価書などの書類は、建築請負契約書と併せて大切に保管しておくことをおすすめします。
まとめ
それではおさらいです。
注文住宅が完成したら、まず「内覧会」で完成した家を細かくチェックします。
「引き渡し」の日には、金融機関に関係者が集まって、住宅ローンの融資金で建築代金の支払いを行い、
建物の登記簿があなたの名義になるように法務局へ申請します。
金融機関での手続きが終わったら、家の鍵や設備の保証書・説明書などを受け取ります。
現地では、内覧会で見つかった傷などが治っているか確認し、必要に応じて設備の使い方などを説明してもらいます。
引き渡しで後悔しないためのポイントは次のとおりでした。
- 完成前の引き渡しは避ける
- 傷や不具合は書類に残す
- 使用方法やアフターサービスを確認する
- 余裕のあるスケジューリングと各所への連絡を行う
- 家に関する書類は確実に保管する
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