新築住宅用太陽光発電の売買価格・設置費用はいくら?メリット・デメリット比較も

新築の住宅購入を検討している方の中には、住宅用太陽光発電を設置したいと考えている方も多いのではないでしょうか。

住宅用太陽光発電を設置することで自家発電ができるため、光熱費を抑えられることに加え、売電も可能です。しかし「設置するために費用がいくらかかるのか」「ちゃんと元をとれるのか」という点に不安を感じる方も少なくありません。

そこで本記事では以下のポイントについて解説します!

本記事を読んだらわかること

  • 太陽光発電の「売電価格」の仕組みや基本的な知識
  • 住宅用太陽光発電の設置にかかる費用相場や収益シミュレーション事例
  • 太陽光発電のメリットとデメリットや設置のポイント

本記事を読んでいただければ、住宅を建てるにあたって住宅用太陽光発電を設置するべきかどうかの判断ができるでしょう。

住宅用太陽光発電の設置を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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注文住宅の構造・工法の種類について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

1.住宅用太陽光発電の仕組み!設置検討時に必要な基礎知識

住宅用太陽光発電の仕組み

住宅用太陽光発電を設置することで、自宅で電力を発電できます。
さらに自宅で発電した電力には以下2つの使い道があります。

  • 自家消費(自宅の電力として使用すること)
  • 売電(余った電力を電力会社に電力を売ること)
住宅向け太陽光発電の「売電」の仕組み

太陽光発電を行う場合、発電した電力を自家消費することで電気代を節約できます。
売電とは自宅で発電した電力を電力会社に売却することです。自家消費で余った電力を売電することで収益を得られます。

ここからは住宅用太陽光発電を設置する前に知っておくべきことを2つの基本知識を解説します。

1-1.太陽光発電は「売電価格」と「設置費用」の観点が大事

太陽光発電は「売電価格」と「設置費用」の観点が大事|コスト(設置費用+メンテナンス費用)<利益(売電価格:電力会社に販売して得る利益+自家消費額の削減分:値上がりする電気代削減)

太陽光発電を設置する場合は「売買価格」「設置費用」に目を向けましょう。
「売買価格」は利益を考えるうえで大切な観点となり、「設置費用」はコストで一番多くを占めるものです。

電力を売って収益を得る場合も、電力を自家消費して使用する場合も、長期的な目線で設置費用やメンテナンス費用を上回る利益が出なければ損になってしまいます。
このように太陽光発電を設置する際は、長期目線で利益が出るかを考える必要があります。

1-2.太陽光発電は新築と同時につけておくのがベスト!

家の建築時に太陽光発電を取り付けることで、以下のようなメリットがあります。

  • 設置費用をローンに組み込める
  • 補助金や税制優遇を受けられる
  • オール電化によって更に節約できる

住宅建築時に太陽光発電を設置することで、費用を住宅ローンに組み込めます。後付けになると別途費用がかかることに加え、住宅ローンは利用できないため、金利など余計な費用が発生してしまいます。

また、太陽光発電だけでなく、オール電化・エコキュート等の設置によって、住宅全体でランニングコストを節約できます。長く住む家だからこそランニングコストも事前に考えておきましょう。
さらに、住宅全体として環境性能に配慮した高性能な住宅(ZEH住宅など)にすることで、国の補助金を利用することが可能です。

住宅ローン控除でも、ZEH住宅や省エネ性能をもつ新築住宅では控除の金額が増額されるというメリットがあります。

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2.住宅用太陽光発電の売電価格の仕組み、今後の見通しは?

住宅用太陽光発電によって発電し、余った電力は、電力会社に売却できます。

電力会社が買い取る価格は、国によって10年間保証されており、これを「固定価格買取制度(FIT制度)」と言います。この基準となる売電価格は毎年更新されており、設置年の価格が採用され、その後10年間保証されるという仕組みとなります。
なお、10年経過したのちは、卒FITと呼ばれ、以下のような対応が必要となります。

  • 個別に電力会社などと売電の契約を結び、余剰売電を継続する。
  • 蓄電池を使って、余剰電力を自家利用する。

ここからは「固定価格買取制度(FIT制度)」の詳細について解説します。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁「FIT・FIP制度」

2-1.住宅用太陽光発電:2023年度の売電価格は?

電気量売電価格保証期間特徴
10kW未満16円/kWh10年間主に一般家庭の屋根に設置。余剰売電タイプ
10kW以上50kW未満10円/kWh20年間産業向けで工場等の屋根に設置。余剰売電タイプ。
50kW以上~250kW未満9.5円/kWh20年間産業向けで全量売電タイプ。

「固定価格買取制度(FIT制度)」に定められた2023年度の売電価格は、一般家庭向けの住宅向け太陽光発電の場合、10kW未満に該当し、10年間、1kWh(キロワットアワー)当たり16円という売電金額が保証されます。

1kWhとは1kW(1,000W)の電力を1時間使用した電気量を示す単位です。10kW未満の売電価格は申請年度によって定められます。
2023年度に申請することで、住宅向けの太陽光発電は10年間、1kWh16円で買い取ってもらえますが、2024年度以降は金額が改定される可能性もあります。

2-2.売電価格は年々安くなっている理由

太陽光発電の売電価格推移(10kW未満)

売電価格は太陽光発電を普及するために高く設定されていましたが、毎年売電価格は下がっています。

売電価格が安くなっている背景には、太陽光発電の設置の低コスト化が年々進み、設置費用が安くなっていることが挙げられます。
そもそもFIT制度の売電価格は、太陽光発電の設置にかかる初期費用を回収できるように設定されており、設置費用に比例して、売電価格の設定は変動します。

2023年度設置の住宅向け(10kW未満)太陽光発電システムにおける売電価格は16円/kWhが10年間保証されますが、最近の傾向だと、来年も1~2円程度の減額が予想されます。

しかし、材料の高騰からコストは下げ止まるのではないかという見方も強くなっています。どちらにせよ、なるべく早く太陽光発電を開始することで、高い売電価格を保証されるという点を理解しておきましょう。

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3.戸建て住宅に太陽光発電を設置する費用

太陽光発電の設置にかかる費用は、多くの方が気になる点でしょう。

ここからは注文住宅に太陽光発電を設置する費用について以下の内容を解説します。

  • 注文住宅で太陽光発電を設置する費用目安
  • 注文住宅に太陽光発電を設置する費用内訳
  • 太陽光発電を設置する際に活用できる補助金(ZEH住宅)

参考:PDF 資源エネルギー庁「太陽光発電について(2021年12月)」

3-1.住宅向け太陽光発電の設置費用の相場目安

資源エネルギー庁の発表によると、2021年の新築住宅における太陽光発電システム設置にかかる費用の平均は25.0万円/kWとの結果が出ています。

以下のグラフから設置費用は2012年から大きく減少していることがわかります。

システム費用平均値の推移(新築)

一般住宅は4〜6kWの太陽光パネルを設置するケースが多いため、4〜6kW×25.0万円で、約100万〜150万円の費用がかかる計算となります。

3-2.住宅向け太陽光発電の費用内訳

太陽光発電の設置にかかる費用の内訳は以下のとおりです。

品目1kW当たりの設置費用設置費用目安*
工事費7.8万円31.2万~46.8万円
材料費19.7万円78.8万~118.2万円
(以下材料費の内訳)
品目1kW当たりの設置費用設置費用目安*
太陽光パネル11.1万円44.4~66.6万円
架台3.6万円14.4~21.6万円
パワーコンディショナー3.3万円13.2~19.8万円
その他1.7万円6.8~10.2万円

*一般住宅で多い4~6KWの太陽光発電システムを設置する費用を試算しています。

架台は太陽光パネルを設置する台のこと、パワーコンディショナーは「パワコン」と呼ばれ、電圧を調整する機器のことを指します。
また、太陽光発電システムの発電状況を確認する「カラーモニター」を設置すると便利ですが、別途オプション料金がかかる可能性があります。

3-3.太陽光発電を設置する際に活用できる補助金(ZEH住宅)

太陽光発電を設置する際に活用できる補助金として、欠かせないのが「ZEH住宅」の補助金です。

ZEH住宅の補助金

ZEH住宅は省エネ・創エネ・蓄エネにより、年間のエネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した住宅です。つまり、太陽光発電を利用したエネルギーシステムを構築した家づくりにはとてもおすすめの補助金なのです。

ZEH補助金を利用するためには、住宅性能の要件を満たすことに加え、ZEHビルダーまたはプランナーとして登録されているハウスメーカーに依頼する必要があります。

なおZEH補助金は、いつでも使える訳ではありません。予算枠がなくなってしまうと使えなくなるため、タイミングが重要です。

新設された「こどもエコすまい支援事業」の補助金

また、2023年はZEH住宅に対して、40代以下の若者夫婦・子育て世帯を対象にした「こどもエコすまい支援事業」の補助金制度も本格的に始動します。ZEH補助金との併用は不可ですが、最高で100万円の補助金がでるなど、ZEH住宅の補助金よりも金額が大きくなるため、必ず検討しておくべき制度と言えます。

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4.【戸建て住宅】太陽光発電の収益シミュレーション事例

太陽光発電は売電価格や自家消費で賄う電気代が設置費用を上回らなければ損になってしまいます。

ここからは2023年度に住宅に太陽光発電を設置した場合、どれぐらいの利益を出せるのか、シミュレーション事例をご紹介します。

前提条件は以下のとおりです。

  • 出力:5.5 kWh
  • 年間発電量:6,500kW
  • 設置費用:160万円
  • 売電価格(FIT制度):16円/kWh
  • 想定売電価格(FIT制度終了後):7円/kWh
  • 自家消費量:年間1,950kW(30%)
  • 売電量:年間4,550kW(70%)
  • 電力会社から購入した場合の価格:27円/kWh
  • 4年に一度のメンテナンス:2.8万円
  • 15年に一度のパワーコンディショナー入れ替え:20万円
年間売電収入年間電気代削減費年間利益回収年数
72,800円
(FIT制度期間4,550kW×16円)
31,850円
(FIT制度終了後4,550kW×7円)
52,650 円
(1,950kW×27円)
125,450円
(FIT制度期間)
84,500円
(FIT制度終了後)
10年

こちらのシミュレーションでは、FIT制度終了後の売電価格を7円/kWhで想定していることに加え、発電性能の劣化などは加味していません。

家づくりのとびらコラム

太陽光発電の費用シミュレーションツールが便利!

新築住宅への太陽光発電設置に対し、前向きになったら、太陽光発電や蓄電池シミュレーションが簡単できるツールを利用し、より詳細な収支を確認しておくとよいです。

シミュレーション結果は、資金計画を立てる際に役立つだけでなく、建築依頼先として選ぶハウスメーカーの比較要素にもなります。気になったハウスメーカーが、しっかりと信頼できるシミュレーションをしてくれる会社なのかどうかを見ることも大切なので、ぜひ利用してみてください。

太陽光・蓄電池シミュレーションの決定版「エネがえる」

5.住宅用太陽光発電を設置するメリット・デメリットとは?

住宅用太陽光発電を設置する費用について解説しましたが、自宅に太陽光発電をつけるメリット・デメリットが気になる方も多いでしょう。

ここからは、太陽光発電のメリット・デメリットについて解説します。

5-1.太陽光発電のメリット

太陽光発電のメリットは以下のとおりです。

  • 電気代を節約できる
  • 売電収入が得られる
  • 災害に備えられる
  • 地球にやさしい

太陽光発電を設置することで、電気代を節約できるだけでなく、収益も得られます。

電気は購入して使うものという考えが一般的ですが、自ら生み出すことで費用を削減できるのが太陽光発電の魅力の大きなひとつです。
とりわけ、電気料金は年々値上がりの傾向にあり、削減するメリットも大きくなっています。

また、蓄電システムを備えることで災害時に生活インフラの供給が止まってしまっても、自宅で電気を使用できます。自然災害の多い日本で安心して生活できる理由のひとつとなります。
さらに、使用電力をピークシフトする(電気代の安い夜間に使用する)など、節約にもつながります。

太陽光発電を設置することで環境面に配慮した地球にやさしい住宅を建てられます。

5-2.太陽光発電のデメリット

太陽光発電のデメリットは以下のとおりです。

  • 設置費用が高い
  • 定期的なメンテナンスが必要

太陽光発電を設置するためには、ひと家庭あたり100万円以上の費用がかかるのが一般的です。費用を抑えるためにも、設置費用を低金利の住宅ローンに組み込んだり、補助金を活用したりと工夫しましょう。

また、4年に一度の点検が推奨(FIT制度を利用する場合は義務化)されていることに加え、15~20年に一度パワーコンディショナーの交換が必要と言われています。

メンテナンス費用を踏まえて利益が出るかを事前に考えましょう。

6.住宅用太陽光発電を設置する際のポイント

住宅用太陽光発電のシミュレーションを行いましたが、実際に設置する際にどんな点に気をつける必要があるのかと不安に感じる方も多いでしょう。

住宅用太陽光発電を設置する際には以下の4つのポイントを意識しましょう。

  • 税金の優遇制度・自治体の補助金も活用する
  • 売電と自家消費のバランスを考える
  • メンテナンスや保証サービス面にも注意する
  • 複数のハウスメーカーを比較検討する

それぞれについて解説します。

6-1.税金の優遇制度・自治体の補助金も活用する

2023年2月現在、国として太陽光発電設置のみへの補助金は出していません。

しかし、太陽光発電を活用したZEH住宅には、新築時の補助金制度、減税金額が大きくなる優遇制度が用意されています。具体的には以下のような内容です。

  • ZEH補助金
  • こどもエコすまい支援
  • 住宅ローン控除
  • 住宅取得等資金の贈与税の非課税措置

制度を活用することで、本来かかるはずだった費用や税金が免除されるため、お得に住宅を購入できます。

また、自治体単位では太陽光発電設置への補助金を用意している自治体もあるため、住宅を建てる前に確認してみましょう。

6-2.売電と自家消費のバランスを考える

住宅用太陽光発電を設置する際には、売電と自家消費のバランスを考えましょう。

電力会社から購入する電力の価格が高い場合は、売電よりも自家消費に回した方がお得になるケースもあります。電力会社から購入する電気代と売電価格を踏まえ、シミュレーションをしましょう。

6-3.メンテナンスや保証サービス面にも注意する

メンテナンスや保証サービス面にも注意しましょう。

太陽光発電は数年おきの点検や設備交換が必要です。点検費を抑えられるなど長期的なランニングコストも重視しましょう。

また、太陽光発電を含め、屋根部分は自然災害などで破損するケースもあります。そのような際に保証を適用できるかどうかは、大きな差になります。

なお、太陽光発電システムを後付けする場合、ハウスメーカーによる屋根の保証自体がなくなる可能性もあります。家の完成後に設置を検討している場合は、新築するハウスメーカーに事前に確認しておくことをおすすめします。

設置して終わりではなく、メンテナンスや保証サービスにも目を向けましょう。

6-4.複数のハウスメーカーを比較検討する

住宅用太陽光発電を設置する際には、複数のハウスメーカーを比較検討しましょう。

ハウスメーカーによって価格が異なることに加え、実績豊富なハウスメーカーであれば、適切なアドバイスを受けられます。

太陽光発電は屋根の傾斜によっても発電量が変わるため、自由に設計できる注文住宅を選ぶことにメリットがあります。

太陽光発電システムの導入実績が豊富なハウスメーカーであれば、その土地にあった傾斜の設定や、詳細なシミュレーションを行ってくれるため、安心して任せられます。

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まとめ

本記事では住宅用太陽光発電の仕組み、売電価格や設置費用、メリット・デメリットについて解説しました。

住宅用太陽光発電は、自宅で発電した電力を売電して収益を得る、もしくは自家消費して本来購入する電気代分を節約するといった方法で利用します。

しかし設置の際には費用がかかることに加え、メンテナンス費用もかかるため、長期目線で利益になるかどうかを見極める必要があります。

住宅用太陽光発電を設置する際には、事前にシミュレーションを行いましょう。また、補助金や税制優遇を受けることで、初期費用の回収も早くなるため、しっかりと利用条件を確認しておくことが大切です。

太陽光発電は屋根の傾斜などによって発電量が変わります。自由に設計を考えられる注文住宅のメリットを活かし、発電量を最大化するためにも実績豊富なハウスメーカーに依頼しましょう。


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この記事の編集者

「家づくりのとびら」編集部

NTTデータグループが運営する注文住宅相談サービス「家づくりのとびら」編集部です。難しい住まいづくりの情報を、わかりやすく正確にお伝えします。記事は不動産鑑定士や宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修記事がメイン。初めての住まいづくりをサポートします!

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