個人事業主でも住宅ローンに通るためのポイントと準備

長期にわたって数千万円の返済を続ける住宅ローンは、金融機関が契約者の返済能力を厳しく審査します。そのため、給与が安定している会社員や公務員に比べ、収入が変動しやすい個人事業主はハードルが高いと言われがちです。

しかし、事前に準備を行い、審査のポイントを理解すれば、個人事業主でも無理のない返済計画で自宅を手に入れることは十分可能です。

この記事では、国土交通省の調査や大手金融機関のコラムなど一次情報を参照し、審査の仕組みや具体的な対策を紹介します。

これから家づくりを検討する個人事業主の方に役立てていただけるよう、詳しく解説します。

この記事でわかること

  • 住宅ローン審査で見られる項目と対策
  • 必要書類と手続き
  • よくある質問

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個人事業主が不利と言われる理由

住宅ローンの審査では返済能力の安定性が最重要です。会社員は給与から税金や社会保険料が差し引かれた金額が口座に振り込まれるため、年収をそのまま審査に使えます。

一方、個人事業主は売上から経費を差し引いた所得が審査対象となり、節税目的で経費を多く計上していると所得が低く見えてしまいます。所得が低いと返済能力に余裕がないと判断され、希望額より大幅に減額される場合があります</span。さらに、事業の状況や体調不良が収入減に直結するため、金融機関は長期の返済が続けられるか慎重に見極めます。

審査項目は多岐にわたりますが、国土交通省の「民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、多くの金融機関が下記項目を審査項目としています。

  • 完済時年齢
  • 健康状態
  • 借入時年齢
  • 担保評価
  • 勤続年数
  • 連帯保証
  • 返済負担率
  • 年収

さらに、約48%の金融機関が「申込人との取引状況」を重視していることが示されており、普段からメインバンクとの取引実績を積むことが重要性と言えるでしょう。

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審査で見られるポイントと対策

審査で特に重視される項目と、その対策をまとめました。キーワードごとにチェックポイントを確認し、対策を進めましょう。

審査のポイント意味・キーワード対策の概要
3期連続黒字確定申告書3期分、平均所得多くの金融機関が直近3年分の確定申告書・決算書をもとに平均所得を確認し、3年連続黒字経営を求めます。赤字があると審査が厳しくなるため、事業計画を見直し、家づくりのタイミングを黒字が続く時期に合わせましょう。
自己資金(頭金)と返済比率頭金、返済比率20~25%借入額が大きいほど審査は厳しくなります。返済比率(年間返済額÷所得)は低いほど良く、20~25%以下が理想とされます。自己資金を多めに用意し、借入額を抑えることで返済比率を下げる工夫が必要です。
税金・保険料の完納納税証明書、国民年金・国民健康保険個人事業主は自ら税金や社会保険料を支払うため、滞納がないか確認されます。少額でも未納があると「ローンの返済も滞納するのではないか」と判断されるので、事前に完納し納税証明書を取得しましょう。
健康状態団体信用生命保険(団信)加入多くの住宅ローンでは団信への加入が必須で、持病などがあると加入できない場合があります。健康状態が良いうちに申し込み、必要ならワイド団信(保険料が上がる代わりに加入しやすい保険)なども検討しましょう。
個人信用情報延滞・滞納履歴、既存ローンクレジットカードや他のローンの支払い遅延は信用情報機関に記録され、審査に影響します。カードローンやマイカーローンはできるだけ完済し、クレジットの支払いを遅れないよう管理します。
取引実績メインバンクとの関係国交省の調査では約48%の金融機関が「申込人との取引状況」を重視すると回答しています。日頃からメインバンクでの預金・入金や事業用口座の利用、公共料金の引き落としなどを行い、信頼関係を築きましょう。

この表を参考に、各項目ごとに計画的な準備を進めることが審査通過への近道です。

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3年連続黒字実績の作り方

多くの金融機関は直近3年分の確定申告書から平均所得を算出し、黒字が続いているかを確認します。事業を始めたばかりで実績が3年に満たない場合は審査自体を受けられないこともあるので、家づくりの計画は早めに立て、黒字化を優先しましょう。経費の計上を適正に行い、必要以上に所得を減らさないことが大切です。所得が少ないと返済能力が低いとみなされるため、節税目的の経費計上は控えめにし、修正申告で過去の所得を見直す方法もあります。

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頭金を用意して返済比率を下げる

返済比率は所得に対する年間返済額の割合で、数値が低いほど余裕を持って返済できると判断されます。頭金を増やして借入額を減らすことで返済比率が下がり、審査が有利になります。

たとえば、年収(所得)が400万円で返済比率を25%に収めるには年間返済額100万円以下が目安です。

フラット35のような長期固定金利ローンでは、年収400万円未満の場合返済負担率が30%以下、400万円以上の場合は35%以下と定められています。この数値を参考に、自身の所得と頭金でバランスの取れた資金計画を立てましょう。

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税金・保険料の未納は厳禁

個人事業主は所得税や住民税、国民年金保険料・国民健康保険料などを自分で納付します。滞納があると審査にマイナスとなり、金融機関から貸し倒れリスクがあると判断されてしまいます。納税証明書や納付確認書を取得し、未納分がないか事前に確認しましょう。税金や社会保険料の未納は優先的に取り立てられるため、住宅ローン返済より優先順位が高いと見なされる点にも注意が必要です。

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健康状態と団信

団体信用生命保険(団信)は、返済期間中に契約者が死亡または高度障害になった場合に保険金でローン残高を完済する制度で、多くの住宅ローンにおいて加入が必要でしょう。加入時には健康状態の告知や診査があり、持病があると加入できないケースや金利が上がる場合があります。年齢とともに健康リスクは高まるため、身体が健康なうちに申し込むことがポイントです。また、ワイド団信と呼ばれる加入条件が緩い保険もありますが、金利が上がるので総返済額が増える点を考慮しましょう。

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個人信用情報の改善

信用情報機関にはクレジットカードやローンの利用状況が記録されています。延滞や滞納があると5年間程度は記録が残るため、その間は住宅ローンの審査が不利になります。スマートフォンの端末代金や公共料金の支払い遅延も登録される場合があるので、毎月の支払いは必ず期日までに済ませ、他のローンはできるだけ早く返済して完済履歴を作りましょう。心配な場合はCICやJICCに信用情報の開示請求をして内容を確認すると安心です。

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メインバンクや専門ローンの活用

国交省調査によれば、金融機関の約半数が申込人との取引状況を審査項目として挙げています。普段から事業用口座や給与口座をメインバンクにまとめ、売上入金や支払いを集約することで銀行との信頼関係を築きましょう。メインバンクが事業内容を把握していれば、柔軟に対応してもらいやすくなります。

民間には個人事業主向け住宅ローンを用意している金融機関もあり、経営状態や所得に応じたプランを提案し、店舗兼住宅の相談にも対応しているケースもあります。設立年数や申告所得金額による申込制限がない金融機関もあり、独立間もない事業主でも相談できる可能性があります(参考:スルガ銀行)。このような専門ローンは個人事業主の事情を理解したうえで審査してくれるので、選択肢として検討すると良いでしょう。

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フラット35や長期固定金利ローン

民間ローンに比べて審査が柔軟といわれるのが、住宅金融支援機構のフラット35です。フラット35は職業や勤務先ではなく前年の所得を重視し、開業から1年経っていれば申し込むことができます。前述したとおり、返済負担率が所得400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下と規定されており、民間ローンより基準が高めに設定されています。フラット35は長期固定金利のため金利が変動しない安心感がありますが、変動金利と比べると金利が高めで、借入期間に応じて金利が変わる点に注意が必要です。

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ペアローンや収入合算

夫婦のどちらかが会社員で安定収入がある場合は、ペアローンや収入合算を検討すると良いでしょう。ペアローンは夫婦それぞれが別々にローンを組む仕組みで、合計融資額を増やしつつそれぞれの返済比率を抑えられます。収入合算は配偶者の収入を合算して借り入れる方法で、主債務者の返済負担率を下げる効果があります。いずれも配偶者が連帯保証人になる場合が多いので、家計全体の資金計画を慎重に検討してください。

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必要書類と手続き

審査に通るためには、必要書類を漏れなく準備することが大切です。個人事業主が住宅ローンを申し込む際の主な書類を下記にまとめました。

審査段階主な提出書類
事前審査身分証明書、直近3期分の確定申告書の控え、決算書や損益計算書、賃貸契約の写し(賃貸住宅に住んでいる場合)、事業の概要がわかる書類など
本審査納税証明書、不動産売買契約書、重要事項説明書、建物請負契約書、土地・建物の登記簿謄本、印鑑証明書、住民票、団信の加入申込書、既存借入の残高証明書等

金融機関によって必要書類は異なる場合があるため、事前に確認し早めに準備を進めましょう。

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住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)

住宅ローン控除は、住宅の新築・取得または増改築を行い住宅ローンを利用した際に、年末時点の住宅ローン残高の0.7%を所得税(翌年の住民税を含む)から最大13年間控除できる制度です。個人事業主でも利用できますが、店舗兼住宅の場合は居住部分のみが控除対象で、事業部分は対象外となります。控除を受けるには以下の主な要件を満たす必要があります

  • 住宅ローンの借入期間が10年以上であること
  • 所得が3,000万円以下であること
  • 床面積が50㎡以上(2024年以降は一定条件下で40㎡以上)で、居住用部分が全体の2分の1以上を占めること
  • 住宅を取得した年の前後2年以内に居住用財産の譲渡で特例を受けていないこと

例えば、2024・2025年に新築住宅に入居する場合は、省エネ基準に適合しない住宅では住宅ローン控除を受けられません。建築確認が2023年12月31日以前か、2024年6月30日以前に建築されたことを証明する書類の提出が必要で、証明できない場合は借入限度額が2,000万円、控除期間が10年となるなどの制限があります。省エネ基準への適合や証明書類の取得方法も確認し、早めに準備しましょう。

参考:住宅ローン減税 | 国土交通省

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よくある質問(FAQ)

Q1. 個人事業主でも審査に通りやすい住宅ローンはありますか?

はい。個人事業主向けの住宅ローンを用意している金融機関があります。例えばスルガ銀行の「個人事業主向け住宅ローン」は、経営状態や所得内容に応じたプランを提案し、店舗兼住宅などの相談にも対応しています。また、フラット35は職業や勤務先に関係なく前年の所得を重視するため、個人事業主でも申し込みやすいとされています。ただし、固定金利のため変動金利より金利が高めで、借入期間によって金利が変わる点を理解した上で利用しましょう。

Q2. 個人事業主でも住宅ローン控除を受けられますか?

受けられます。住宅ローン控除は年末のローン残高の0.7%を最大13年間所得税や翌年の住民税から控除する制度で、個人事業主でも条件を満たせば利用できます。借入期間が10年以上であること、所得が3,000万円以下であること、床面積が50㎡以上で居住用部分が2分の1以上であることなどの要件があります。店舗兼住宅の場合は居住部分のみが対象となる点に注意してください。

参考:住宅ローン減税 | 国土交通省

Q3. 事業がまだ2年目で黒字が続いていない場合、住宅ローンの申し込みは諦めるべきでしょうか?

すぐに申し込むのは難しいですが、その前に準備をすれば住宅ローンを受けられる可能性はあります。多くの金融機関が直近3年分の確定申告書と黒字実績を求めるため、3年連続黒字を達成してから申し込むのが基本です。早めに家づくりをしたい場合は、メインバンクに相談して審査基準を確認したり、開業1年から申し込み可能なフラット35を検討したりする方法があります。また、ペアローンや収入合算を利用して配偶者と協力することで、総返済能力を高め審査に通りやすくなる場合もあります。いずれにしても、黒字実績を積みながら資金計画を立てることが大切です。

まとめ

個人事業主が住宅ローンを利用するには、収入の安定性や納税状況など多くのポイントが審査対象になります。3年連続の黒字実績を作り、頭金を多めに用意して返済比率を下げること、税金や社会保険料を滞納しないこと、健康管理や信用情報の整備を行うことが欠かせません。メインバンクとの取引実績を積み重ね、個人事業主向けローンやフラット35など自分に合った商品を選びましょう。しっかりと準備を進めれば、個人事業主でも無理のない返済計画でマイホームを実現できます。

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この記事の編集者

「家づくりのとびら」編集部

NTTデータグループ会社が運営する注文住宅相談サービス「家づくりのとびら」編集部です。難しい住まいづくりの情報を、わかりやすく正確にお伝えします。記事は不動産鑑定士や宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修記事がメイン。初めての住まいづくりをサポートします!

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