ウッドショックとは?いつまで続く?2024年の住宅購入で気を付けたいこと

ウッドショックとは、2021年にアメリカ合衆国で発生した「木材価格の高騰」および、それにともなう多くの問題のことを指します。

国内でも影響が出始めており、木材の高騰が注文住宅の購入にどのような影響を与えるのか、販売価格にどのように反映されるのか、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

そこで、この記事では以下の内容について解説します。

この記事でわかること

  • ウッドショック(木材価格の高騰)の背景
  • 注文住宅に及ぼす影響と今後の予測
  • 購入を検討する際の対策や注意点

ウッドショックの今後の見通しや、これから住宅を購入するにあたって注意しておきたいことを理解し、後悔のない家づくりをしましょう。

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1.ウッドショック(木材価格の高騰)の理由とは?

なぜ、世界で木材の高騰は起こったのでしょうか。
主な要因として考えられることは3つあります。

ウッドショックの主な要因

  • 米国で住宅需要が急増
  • 中国での木材需要の急増
  • コロナ禍による木材輸送の縮小

以下より詳しく解説します。

1-1.米国で住宅需要が急増

木材の高騰の大きな要因となったのは、米国での住宅需要が急増したことでした。2020年(令和2年)は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、米国でも経済活動が停滞しました。

しかし、FRB(連邦準備制度理事会)によるゼロ金利政策の導入に伴って住宅ローンの金利が下がったため、多くの人々が一斉に住宅を購入したのです。

コロナ禍によって在宅ワーカーが増えたこと、人口の密集する都市の中心部から郊外への転居を希望する方が増えたことが、住宅購入意欲の増加につながりました。

また、住居用としての購入のみならず、不動産投資を目的として住宅を購入するケースもあり、米国における住宅建築の着工件数は、リーマン・ショック前の2006年(平成18年)以来の高水準となったのです。

米国では2×4(ツーバイフォー)と呼ばれている木材の骨組みと合板パネルを使った建築が主流であるため、住宅建築ラッシュとなった結果、住宅用木材の需要が増し、木材の値段が高騰しました。

米国・シカゴの木材先物価格によると、2020年(令和2年)4月上旬から2021年(令和3年)4月上旬にかけての1年間で、木材の価格が約4倍に上昇しています。

1-2.中国での木材需要の急増

住宅需要が急増したのは、米国だけではありません。
中国では新型コロナウイルス感染症禍が収束に向かってから、経済活動が活発化し不動産販売が増加傾向にあります。

2020年(令和2年)上半期はコロナ禍の影響で落ち込んだものの、下半期には上昇に転じて、最終的には前年比8.7%の増加を記録しています。中国で続く住宅建築ラッシュは、世界的な木材高騰の大きな要因のひとつになっているのです。

1-3.コロナ禍による木材輸送の縮小

木材が高騰した理由として挙げられるのは、住宅需要の増加だけではありません。コロナ禍によって、物流の流れが寸断されたことが大きく影響しているのです。

感染防止のために移動が制限されるケースが多々あり、陸上輸送では道路と線路の封鎖、海上輸送では港湾の封鎖、さらには国境通過時の検疫強化によって、世界の物流が寸断されました。

また、世界的なコンテナ不足も木材高騰の要因になっています。米中貿易摩擦やコロナ禍の影響により、コンテナ輸送の需要が減少し、コンテナ生産量が低下しました。

しかし、その後の米国の巣ごもり消費の増加や中国の早期の工場再開でコンテナ需要が急増。この急激な変化により世界的なコンテナ供給不足に陥ったのです。

2021年(令和3年)3月に起こったスエズ運河でのコンテナ船の座礁事故による物流の混乱の影響も混乱を助長した要因のひとつです。海外からの木材輸送が縮小され、木材不足が加速して木材高騰につながったのです。

少し難しい話のように感じますが、これから住宅を購入する方にとっては大事な話です。

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2.木材高騰が住宅購入者へ与える影響とは?

注文住宅の購入を検討している方にとって、木材の高騰はどのような影響を及ぼす可能性があるのか、詳しく解説します。

2-1.住宅の施工価格上昇の兆し

世界的な木材不足が、輸入木材の価格高騰につながっています。国産の木材を使うことで、住宅の施工価格の上昇を回避することはできないのでしょうか?

答えは残念ながら「NO」です。林野庁の発表によると、2019年(令和1年)度の日本国内の木材自給率は37.8%。9年連続で国内産が増加しつつありますが、現状では6割強は輸入材が占めています。

しかも輸入木材の価格高騰が、国産木材の値段上昇に波及する事態が起こっているのです。一部のハウスメーカーから住宅購入予定者に対して、「木材の高騰により住宅の施工価格を上げざるを得ません」と連絡が入ったケースもあり、少しずつ「ウッドショック」の影響が顕在化しはじめている可能性があります。

木材の高騰が本格化したのが2021年(令和3年)4月に入ってからのこと。今後、注文住宅の施工価格にどのように反映されていくかは不明であり、あくまでも予測の範囲でしか記述できません。

しかし、現時点での木材の値段からおおよその流れを推測することは可能でしょう。

住宅の梁の部材として使用されるヨーロッパからの輸入材「レッドウッド集成平角」は2020年度(令和2年度)には1立方メートルあたり5万2,000円程度で推移していました。

2021年(令和3年)4月には6万5,000円になり約1.25倍上昇。カナダ産のトウヒ・マツ・モミ類が使われている「SPFツーバイフォー材」は2020年(令和2年)には1立方メートルあたり5万円で推移していましたが、2021年(令和3年)4月には8万1,000円と約1.6倍に急上昇しています。

一般的な木造住宅の価格の中で、木材が占める割合は1割前後となっています。3,000万円の住宅ならば、その中の300万円が木材の価格です。仮に木材価格が2割上がるとすると、木材の価格は360万円になり、トータルで60万円分の上昇となります。

ただしこれはあくまでも計算上の数字で、1つの目安にすぎません。実際にはハウスメーカーが、さまざまな工夫を凝らして木材の価格上昇分を圧縮しているはずです。

木材価格の今後の推移も不明ですが、木材の高騰が継続している現状を踏まえると、施工価格が高くなる可能性があることは認識しておくべきでしょう。

2-2.住宅の着工時期の遅れる可能性

木材の高騰とともに、顕在化しつつあるのが木材不足です。家の重要な材料である木材がなければ、住宅を建築することはできません。注文住宅の着工の遅れはまだ目立った形では表面化していませんが、ハウスメーカーから「着工が遅れる可能性があります」との連絡が入ったという声も見られます。

独自の国産木材入手ルートの活用、代替可能な木材の入手など、ハウスメーカーがそれぞれ工夫を凝らして対応策を練っており、深刻な事態には至っていません。しかし、着工時期や納期にある程度の影響を及ぼすケースが出始めていることもまた事実なのです。

2-3.木材の種類によっては入手が困難

住宅を建てるためには、多くの種類の木材が使用されています。ハウスメーカーによっては柱や梁などの大きな構造材は確保できていますが、間柱や垂木といった小さな材料の確保が難しいなど、木材の材料によって異なる状況を抱えています。

「木材不足」という枠組みの中でも入手しやすい木材、入手が難しい木材があることを踏まえておくといいでしょう。

供給不足によって高騰傾向にある木材をいくつか挙げておきます。

高騰傾向にある木材

  • ホワイトウッド集成材
  • レッドウッド集成材
  • ベイマツ乾燥材
  • スギ乾燥材

上記の木材を使用する場合は、今後の傾向に注意が必要といえるでしょう。

ウッドショックによって住宅購入で損た後悔をしないためにも、ハウスメーカーや住宅プランを考える際には、注文住宅のプロの意見も取り入れてみましょう。

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3.注文住宅を購入する上での木材高騰への対策

注文住宅を購入する上での木材高騰への対策

注文住宅の購入計画を長期にわたって練ってきて、いざ購入しようという段階になって木材高騰のニュースを知り、とまどっている方もいることでしょう。木材高騰という状況の中で、注文住宅をスムーズに購入するための対策を3つ紹介します。

3-1.使用する資材の変更を検討する

注文状宅のメリットの1つとして、自由度の高さが挙げられるでしょう。使用する予定だった木材が大幅に高騰して不足している場合には、木材の種類を変更する、もしくは木材とは違う材料に変更するなど、調整することができます。

自由度の高さが木材高騰への対処を円滑化するのです。ハウスメーカーとのコミュニケーションをしっかり取り、手に入りやすい木材の使用を検討するのも有効な対策でしょう。

木材の種類は変更したくない、しかし予算オーバーは不可という場合には、設計士に相談して設計を一から見直し、以下のような構造を変更する方法も検討してみてください。

  • 梁の数を減らす
  • 床面積を少なくする

注文住宅を購入する上でどこにこだわるのか、何が重要なのか、優先順位を決めて対処していくことが、満足度の高い住居購入につながります。

3-2.購入する時期を再検討する

注文住宅の購入時期に余裕がある場合には、「ウッドショック」が一段落して木材の価格の高騰が落ち着くのを待つという選択肢もあります。ただし木材価格が今後どのように推移していくのか、「ウッドショック」がいつまで続くのか、予測することはきわめて難しいのが実状です。

長期間になってしまうことも想定する必要があります。また購入時期を延ばしたからといって、よりよい状況で購入できる保証がないことも踏まえておくべきでしょう。

3-3.購入期限がある場合は迅速に契約

住宅の購入タイミングは結婚、就職、転職、引っ越し、出産、子どもの入学など、さまざまな人生のイベントと連動するケースが多くなる傾向があります。住宅購入期限が決まっている場合には、ハウスメーカーと迅速に契約を結ぶという選択肢も検討すべきでしょう。

早く契約を結ぶことでハウスメーカーの木材調達の時期も早くなります。木材不足が徐々に深刻化している現状では、早く動くほど「ウッドショック」の影響が少なくなると考えられます。

ウッドショックだけでなく、注文住宅を建てる際には様々な疑問や不安が生じるはずです。そこでおすすめなのが、不安を解消しながら家づくりをサポートする無料相談サービス「HOME4U 家づくりのとびらです。

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4.木材高騰の状況で注文住宅を購入する注意点

前章では、注文住宅の購入を決定するにあたっての木材高騰への対策案を解説しました。この章では、すでに土地を購入済みの方や住宅購入の契約を進行中の方が注意すべきことを中心に解説します。

4-1.着工の遅れを考慮して計画を進めること

木材の高騰と木材不足という状況がある中では、住宅購入の契約を結んだからといって、施工スケジュールが予定どおりに進行するとは限りません。ハウスメーカーが必要な木材を入手できない状況もありえるからです。

着工の遅れや納期の遅れの可能性を考慮して、事前に備えておくのがいいでしょう。引っ越しの日時は決まっているけれど、新しい家がまだ完成していない、住むべき家がないといった事態は避けなければなりません。

納期の遅れが大きな損失につながる場合もあります。特に注意しなければならないのは、住宅ローン減税」制度に関わることです。

住宅ローン減税制度は居住開始時期によって、減税が適用される期間が変わります。

参考:国土交通省「住宅ローン減税

4-2.価格が高くなることを想定すること

注文住宅の価格は、仕様の変更やオプションの追加によって変動していくのが一般的です。木材の高騰により当初に予定していた価格よりも高くなる場合もありえます。

価格が高くなることを想定して、ある程度、予算に余裕を持たせておくのがいいでしょう。予算オーバーを避けたい場合には、仕様や材料の変更があるたびにハウスメーカーに確認することが必須になります。

4-3.工法や素材の変更がないか確認すること

木材不足によって、木材の種類が変更される場合も出てくるでしょう。例えば、ベイマツで作る予定だった梁を杉に変えた場合には、ベイマツよりも杉の強度が低いため、梁を大きくするのが通常のやり方です。

木材が変わることによって、構造や工法が変わる可能性も出てきます。ハウスメーカーにすべてを任せっきりにするのではなく、その都度確認することで、安心して住める住居を手に入れられます。

まとめ

木造の注文住宅購入を考えている方にとっては、「ウッドショック」という言葉の響きはあまり良いものではないでしょう。しかし、過度に不安を感じる必要はなく、木材が高騰しているからといって、木造の注文住宅をあきらめる必要もありません。

注文住宅は自由度が高いというメリットがあり、設計プランの微調整が可能です。ハウスメーカーの担当者、設計士などのプロに相談し、最新の情報を共有しながら着実に計画を進めていき、思い描いた住宅を手に入れてください。

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この記事の編集者

「家づくりのとびら」編集部

NTTデータグループが運営する注文住宅相談サービス「家づくりのとびら」編集部です。難しい住まいづくりの情報を、わかりやすく正確にお伝えします。記事は不動産鑑定士や宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修記事がメイン。初めての住まいづくりをサポートします!

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