- 変更日:
- 2026.03.27

長期にわたって数千万円の返済を続ける住宅ローンは、金融機関が契約者の返済能力を厳しく審査します。そのため、給与が安定している会社員や公務員に比べ、収入が変動しやすい個人事業主はハードルが高いと言われがちです。
しかし、事前に準備を行い、審査のポイントを理解すれば、個人事業主でも無理のない返済計画で自宅を手に入れることは十分可能です。
この記事では、国土交通省の調査など公的資料に加え、金融機関の公開情報も参考にしながら、審査の仕組みや具体的な対策を紹介します。
これから家づくりを検討する個人事業主の方に役立てていただけるよう、詳しく解説します。
この記事でわかること
- 住宅ローン審査で見られる項目と対策
- 必要書類と手続き
- よくある質問
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住宅ローンについてプロに相談をしたい方は、こちらの記事もご覧ください。
目次
個人事業主が不利と言われる理由
住宅ローンの審査では返済能力の安定性が最重要です。会社員は給与から税金や社会保険料が差し引かれた金額が口座に振り込まれるため、年収をそのまま審査に使えます。
一方、個人事業主は売上から経費を差し引いた所得が審査対象となり、節税目的で経費を多く計上していると所得が低く見えてしまいます。所得が低いと返済能力に余裕がないと判断され、希望額より大幅に減額される場合があります。さらに、事業の状況や体調不良が収入減に直結するため、金融機関は長期の返済が続けられるか慎重に見極めます。
審査項目は多岐にわたりますが、国土交通省の「民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、多くの金融機関が下記項目を審査項目としています。
- 完済時年齢
- 健康状態
- 借入時年齢
- 担保評価
- 勤続年数
- 連帯保証
- 返済負担率
- 年収
さらに、約51%の金融機関が「申込人との取引状況」を審査項目として挙げており、普段からメインバンクとの取引実績を積むことが重要と言えるでしょう。

水野 崇
個人事業主の審査では、売上よりも「確定申告で確認できる所得」とその推移が見られやすく、借入額の考え方も会社員と異なります。金融機関によって評価方法には違いがありますが、申込前の数年間は経費を適正に計上しつつ、必要以上に所得を下げないことを意識し、所得のブレがある場合は理由も整理しておきましょう。まずは「所得の推移」「納税状況」「他の借入」を確認し、現状を把握することが第一歩です。
審査で見られるポイントと対策
審査で特に重視される項目と、その対策をまとめました。キーワードごとにチェックポイントを確認し、対策を進めましょう。
| 審査のポイント | 意味・キーワード | 対策の概要 |
|---|---|---|
| 3期連続黒字 | 確定申告書3期分、平均所得 | 多くの金融機関が直近3年分の確定申告書・決算書をもとに平均所得を確認し、黒字が続いているか(所得の安定性)を確認します。赤字があると審査が厳しくなるため、事業計画を見直し、家づくりのタイミングを黒字が続く時期に合わせましょう。 |
| 自己資金(頭金)と返済比率 | 頭金、返済比率20~25% | 借入額が大きいほど審査は厳しくなります。返済比率(年間返済額÷所得)は低いほど良く、20~25%以下が目安とされます。自己資金を多めに用意し、借入額を抑えることで返済比率を下げる工夫が必要です。 |
| 税金・保険料の完納 | 納税証明書、国民年金・国民健康保険 | 個人事業主は自ら税金や社会保険料を支払うため、滞納がないか確認されます。少額でも未納があると「ローンの返済も滞納するのではないか」と判断されるので、事前に完納し納税証明書を取得しましょう。 |
| 健康状態 | 団体信用生命保険(団信)加入 | 多くの住宅ローンでは団信への加入が必須で、持病などがあると加入できない場合があります。健康状態が良いうちに申し込み、必要ならワイド団信(保険料が上がる代わりに加入しやすい保険)なども検討しましょう。 |
| 個人信用情報 | 延滞・滞納履歴、既存ローン | クレジットカードや他のローンの支払い遅延は信用情報機関に記録され、審査に影響します。カードローンやマイカーローンはできるだけ完済し、クレジットの支払いを遅れないよう管理します。 |
| 取引実績 | メインバンクとの関係 | 国交省の調査では約51%の金融機関が「申込人との取引状況」を審査項目として挙げています。日頃からメインバンクでの預金・入金や事業用口座の利用、公共料金の引き落としなどを行い、信頼関係を築きましょう。 |
この表を参考に、各項目ごとに計画的な準備を進めることが審査通過への近道です。
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3年連続黒字実績の作り方
多くの金融機関は直近3年分の確定申告書から平均所得を算出し、黒字が続いているかを確認します。事業を始めたばかりで実績が3年に満たない場合は審査が厳しくなることもあるので、家づくりの計画は早めに立て、黒字化を優先しましょう。経費の計上を適正に行い、必要以上に所得を減らさないことが大切です。所得が少ないと返済能力が低いとみなされるため、節税目的の経費計上は控えめにし、申告内容に誤りがある場合は適切に修正申告等で見直すことも検討しましょう。
頭金を用意して返済比率を下げる
返済比率は所得に対する年間返済額の割合で、数値が低いほど余裕を持って返済できると判断されます。頭金を増やして借入額を減らすことで返済比率が下がり、審査が有利になる場合があります。
たとえば、年収(所得)が400万円で返済比率を25%に収めるには年間返済額100万円以下が目安です。
フラット35のような長期固定金利ローンでは、年収400万円未満の場合返済負担率が30%以下、400万円以上の場合は35%以下と定められています。また、返済負担率は住宅ローン以外の借入も含めて計算されます。この数値を参考に、自身の所得と頭金でバランスの取れた資金計画を立てましょう。
税金・保険料の未納は厳禁
個人事業主は所得税や住民税、個人事業税、国民年金・国民健康保険料などを自分で納付します。滞納があると審査にマイナスとなり、金融機関から返済遅延リスクが高いと判断されてしまう可能性があります。納税証明書や納付確認書を取得し、未納分がないか事前に確認しましょう。
税金や社会保険料に未納があると延滞金が発生し、状況によっては財産の差し押さえなどの手続きに進むこともあります。住宅ローン返済よりも先に支払い対応が必要になる場合があるため、家計の負担が増える点にも注意が必要です。
健康状態と団信
団体信用生命保険(団信)は、返済期間中に契約者が死亡または高度障害になった場合に保険金でローン残高を完済する制度で、多くの住宅ローンでは加入が求められます。加入時には健康状態の告知(健康状態の申告)や診査があり、持病があると加入できないケースや、団信の種類によっては金利が上がる場合があります。
年齢とともに健康リスクは高まるため、身体が健康なうちに申し込むことがポイントです。また、ワイド団信と呼ばれる引受条件が緩和されたタイプもありますが、金利上乗せとなることが一般的です。
個人信用情報の改善
信用情報機関にはクレジットカードやローンの利用状況が記録されています。延滞や滞納の履歴があると、一定期間(目安として5年程度)は情報が残り、住宅ローン審査は大きく不利になります。スマートフォンの端末代金(分割払い)や、クレジットカード払いにしている公共料金等の支払い遅延も影響します。
毎月の支払いは必ず期日までに済ませ、他のローンはできるだけ早く返済して完済履歴を作りましょう。心配な場合はCICやJICC、KSC(全国銀行個人信用情報センター)に信用情報の開示請求をして、内容を確認すると安心です。
メインバンクや専門ローンの活用
国交省調査によれば、金融機関の約半数が申込人との取引状況を審査項目として挙げています。普段から事業用口座や生活費口座(個人口座)をメインバンクにまとめ、売上入金や支払いを集約することで銀行との信頼関係を築きましょう。メインバンクが事業内容を把握していれば、相談が進みやすくなる場合があります。
民間には個人事業主向け住宅ローンを用意している金融機関もあり、経営状態や所得に応じたプランを提案し、店舗兼住宅の相談にも対応しているケースもあります。開業年数(事業年数)や申告所得金額などの申込要件は金融機関によって異なるため、独立間もない事業主でも相談できる可能性があります。このような専門ローンは個人事業主の事情を踏まえて審査が行われるため、選択肢として検討すると良いでしょう。
フラット35や長期固定金利ローン
民間ローンに比べて審査が柔軟といわれるのが、住宅金融支援機構のフラット35です。フラット35は職業や勤務先ではなく、原則として申込年の前年の年収入(確定申告で確認できる所得等)をもとに審査されます。必要書類や開業年数の扱いは取扱金融機関によって異なり、確定申告書を2年分求められるケースもあるため、事前に確認しましょう。
前述したとおり、返済負担率が年収400万円未満で30%以下、400万円以上で35%以下と規定されており、住宅ローン以外の借入も含めて計算されます。フラット35は長期固定金利のため金利が変動しない安心感がありますが、変動金利と比べると金利が高めになることがあり、借入期間など条件に応じて適用金利が変わる点に注意が必要です。
ペアローンや収入合算
夫婦のどちらかが会社員・公務員で安定収入がある場合は、ペアローンや収入合算を検討すると良いでしょう。ペアローンは夫婦それぞれが別々にローンを組む仕組みで、合計融資額を増やしつつ、それぞれの返済比率を抑えられます。
収入合算は配偶者の収入を合算して借り入れる方法で、主債務者の返済負担率を下げる効果があります。いずれも配偶者が連帯保証人や連帯債務者になるケースが多く、借換え・売却時は手続きが複雑です。家計全体の資金計画を慎重に検討してください。

水野 崇
住宅ローン審査で見られるのは黒字実績だけではありません。収入(所得)に加え、他の借入を含む返済負担率、個人信用情報、納税状況、健康状態、物件の担保評価などを総合的に判断されます。返済負担率が高いと希望額の減額や条件見直しが起きやすいです。また、信用情報に不安がある場合は開示で内容を確認し、希望額や申込時期、頭金や既存借入の整理も含めて返済計画を組み直しましょう。
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必要書類と手続き
審査に通るためには、必要書類を漏れなく準備することが大切です。個人事業主が住宅ローンを申し込む際の主な書類を下記にまとめました。
| 審査段階 | 主な提出書類 |
|---|---|
| 事前審査 | 身分証明書、直近3期分の確定申告書の控え(青色申告決算書/収支内訳書を含む)、賃貸契約の写し(賃貸住宅に住んでいる場合)、事業の概要がわかる書類など |
| 本審査 | 納税証明書、不動産売買契約書、重要事項説明書、建物請負契約書、土地・建物の登記事項証明書(登記簿謄本)、印鑑証明書、住民票、団信の加入申込書、既存借入の残高証明書等 |
金融機関や物件種別によって必要書類は異なりますので、事前に確認し早めに準備を進めましょう。

水野 崇
個人事業主は提出書類が多く、不備や不足があると金融機関の審査が長引きます。確定申告書(青色申告決算書/収支内訳書を含む)は照合して確認され、数字の食い違いがあると審査が中断することもあります。また、住宅ローンを事業資金に流用するのはNGです。資金使途違反となれば一括返済を求められるおそれがあるため、事業資金は事業性ローンなど別手段を検討しましょう。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)
住宅ローン控除は、住宅の新築・取得または増改築を行い住宅ローンを利用した際に、年末時点の住宅ローン残高の0.7%を所得税から最大13年間控除できる制度です(住宅の区分・入居年により控除期間は異なります)。控除しきれない場合は、翌年の住民税から一定限度まで控除されます。
個人事業主でも利用できますが、店舗兼住宅の場合は居住部分のみが控除対象で、事業部分は対象外となります。控除を受けるには以下の主な要件を満たす必要があります。
- 新築・取得(増改築等)の日から6か月以内に入居し、その年の12月31日まで引き続き居住していること
- 住宅ローンの借入期間(返済期間)が10年以上であること
- 合計所得金額が2,000万円以下であること
- 床面積が40㎡以上(所得1,000万円超・上乗せ利用は50㎡以上)で、居住用部分が全体の2分の1以上を占めること
- 居住年およびその前2年・その後3年の計6年間に、居住用財産の譲渡特例を受けていないこと
例えば、2026・2027年に新築住宅に入居する場合は、省エネ基準に適合しない住宅は対象外となり、原則として一定の省エネ性能を満たす住宅でなければ住宅ローン控除を受けられません。省エネ基準への適合状況や、住宅性能を証明する書類の取得方法も確認し、早めに準備しましょう。

水野 崇
住宅ローン控除は個人事業主でも利用できますが、店舗兼住宅は「居住部分」に対応する範囲のみが対象です。入居年や住宅性能(省エネ要件等)により要件・上限が変わるため、契約前に最新条件で確認しておくことが大切です。なお、個人事業主は年末調整がないため、住宅ローン控除も「初年度だけ申告して終わり」ではなく、原則として毎年の確定申告で手続きが必要になります。忘れないようにしましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 個人事業主でも審査に通りやすい住宅ローンはありますか?
はい。個人事業主向けの住宅ローンを用意している金融機関があります。個人事業主の事情を踏まえた相談に対応しているケースもあるため、複数の金融機関で比較・相談するとよいでしょう。また、フラット35は職業や勤務先にかかわらず、原則として申込年の前年の収入を確認し、返済負担率などの基準にもとづいて審査されることから、個人事業主でも申し込みやすいとされています。ただし、長期固定金利のため変動金利より金利が高めになることがあり、借入期間や融資率など条件に応じて適用金利が変わる点を理解した上で利用しましょう。
Q2. 個人事業主でも住宅ローン控除を受けられますか?
受けられます。住宅ローン控除は年末のローン残高の0.7%を最大13年間所得税から控除する制度で、控除しきれない場合は翌年の住民税から一定限度まで控除されます。個人事業主でも条件を満たせば利用できます。借入期間が10年以上であること、合計所得金額が2,000万円以下であること、床面積が40㎡以上で居住用部分が2分の1以上であることなどの要件があります。店舗兼住宅の場合は居住部分のみが対象となる点に注意してください。
Q3. 事業がまだ2年目で黒字が続いていない場合、住宅ローンの申し込みは諦めるべきでしょうか?
すぐに申し込むのは難しい場合もありますが、その前に準備をすれば住宅ローンを受けられる可能性はあります。多くの金融機関が直近2〜3年分の確定申告書などで所得の推移や安定性を確認するため、黒字が続いていることは有利に働きます。早めに家づくりをしたい場合は、メインバンクに相談して審査基準を確認したり、フラット35など職業にかかわらず収入(年収)をもとに審査される商品も含めて検討したりする方法があります。また、ペアローンや収入合算を利用して配偶者と協力することで、総返済能力を高め審査に通りやすくなる場合もあります。いずれにしても、黒字実績を積みながら資金計画を立てることが大切です。
まとめ
個人事業主が住宅ローンを利用するには、収入の安定性や納税状況など多くのポイントが審査対象になります。黒字実績を積み上げ、頭金を多めに用意して返済比率を下げること、税金や社会保険料を滞納しないこと、健康管理や信用情報の整備を行うことが欠かせません。メインバンクとの取引は日頃から継続しつつ、個人事業主向けローンやフラット35など自分に合った商品を選びましょう。しっかりと準備を進めれば、個人事業主でも無理のない返済計画でマイホームを実現できます。
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