- 変更日:
- 2024.09.09
注文住宅を建てるために土地を探している方の中には、なるべく予算を抑えたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
そのような方におすすめなのが「旗竿地(はたざおち)」です。旗竿地であれば、好立地の土地でも比較的安く購入できます。
「安く購入できる」と聞くと逆に不安に感じてしまう方も多いため、本記事では旗竿地について以下の内容を解説します
この記事でわかること!
- 旗竿地で家を建てるメリット・デメリット
- 旗竿地での間取り事例
- 旗竿地に家を建てる際の注意点
なお、土地の形状の種類について知りたい方は「土地形状の種類!各メリット・デメリットや評価額・建物制限の違いは?」もご覧ください。
本記事を読んでいただければ旗竿地の特徴がわかり、旗竿地で実際に住宅を建てるイメージができるでしょう。
目次
1.旗竿地とは?どんな土地形状なの?
旗竿地は、以下の画像のような形状の土地を指します。
きれいな正方形や長方形の土地とは異なり、道路に接する部分(間口)が狭く細長い路地状になっており、奥にまとまった規模の土地が広がっている形状です。
旗竿地はもともと1つの大きな土地が相続などの諸事情によって分割してできたケースが多く、土地の価値が高い都市部に多く見られます。
旗竿地の他に「敷地延長」と呼ばれることも多いです。
2.旗竿地のメリット
通常の土地と比較すると特殊な形をしている旗竿地ですが、旗竿地ならではのメリットがあります。旗竿地のメリットは以下の4つです。
- 価格が相場よりも安い
- 固定資産税が抑えられる
- 道路から離れた静かな環境で暮らせる
- 路地部分を活用できる
旗竿地のメリットを理解することで、費用を抑えながらもより理想に近い住宅を建てられるでしょう。それぞれのメリットについて解説します。
2-1.価格が相場よりも安い
土地の価格は住所などの立地や大きさだけでなく、形によっても変わります。
一般的には正方形や長方形のような整形地と呼ばれる土地形状のほうが住宅を建てやすいため、需要が高く、土地の価格も高い傾向にあります。
一方で、旗竿地は住宅を建てる際に整形地よりも建築の自由度が下がってしまうことから、土地の価格も相場より安くなるのです。
旗竿地であれば好立地でも価格を抑えて購入できる可能性があるため、幅広く情報を入手しましょう。
2-2.固定資産税が抑えられる
旗竿地は物件価格だけでなく固定資産税も抑えられます。
固定資産税の計算のもととなる、固定資産税評価額は土地の形状に合わせて細かな計算をしたうえで求められます。具体的には以下のような内容です。
- 面積
- 間口の広さ
- 奥行き
旗竿地は敷地と道路が接する間口が狭いことに加え、奥行きがあるため、整形地よりも評価額が下がります。
このように旗竿地では、毎年かかるランニングコストを抑えられます。
家づくりにかかる税金については、以下の記事もご覧ください。
2-3.道路から離れた静かな環境で暮らせる
道路から離れた静かな環境で暮らせるのも、旗竿地のメリットです。
家の目の前が道路の場合、交通量によっては車の音などで騒がしく感じてしまうでしょう。旗竿地であれば、竿状の土地の分だけ道路からの距離があることに加え、道路と自宅の間に家があります。
そのため、通常の家より静かな環境で生活できます。また、道路を歩く人の目線が気にならないのも特徴と言えるでしょう。
2-4.路地部分を活用できる
旗竿地は路地部分(=竿状の部分)も自分の所有する土地であるため、活用方法は自由です。
玄関までのアプローチとしてガーデンニングをしたり、路地部分にも家を建てたりと、自分なりに工夫してみるのも楽しいでしょう。車を所有している場合は駐車スペースとしても使用できます。
具体的な間取り例は「4-1.路地部分を駐車スペースにする」でご紹介します。
ただし、路地部分は幅によって可能な使い道が異なるため、どのように活用するかはハウスメーカーの営業担当の提案も聞いてみましょう。
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3.旗竿地のデメリット
旗竿地のメリットについて解説しましたが、デメリットについてもしっかりと理解しましょう。旗竿地のデメリットは以下の4つです。
- 土地面積を十分に活かせない
- 日当たり・風通しに注意が必要
- 建築コストがかかるケースがある
- 駐車スペースが限られてしまう
旗竿地の価格だけに注目して購入してしまうと、後悔してしまうことにもなりかねません。旗竿地のデメリットを理解したうえで検討しましょう。
3-1.土地面積を十分に活かせない
旗竿地は土地面積を十分に活かせないケースが多いです。
特に、竿状の部分は、幅が狭ければ狭いほど、使い勝手に困るかもしれません。結果として通路にしか使っていないケースも多いです。
幅に余裕があるのであれば駐車場に使うこともできますが、そこまでの余裕がない場合は、駐輪場やガーデニングとして利用するなど、路地部分を持て余さない工夫も大事です。
3-2.日当たり・風通しに注意が必要
旗竿地は日当たり・風通しに注意が必要です。
旗竿地は広い土地を分筆して最後に残るケースが多いため、周囲がすでに他の家に囲まれていることが多いです。仮に購入時は周囲に家がなかったとしても、将来的に建物が建つ可能性が高いでしょう。
旗竿地で日当たりや風通しを確保するコツは「6-1.日当たりと風通しを確保する」で解説します。
3-3.建築コストが割高になるケースがある
土地価格が安い旗竿地ですが、通常の住宅よりも建築コストがかかるケースがあるため注意しましょう。
旗竿地は路地部分の間口が狭く重機が入れないため、家を建てる際の材料などを人力で運ばなければならないことも多くあります。その分工期や人件費がかかってしまいます。
また、前面道路が狭い場合、工事車両を近くの駐車場に置く必要があるため、駐車場代も余分にかかります。
3-4.駐車スペースが限られてしまう
旗竿地を購入しようと考えている方で、車を所有している場合は注意しましょう。
旗竿地では駐車スペースが路地部分しかありません。路地部分の間口と車のサイズによっては、駐車がギリギリになりスムーズな乗降ができないこともあります。
車のサイズと駐車スペースを確認したうえで購入しましょう。許可を取って一度駐車させてもらうのがおすすめです。
以上が旗竿地のデメリットです。
どのような土地が自分に合っているのか知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
4.【間取り事例あり】旗竿地を上手に活用して家を建てるコツ
旗竿地のメリット・デメリットについて解説しましたが、具体的にどのように旗竿地を活用すればいいのかわからない方も多いでしょう。
ここからは間取り事例をもとに、旗竿地を上手に活用して家を建てるコツについて解説します。
- 路地部分を駐車スペースにする
- 路地部分にも建物を建てる
- ガーデニング等でおしゃれなアプローチにする
それぞれについて解説します。
4-1.路地部分を駐車スペースにする
旗竿地を上手に活用する方法の1つ目は「路地部分を駐車スペースにする」です。
路地部分を駐車スペースにすることで、本来通路としてのみ使用する路地部分を有効活用できます。しかし、路地部分を駐車スペースにする場合は、路地部分の幅に気を付けましょう。
通常旗竿地の路地部分は2m以上の幅が確保されていますが、2mでは軽自動車がギリギリ通れるかどうかの幅です。少なくとも2.5m、可能であれば3mの幅を確保することで乗降もスムーズに行えるでしょう。
所有している車のサイズによっても異なるため、車幅+1〜1.5m程度で考えるのがおすすめです。
4-2.路地部分にも建物を建てる
旗竿地を上手に活用する方法の2つ目は「路地部分にも建物を建てる」です。
通常であれば路地部分は通路や駐車スペースとして利用することが多いですが、建物を建てられない訳ではありません。路地部分に建物を建てると細長い廊下のような間取りになりますが、趣味の絵を飾ったり、本を置いたりするスペースにおすすめです。
細長い間取りを活用できる方は、路地部分にも建物を建てることを検討してみましょう。
4-3.ガーデニング等でおしゃれなアプローチにする
旗竿地を上手に活用する方法の3つ目は「ガーデニング等でおしゃれなアプローチにする」です。
路地部分をただの通路にするのではなく、ガーデニング等でおしゃれに演出することで、道路から見ても華やかなイメージになります。
旗竿地は道路から建物の外観が見えづらい形状になっていますが、通路に近い部分をおしゃれにすることで外観のイメージをポジティブにできます。
「家を建てる際には外観にもこだわりたい」と考えている方は、以下の記事も参考にしてみてください。
旗竿地に家を建てる際の外観や、間取りに関してよりよいアイデアを見つけるには、旗竿地での新築実績が豊富なハウスメーカーと契約すること。
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5.旗竿地を購入する際の注意点
旗竿地の上手な活用方法がわかりましたが、旗竿地を購入する際には注意点があります。
注意点を踏まえて購入しなければ、理想の建物を建てられない場合もあるため、しっかりと確認しましょう。旗竿地を購入する際の注意点は以下の4つです。
- 路地部分の幅を確認する
- 建ぺい率・容積率・高さ制限を確認しておく
- インフラの整備状況を確認する
- 建築工事の可否を確認しておく
それぞれについて解説します。
5-1.路地部分の幅を確認する
旗竿地を購入する際には、路地部分の幅を確認しましょう。
特に駐車スペースとしての利用を検討している方は、自身の車を問題なく駐車できるか測る必要があります。毎日車庫入れをする場合には、あまりにも狭い幅ではストレスに感じてしまうでしょう。
また、不動産購入時の重要事項説明で説明がありますが、建築基準法では間口が2m未満の土地は「再建築不可」扱いとなり住宅の新築ができません。
道路と接する部分だけでなく、路地部分のどこか一箇所でも2m未満の箇所があると再建築不可になるため確認しておきましょう。
5-2.建ぺい率・容積率・高さ制限を確認しておく
希望の住宅を建てられるかどうかを判断するためにも、建ぺい率や容積率、高さ制限は事前に確認しておきましょう。
それぞれの用語の意味は以下のとおりです。
- 建ぺい率:敷地面積に対する建築面積の割合
- 容積率:敷地面積に対する延べ床面積の割合
- 高さ制限:建物の高さの上限
例えば、日当たりを確保するために3階建ての建物を建てようとしても、高さ制限によって3階建てにはできないケースがあります。
これらは各自治体によって定められているため、各自治体のホームページや市役所窓口などで事前に調べ、希望の住宅プランが実現できるかをチェックしておきましょう。
5-3.インフラの整備状況を確認する
旗竿地では、電気や水道などの生活インフラの整備状況を確認しましょう。
周辺が建物に囲まれている場合、電線が隣地の境界を越境していたり、水道管が隣地の地中を通って引き込まれていたりするケースがあります。
場合によっては私設電柱を建てる・水道管の引き込み工事を行うなど、費用がかかってしまいます。近隣住民とのコミュニケーションも発生するため事前に確認しておきましょう。
5-4.建築工事の可否を確認しておく
旗竿地を購入する際には、建築工事の可否を確認しましょう。
間口の広さや前面道路の幅によっては重機を利用できない場合があります。重機が利用できない場合、本来短時間で済む作業も手作業となり、工期が伸びるだけでなく、人件費も増えてしまいます。
「3-3.建築コストが割高になるケースがある」でお伝えしたとおり、立地環境によって建築コストも変わるため、事前に確認しなければなりません。
6.旗竿地に住宅を建てる際のポイント
旗竿地を購入する際の注意点がわかったところで、ここからは旗竿地に住宅を建てる際のポイントについて解説します。
ポイントを押さえて住宅を建てることで、より快適な生活を送れるでしょう。
旗竿地に住宅を建てる際のポイントは3つです。
- 日当たりと風通しを確保する
- 隣家との兼ね合いを意識する
- 旗竿地が得意なハウスメーカーに依頼する
それぞれについて解説します。
6-1.日当たりと風通しを確保する
旗竿地に家を建てる際には、間取りの設計時からどのように日当たりや風通しを確保するか入念に考えなければなりません。
例えば、以下のような工夫で採光・風通しにも配慮した設計にするとよいです。
- リビングを2階や3階といった上階に設置する
- 天窓を設置する
- 吹き抜けを作る など
6-2.隣家との兼ね合いを意識する
旗竿地では隣家との兼ね合いを意識する必要があります。
旗竿地は建物で囲まれているため、窓の位置などによっては近隣住民の視線が気になることもあるでしょう。より快適に生活するには近隣の建物を踏まえて、間取りや窓の配置を考える必要があります。
隣家との距離が近い場合は、生活音にも気をつけなければなりません。楽器の演奏や映画鑑賞が趣味の方などは、一部屋趣味用の防音室を作るのもいいでしょう。
6-3.旗竿地が得意なハウスメーカーに依頼する
旗竿地で住宅を建てる際には、旗竿地が得意なハウスメーカーに依頼しましょう。
旗竿地を得意としているハウスメーカーはノウハウも豊富なため、これまでの経験をもとにどのような点に注意すればいいのかアドバイスしてもらえます。
プロの意見を参考にすることで、より快適に生活できる住宅を建てられるでしょう。
以下の記事では、これまで多くの建築実績がある大手ハウスメーカーの特徴をまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
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まとめ
本記事では旗竿地に家を建てるメリット・デメリットや、旗竿地を上手に活用するコツについて解説しました。
都市部に多く見られる旗竿地は、個性的な土地形状から価格が相場よりも安い、固定資産税が抑えられるといった金銭的なメリットがあります。
本来であれば利便性が高く土地価格が高いエリアであっても、旗竿地であれば比較的安く購入できるため、利便性の高いエリアで生活したい方におすすめです。
しかし、旗竿地ならではのデメリットや注意点もあるため、検討する際には経験豊富なハウスメーカーに相談しながら進めましょう。
旗竿地は恥ずかしい?住んでみてメリットはあるの?
旗竿地は特殊な形をしているため、敬遠されがちですが、以下のようなメリットもあります。
- 価格が相場よりも安い
- 固定資産税が抑えられる
- 道路から離れた静かな環境で暮らせる
- 路地部分を活用できる
詳しくは「2.旗竿地のメリット」をご覧ください。
旗竿地は固定資産税評価額が抑えられる?
一般的な土地よりも抑えやすいです。
理由は「2-2.固定資産税が抑えられる」で解説していますが、固定資産税評価額が安いと、住み始めてからのランニングコストを抑えることができます。
旗竿地の注文住宅で失敗しないためには?
以下の点に注意するとよいです。
- 路地部分の幅を確認する
- 建ぺい率・容積率・高さ制限を確認しておく
- インフラの整備状況を確認する
- 建築工事の可否を確認しておく
詳しくは「5.旗竿地を購入する際の注意点」をご覧ください。
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この記事の編集者