賃貸併用住宅の建築費・価格の相場はいくら?価格を抑える方法も解説

賃貸併用住宅の建築費・価格の目安は、木造2階建てで坪単価77万〜110万円程度が相場です。

この金額をみて、「賃貸併用住宅を建てたいけれど、お金がかかりそうで心配…」という方も、いるのではないでしょうか。

賃貸併用住宅は一般住宅よりも建築費が高くなる傾向はあるものの、安く抑えるコツはあります。

この記事でわかること

  • 賃貸併用住宅の相場
  • 建築費が高くなる理由
  • 建築費を安く抑える方法

賃貸併用住宅の建築後にかかる費用も解説するので、賃貸併用住宅の資金計画時にはぜひ参考にしてください。

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1.賃貸併用住宅の価格・建築費はどのくらい?

賃貸併用住宅の価格・建築費はどのくらい?イメージ

賃貸併用住宅の建築費は、延床面積40坪の場合、3,080万~5,600万円が相場です。

「坪単価×延床面積」の式で求められ、構造によって価格に差が出ます。

まずは、賃貸併用住宅の坪単価と建築費の内訳を解説します。

1-1.【構造別】賃貸併用住宅の坪単価

構造別にみた賃貸併用住宅の坪単価の相場は、次のとおりです。

構造別:賃貸併用住宅の坪単価相場
構造階数の目安坪単価※
木造2階建て77万~110万円
鉄骨造2~3階建て80万~120万円
重量鉄骨造3~5階建て90万~130万円
鉄筋コンクリート造3階建て以上100万~140万円

※目安です

賃貸併用住宅を建てるのに必要な坪数は、間取りや階数などによっても異なりますが、一般的には40坪以上あれば建てやすいでしょう。

例えば、延床面積40坪の賃貸併用住宅を建てる場合、建築費の相場は次のとおりです。

延床面積40坪の賃貸併用住宅費用相場

  • 木造:3,080万~4,400万円
  • 鉄骨造:3,200万~4,800万円
  • 重量鉄骨造:3,600万〜5,200万円
  • 鉄筋コンクリート造:4,000万〜5,600万円

なお、坪単価は地域やハウスメーカー、内装・設備、間取りによっても変動します。

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1-2.建築費の内訳

建築費の内訳は、「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つに分けられます。
内訳は、次のとおりです。

家づくりにかかる費用

本体工事費は、建物の建築にかかる費用です。
各種工事費のほか、内装や外装、設備等の設置工事費用も含まれます。

付帯工事費は、外構工事費や地盤改良工事費など、建物を建築すること以外にかかる費用です。
古い建物を建て直すときは、解体費用もかかります。

諸費用は、建築以外でかかる費用です。
印紙代やローン手数料など手続きに関連する費用のほか、登記関連費用、不動産取得税、火災保険料も必要です。
賃貸併用住宅の場合、入居者を募集する際の費用もここに含まれます。

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2.賃貸併用住宅の価格が高くなる理由

賃貸併用住宅の建築費は、一般的な戸建て住宅や賃貸住宅よりも高くなる傾向にあります。
高くなる理由は、次の2つです。

賃貸併用住宅が高い理由

  • 賃貸部分の住宅設備が多いため
  • 自宅部分にもこだわりたいケースが多いため

詳しく見ていきましょう。

2-1.賃貸部分の住宅設備が多いため

賃貸併用住宅の建築費が高くなるのは、賃貸部分の住宅設備が多いためです。

戸建て住宅では、キッチンやトイレ、浴室などの住宅設備は1つずつ設けるのが一般的です。
しかし、賃貸部分を設ける賃貸併用住宅では、これら住宅設備を各室に設けなければなりません。

賃貸の戸数が多ければ、それだけ住宅設備も増え、建築費が高くなります。

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2-2.自宅部分にもこだわりたいケースが多いため

賃貸併用住宅では、自宅部分にこだわりたいという方が多いです。

自宅部分を持たない「賃貸住宅」であれば、内装・外装、住宅設備など、あらゆる点でグレードを必要最低限に抑えるのが一般的です。

一方、「自分が住む」前提の住宅を建てる際には、さまざまな点にこだわりを持って建築することが多いため、グレードを上げたり、好みのデザインを採用したりする分、価格も高くなります。

賃貸併用住宅でも同じです。
自宅部分にはご自身が素敵だと思うプランを採用するケースが多いため、その分、費用が割高になるのです。

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3.賃貸併用住宅の価格を抑える方法

賃貸併用住宅の価格を抑える方法イメージ

賃貸併用住宅の価格をできるだけ抑えるには、次の4つの方法を検討しましょう。

賃貸併用住宅の価格を抑える方法

  • 自宅部分を50%以上にする
  • 間取りを横割り(上下)にする
  • シンプルな間取りにする
  • 各賃貸部分の延床面積を40平米以上にする

それぞれ、詳しく解説します。

3-1.自宅部分を50%以上にする

自宅部分が50%以上であれば、金利が高い傾向にある「アパートローン」ではなく、「住宅ローン」を利用できることがあります。

賃貸併用住宅を建てる際は、多くの人がローンを利用します。
賃貸併用住宅は自宅としても利用することから、アパートローンのほか、住宅ローンの利用も可能であることが多いのです。

各ローンの金利相場

  • アパートローン:2〜4%程度
  • 住宅ローン:1%以下程度

※金融機関により異なる

住宅ローンは、国民に住宅を取得させるという政策的な観点があり、金利が低く抑えられています。
金利は金融機関によって異なりますが、1%以下で利用できることもあります。

ただし、多くの金融機関が住宅ローンに「住宅の面積のうち自宅の居住スペースが50%以上であること」という要件を設けています。

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3-2.間取りを横割り(上下)にする

住宅部分と賃貸部分を分ける方法は、上下に分ける「横割り」と、1階と2階を「縦割り」の2つのタイプに分かれます。

横割り・縦割りのイメージ

横割り・縦割りのイメージ

このうち、建築費を抑えられるのは横割りタイプです。
シンプルな間取りにしやすいため、工事の手間や建材の利用を減らせるためです。

ただし、しっかり考えて決めたいのは、自宅部分を1階と2階のどちらにするかです。
これにより住み心地は大きく変わるため、各々の生活に合ったフロアを選ぶ必要があります。

また、賃貸部分をどちらにするかで、入居の需要が変わることも把握しておきましょう。
1階は日当たりや防犯面の点で、2階以上の部屋よりも需要が低くなる傾向になります。
1階を賃貸とした場合は2階を貸し出す場合よりも賃料を低くする必要も出てくるかもしれません。

それぞれのメリット・デメリットを確認し、どちらにするかを決めてください。

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3-3.シンプルな間取りにする

建築コストを抑えるには、できるだけシンプルな間取りやデザインにすることも大切です。

1階と2階の床面積が同じ「長方形」や「正方形」のシンプルな作りにすれば、外壁材にかかる費用を削減できるでしょう。

また、同じ床面積でも、部屋数が増えると壁や設備も増えることになり、それだけ建築費用が高くなります。部屋数を減らして簡単な仕切りを入れる、書斎は作らずにスペースの一部を活用するなどの工夫で、建築費を抑えられるでしょう。

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3-4.各賃貸部分の延床面積を40平米以上にする

賃貸部分の延床面積を40平米以上にすることで、不動産取得税の軽減が可能です。

不動産取得税とは

不動産の取得にかかる税金であり、賃貸・住宅用問わずあらゆる不動産を取得したときに1回だけ課税される

税率は土地および建物の「固定資産税評価額」の4%に相当する額ですが、特例によって2027年3月31日までは3%に減額されます。

さらに、不動産取得税には軽減制度があり、適用条件は以下のとおりです。

不動産取得税の軽減制度の要件

1戸あたりの延床面積が40平米以上・240平米以下

この制度が適用されると、1戸につき1,200万円が住宅部分の課税標準から控除されます。

参考:国土交通省「不動産取得税に係る特例措置

控除額の例を見てみましょう。

控除シミュレーション例

新築:4戸(賃貸部分が3戸)の賃貸併用住宅の場合
自宅部分:50平米以上
賃貸部分:40平米以上

1,200万円×4=控除額4,800万円

ちなみに、40平米は25畳ほどの広さで、1LDKの間取りに適しています。
主に、単身者や2人暮らしが入居対象になるでしょう。

このような不動産税の対策も含め、自分に合った賃貸併用住宅を建築するためには、実績を多く持った頼れるハウスメーカーと一緒に家づくりを進めていくことが大切です。
検討段階では複数のハウスメーカーの住宅プランを比較し、「本当に自分たちに合った建築依頼先」をしっかり吟味することが大事です。

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4.建築後にかかる費用

家は初期費用だけでなく、建築後にもランニングコストやメンテナンスなどの費用がかかります。

特に、賃貸併用住宅では賃貸経営をするため、一般の戸建て住宅とは異なるコストがかかります。

最後に、賃貸併用住宅の建築後にかかる費用についてお伝えします。

4-1.賃貸経営のランニングコスト

賃貸経営で定期的にかかるコストには「管理費」や、賃貸部分に関する「税金」「ローン返済」があります。

管理費

管理業務をオーナー自身が行えば管理費はかかりませんが、賃貸部分の管理を委託する場合は管理費が発生します。

管理費は、主に「管理委託」と「サブリース」に分けられます。

管理費の種類例
管理委託管理会社と管理の委託契約を締結する方式
サブリース転貸(又貸し、転貸し)による管理方式

管理委託の場合、費用相場は家賃収入の5%程度です。
管理業務の範囲や管理会社によって変わります。

一方、サブリースでは、賃貸部分をサブリース会社(管理会社)に貸し出し、管理会社が各入居者に対して転貸します。入居者の賃料から約10〜20%を差し引いてオーナーに賃料が支払われる仕組みが一般的です。

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税金

建築後は、土地と建物にそれぞれ「固定資産税」および「都市計画税」がかかります。

賃貸併用住宅を建てるうえで押さえておきたいのは、土地に対して「小規模住宅地の特例」が適用され、負担が軽減されることです。

小規模住宅地の特例による税額の軽減

  • 固定資産税:1戸あたり200平米までの広さの土地の評価額について、6分の1に軽減
  • 都市計画税:1戸あたり200平米までの広さの土地の評価額について、3分の1に軽減

※参考:国土交通省「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

賃貸併用住宅では賃貸部分も1戸としてカウントできるため、減額面積を広く設定できます。

例として、固定資産税の軽減措置を見てみましょう。

270平米(約80坪)の土地に戸建て住宅を建てた場合、6分の1の軽減措置が受けられるのは200平米までです。

一方、同じ広さで賃貸併用住宅を建て、自宅部分と賃貸部分が合計3戸ある場合は、270平米すべてに6分の1の軽減措置が適用されます。

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ローン返済

建築後は、ローンの返済もあります。賃貸併用住宅では、自宅部分を50%以上にすると住宅ローンの利用が可能です。

住宅ローンは金利が低く、最大35年の長期返済も可能であり、毎月の負担を軽減できます。
一方、アパートローンなど住宅ローン以外のローンは住宅ローンと比較して金利が高い上に、借入期間もそれほど長く設定できません。

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4-2.修繕・メンテナンス費用

家には修繕・メンテナンス費用がかかります。

特に、賃貸併用住宅は各賃貸部分にキッチンや浴室などの設備が備えられているため、その分修繕・メンテナンスも多く必要になり、支出は高くつくでしょう。

入居者が負担する部分もありますが、通常の利用による経年劣化などはオーナー負担が一般的です。

修繕・メンテナンス費用一例
項目費用相場
クロスやフローリングの張り替え6万~8万円/戸
給湯器の交換数千~6万円/戸
外壁塗装200万円/戸

※目安です

クロスやフローリングの張り替えは、入居者が退去するタイミングで行うのが一般的です。

給湯器が経年劣化で故障や不具合が起きたときも、オーナーに修繕・交換の義務があります。

外壁塗装は10〜15年に一度の頻度で定期的に行う必要があり、2階建ての賃貸併用住宅の場合で費用相場は200万円程度です。

建物の修繕・メンテナンス対応は、入居率にも影響します。
建物を適切に管理していくことで、空室のリスクを抑えられるでしょう。

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このように、家づくりの際には念頭に置いておきたい出費が多々あります。

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まとめ

賃貸併用住宅は賃貸部分の設備に費用がかかり、戸建て住宅を建てるよりも建築費が高くなりがちです。

金利が高い「アパートローン」でなく、「住宅ローン」の利用も可能ですが、自宅部分が50%以上という要件がある金融機関が多いため念頭に置いておきましょう。

また、初期の建築費だけでなく、建築後も管理費や税金など諸費用がかかることを把握しておきましょう。

賃貸併用住宅の価格は、間取りを「横割り」にしたり、シンプルな間取りにしたりするなどの工夫によって抑えることが可能です。

時には無料サポートサービスを活用しながら、効率よく無理のない資金計画を立ててくださいね。


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この記事の編集者

「家づくりのとびら」編集部

NTTデータグループが運営する注文住宅相談サービス「家づくりのとびら」編集部です。難しい住まいづくりの情報を、わかりやすく正確にお伝えします。記事は不動産鑑定士や宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修記事がメイン。初めての住まいづくりをサポートします!

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