- 公開日:
- 2021/12/13
- 変更日:
- 2022/07/21

家づくりに関する情報収集を始めだすと耳にするのが「断熱性」という言葉。
断熱性は、高いと夏は涼しく、冬はあたたかい室内環境を実現することができ、全館空調システムを導入した際にも効果を発揮しやすくなるため、高性能な住宅を目指すうえでは必須の性能です。
しかし、断熱性を高める「断熱材」には複数種類があり、住宅に合った断熱材は1棟ごとに異なります。
これは、地域による環境の違いや、ハウスメーカーによる構造・工法の違いがあるからです。
そこで今回は、断熱材について以下のポイントを解説します。
この記事を読んだらわかること!
- 断熱材の3種類の工法
- 断熱材の種類と特徴《比較表》
- 自分に合った断熱材の決め方
- 断熱材施工の際の失敗例・注意点
- 優れた断熱性でおすすめのハウスメーカー
難しそうな話でもありますが、ここで断熱材のことを大まかに理解しておけば、ハウスメーカー選びの際に断熱材の特徴が理解しやすくなり、ハウスメーカーの比較が楽になります。
高断熱でおすすめの木造ハウスメーカーもご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
※本記事の内容は、2022年7月19日時点の情報です。
目次
1.断熱材施工の3つの工法
まず、断熱材の話をする前に、断熱材の施工には大きく分けて3つの工法があることを知っておきましょう。
各工法の特徴やメリット・注意点は以下の表をご覧ください。
外張り断熱(外断熱) | |
---|---|
特徴 | 構造の外側に断熱材を貼る |
メリット |
|
注意点 |
|
充填断熱(内断熱) | |
特徴 |
|
メリット |
|
注意点 | 防湿フィルムを貼る必要がある |
付加断熱 | |
特徴 | 充填断熱と外張り断熱の両方を施工する |
メリット | もっとも断熱材を厚くできるため、断熱効果を高めやすい |
注意点 | コストが一番高い |
付加断熱は、外張り断熱と充填断熱の両方を行う工法で、もっとも断熱性能を高めやすく、費用がかかります。
次からは、外張り断熱と充填断熱の各工法についても詳しく見ていきましょう。
1-1.外張り断熱(外断熱)

外張り断熱は外断熱とも呼ばれており、家全体の外側を断熱材で包んで断熱する工法を指します。
構造の中の空間を残すことができるので、配線や配管などのダクトスペースとして活用できます。また、結露や木材の腐りを抑えられます。
その反面、断熱材の重みにより外壁が垂れ下がることもあるため、断熱材をあまり厚くできません。また、地震や強風などで外装材がゆるんだり、変形したりする場合があります。
充填断熱に比べると施工の工程が増えるため、コストが高くつきます。
1-2.充填断熱(内断熱)

充填断熱は、構造の内側にボード状・シート状の断熱材を入れたり、液状の断熱材を吹き込んだりして充填する工法です。
構造の中の空間に充填するため、断熱材用に新たなスペースを設ける必要がなく、外張り断熱よりも低コストの傾向にあります。
ただし、構造内の結露を防止するために、防湿フィルムを貼る必要があります。
充填断熱は、一般的に木造住宅に用いられることが多い工法です。
木造住宅を得意とするハウスメーカーは、この充填断熱を採用していることが多いでしょう。
以下の記事では、木造住宅を得意としているハウスメーカーの断熱性についてまとめているので、木造住宅を検討している方はぜひチェックしてみてください。
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2.断熱材の種類《比較表》
断熱材にはいくつか種類があり、素材によって断熱性能が異なるため、ここではどのような種類があるか把握しておきましょう。
断熱材 | 分類 | |
---|---|---|
炭化コルク | 天然素材系 | |
硬質ウレタンフォーム(吹付発泡ウレタン) | 発泡プラスチック系断熱材 | |
ウレタンボード (商品名:アキレスボード、キューワンボード) |
||
フェノールフォーム(商品名:ネオマフォーム) | ||
ポリスチレンフォーム (商品名:スタイロエース) |
ビーズ法 | |
押出法 |
断熱材 | 分類 | |
---|---|---|
グラスウール | 繊維系断熱材 | 無機質系 |
ロックウール | ||
セルロースファイバー | 木質系 | |
インシュレーションボード | ||
羊毛(ウールブレ) | 天然素材系 | |
ポリエチレンフォーム | 発泡プラスチック系断熱材 |
上記の断熱材は、必ずしも1つだけが採用されているとは限らず、天井・壁・床によって使い分けているハウスメーカーもいます。
こうしてみると数が多く、すべてを理解することは難しく感じますが、一般的な大手ハウスメーカーはグラスウールやロックウールを採用していることが多く、これらであれば、以下のような問題に対応できるといわれています。
- 外壁が垂れ下がってくる
- カビが生えたり、嫌なにおいがしたりしてくる
- 室内が外部の温度に影響を受けてしまう
省エネルギー性の高さを示す「外皮平均熱貫流率(UA値)」で見ると、硬質ウレタンフォーム(吹付発泡ウレタン)もおすすめです。
「種類がいっぱいあってよくわからない」「検討中のハウスメーカーが採用している断熱材を知りたい」という方は、【無料】オンライン相談サービス「HOME4U 家づくりのとびら」で相談してみてください。
3.自分に合った断熱材の決め方
多くの断熱材の中から自分に合った断熱材を見極めるには、複数のハウスメーカーの断熱材をしっかり比較していく必要があります。
よくある選定基準としては、以下のような視点があります。
- 万が一の火災時、燃えにくいかどうか
- 火が付いても、有害物質が出ないかどうか
しかし、人によっても住むエリアによっても優先したいポイントは異なりますし、ハウスメーカーを比較する際には断熱性以外にも比較したい項目があります。
ハウスメーカーの比較で注目したい項目については、以下の記事を参考にしてみてください。
家づくりのとびらコラム
断熱材による防音効果はあるの?
断熱材に防音効果を期待する人も多いかもしれませんが、すべての断熱材が防音性に優れているわけではありません。
防音性に優れた家を建てたい方は、しっかりハウスメーカーの営業担当者に希望を伝え、防音性に関する工夫を確認する必要があります。
どのハウスメーカーが防音性に優れているのかを知りたい方は、「HOME4U 家づくりのとびら」で聞いてみるとよいでしょう。あなたの希望に沿ったハウスメーカーの中から、実際の商品カタログを見ながら比較できるので、情報収集や整理の大幅な時短になりますよ。
また、「店舗併用型がいい」「ビルトインガレージ付きがいい」といった特殊なこだわりによりそえるハウスメーカーの案内も可能なので、気になる方はぜひ相談してみてください。
断熱材は専門的な知識がないと理解しづらい部分も多く、仕事や家事・育児で忙しい中、自分1人で調べていくには限界があります。
そんなときは、無料で注文住宅の専門家に相談できる「HOME4U 家づくりのとびら」がおすすめです。
家づくりのとびらで相談できること
- 断熱材に関する情報やあなたに合ったハウスメーカー
- 家づくりの流れ・資金計画の立て方
- 住みたいエリアの土地情報 など
上記のほか、家づくりに関することならなんでも相談できます。
専門アドバイザーはハウスメーカー出身なので、プロならではの意見や情報が得られるのもうれしいポイントです。
ご相談は、ネット予約なら最短2時間、電話予約なら即日スタートできるので、「少し時間が空いた」「今教えてほしいことがある」といった思い付きの相談がある際にもピッタリ。
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4.断熱材施工の失敗例と注意点
断熱材を施工してもらう際には、注意しておきたいポイントがあります。
ここでは、失敗例を交えて断熱材施工の際の注意点を紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
大手ハウスメーカーであれば、工場で生産管理されているため、こういった大工の技術力による差は感じにくいのですが、工務店や小さなハウスメーカーの場合は、大工の技術力の差に注意が必要です。家の工事は、現場に携わる大工や環境に依存する部分が多いため、技術力に差が出てしまうことはよくあることです。
対策としては、建築中、現場に足を運んだ際に断熱材が正しく施工されているかどうかをしっかりチェックしておくとよいでしょう。
工事の邪魔にならない程度であれば、工事中の見学はだいたい認めてもらえます。
また、HOME4U 家づくりのとびら プラン作成依頼サービス で、厳選された大手・優良ハウスメーカーの中から自分に合ったハウスメーカーを見つけるのもよいでしょう。
5.高性能な断熱材でおすすめの木造ハウスメーカー5選
ここからは、実際に高性能な断熱材を採用し、高断熱住宅を実現している木造ハウスメーカーを5社ご紹介します。
ハウスメーカー | 断熱材 | UA値 |
---|---|---|
ミサワホーム |
|
0.38 |
三井ホーム |
|
0.41 |
一条工務店 |
|
0.25 |
アイフルホーム |
|
0.27 |
タマホーム |
|
0.36 |
※プランにより異なる
省エネルギー性の高さを示す「外皮平均熱貫流率(UA値)」は、数値が小さいほど熱が逃げにくくなります。
UA値の数値については、以下を参考にしてみてください。
- 「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって定められている「断熱性能等級」の最高ランクは等級4で、断熱基準は「UA値0.87以下」
- 補助金制度がある「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の断熱基準は「UA値0.6以下」
なお、各ハウスメーカーの施工エリアに関しては、ホームページやパンフットに公開されていないことが多いため、住宅展示場への出店エリアを参考にするとよいです。
あるいは、「HOME4U 家づくりのとびら」でも案内可能なので、ぜひご相談ださい。
また、「ハウスメーカーの数が多い」と感じたら、あらかじめHOME4U 家づくりのとびら プラン作成依頼サービス で自分に合ったハウスメーカーをピックアップしておくのもおすすめです。
それでは、各ハウスメーカーの特徴を詳しく見ていきましょう。
5-1.ミサワホーム

ミサワホームは、収納力や設計力の高さに定評があるハウスメーカーで、住宅商品の中でも、中2階に収納空間のある「蔵のある家」は有名です。
断熱材 |
|
---|---|
UA値 | 0.38 |
※プランにより異なる
断熱材以外の高断熱・高気密への工夫がたくさん!
ミサワホームは、標準仕様で各エリアの「省エネルギー基準」に対応可能です。
断熱材は管理が徹底された工場での生産になるため、高精度かつ安定した品質が確保されています。
壁・床・屋根と天井で断熱材の種類を分けており、壁・床・屋根には、軽量かつ裁断しても崩れにくい不燃材のグラスウールを使用。1階床の裏側は特に現場での施工が難しい箇所ですが、工場でムラなく断熱材を充填したうえで、接合部分を強固に接合し、高断熱・高気密を実現しています。
ほかにも、壁・天井の下地材には高気密仕様のバリア石膏ボードを採用し、断熱中ブタ付きタイプの床下収納庫を用意。外気の侵入を防ぐ気密パッキン装備のコンセント・スイッチや、気密対応の分電盤など、断熱材以外にも、快適な室内環境のための工夫が多い点が特徴です。
引用元:ミサワホーム 公式HP
5-2.三井ホーム

三井ホームは、デザイン性の高さに定評があるハウスメーカーで、ハイグレードな素材のレンガや石材などを多用している点が特徴です。
断熱材 |
|
---|---|
UA値 | 0.41 |
※プランにより異なる
独自の断熱構造がかなえる高断熱・高耐力かつ環境に配慮した家
壁・床と屋根で、断熱材の種類を分けています。
壁・床には、一般的なロックウールより断熱が約1.3倍も高い素材を採用。耐水性、耐火性、施工性にも優れた素材を使用しています。
屋根には、ビーズ法ポリスチレンフォームを強固な面材で両面接着し、サンドイッチ構造にした独自の「ダブルシールドパネル」を採用。シンプルな構造ですが、高断熱・高耐力でありながら、環境にやさしい建築部材です。
引用元:三井ホーム 公式HP
5-3.一条工務店

一条工務店は、ローコストで住宅が建てられるコストパフォーマンスのよさに定評がありハウスメーカーで、モデルハウスが標準仕様の設計となっているため、完成時のイメージが付きやすい点も特徴です。
断熱材 |
|
---|---|
UA値 | 0.25 |
※プランにより異なる
断標準仕様で熱逃げを防止し、魔法瓶の中のような心地よさを実現
断熱材には、一般的な断熱材に比べ、約2倍の性能を発揮する高性能ウレタンフォームを採用しています。※
構造材の外側50mmと、内側140mmに二重に重ねる「外内ダブル断熱構法」を採用し、外壁、天井、床の家全体を包むことで、家全体が「魔法瓶で包まれた」ような、心地よい室内環境を実現しています。
また、標準仕様で、熱交換換気システム「ロスガード90」を搭載。換気によって熱が逃げるのを防ぎ、快適な室内温度を維持してくれます。
※メーカー調べ
引用元:一条工務店 公式HP
5-4.アイフルホーム

アイフルホームは、株式会社LIXIL住宅研究所のハウスメーカーで、家の建材や設備機器、サービスなどをすべてLIXILグループの商品で揃えられるため、低コストでの家づくりがかないます。
断熱材 |
|
---|---|
UA値 | 0.27 |
※プランにより異なる
標準で気密測定を実施、納得の気密性を確保
使用している断熱材「フェノールフォーム」は、熱に強く燃えにくいのが特徴です。
2019年には、省エネルギー性の優れた住宅を選ぶ「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」において、優秀賞と特別優秀企画賞を受賞。
また、標準仕様で建物の気密測定を実施しており、性能報告書を提供しています。
引用元:アイフルホーム 公式HP
5-5.タマホーム

タマホームは、良質な国産木材にこだわった家づくりを提案しているハウスメーカーで、低コストプランにも定評があり、20代のような若年層オーナーの実績も高い点が特徴です。
断熱材 |
|
---|---|
UA値 | 0.36 |
※プランにより異なる
適材適所の断熱材が快適な室内環境を維持
1年中、快適な住環境を実現するために、高性能断熱材を適材適所に施工しています。
壁には、木材の経年変化に対応してくれる吹付けウレタンを採用し、床には、熱橋を防止するフェノールフォームを採用。
天井には、吹込みグラスウールを隙間なく施工し、熱の出入りを抑えます。
引用元:タマホーム 公式HP
以上が、高断熱を実現できる木造ハウスメーカーのおすすめ5社です。
実際にハウスメーカーを選ぶ際には、断熱性能だけでなく、耐震性やアフターサービス・保証などにも注意して複数社比較することが大事です。
以下の記事も参考にしながら、自分に合ったハウスメーカーを探してみてください。
「家づくりのとびら」編集部が選ぶ
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まとめ
家づくりの際の断熱材の比較の仕方や、高断熱がかなうおすすめのハウスメーカーをお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
最後におさらいをしておきましょう。
住宅用の断熱材の種類は?
断熱材の種類には、以下のようなものがあります。
- グラスウール
- ロックウール
- セルロースファイバー
- インシュレーションボード
- 羊毛(ウールブレ)
- 炭化コルク
- 硬質ウレタンフォーム(吹付発泡ウレタン)
- ウレタンボード(商品名:アキレスボード、キューワンボード)
- フェノールフォーム(商品名:ネオマフォーム)
- ポリスチレンフォーム(商品名:スタイロエース)ビーズ法・押出法
- ポリエチレンフォーム
詳しくは「2.断熱材の種類《比較表》」にて解説しています。
断熱性能の優れた木造住宅ハウスメーカーは?
断熱性能が高く、優れた木造住宅が建てられるハウスメーカーには、以下のようなメーカーがあります。
- ミサワホーム
- 三井ホーム
- 一条工務店
- アイフルホーム
- タマホーム
各ハウスメーカーの特徴は、「5.高性能な断熱材でおすすめのハウスメーカー5選」をご覧ください。
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この記事の編集者
完成後、断熱材に大きな隙間が発覚!
家づくりのプランを確定したまでは良かったけど、いざ完成して住み始めてみると、話と全然違う!隙間風を感じるし、冬はとても寒い。ハウスメーカーに問い合わせて調べてもらったところ、断熱材に大きな隙間があったとのことでした。