2022年問題(生産緑地問題)はどうなった?わかりやすく解説

2022年問題とは、2022年に生産緑地の売却が増え、土地価格が下がる可能性があったというものです。

生産緑地とは

農業を継続することで税制上の優遇が得られる土地のこと。
生産緑地は農地として利用することで税制上の優遇を受けるが、2022年にその指定を解除することができた。

実際には、生産緑地問題に対してさまざまな対策を国が講じたため、大きな土地価格の暴落は発生していません。(2023年8月現在)※詳しくは2章で解説しています。

土地の購入時期にはタイミングがあります。
本記事では「生産緑地問題」について解説するので、こういった過去の情報も取り入れながら、上手に情報をキャッチできるよう準備しておきましょう。

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1.2022年問題(生産緑地問題)とは?土地が安く買える可能性がある理由?

土地が安く買えるかもしれなかった2022年の生産緑地問題とは何でしょうか。生産緑地問題について、下記の内容を解説します。

1-1.2022年は「生産緑地」の指定解除の年!

なぜ不動産業界において2022年が注目されているのでしょうか。それは2022年に多くの「生産緑地」指定が解除されるためです。

生産緑地問題を知るためには、まずは「生産緑地」についての理解を深めましょう。本章では、以下の二点について解説します。

  • 生産緑地が指定された理由
  • 生産緑地の条件

生産緑地が指定された理由

遡ること1974年。住宅不足に悩んでいた日本は、農地を宅地へ変えて市街化を進めるために生産緑地法を公布しました。

しかし急速に市街化が進む一方で、1991年には逆に都市環境を悪化させるとして、一定の要件に該当する土地を30年間は宅地に変更するのを制限する「生産緑地法の改正」を行ったのです。

生産緑地に指定された土地は、宅地への転用や売却に制限がかけられますが、農業を継続して行うことで税制上の優遇を受けています。そして当時指定を受けた土地が、ちょうど30年を迎えるのが2022年です。

参考:e-GOV「生産緑地法

生産緑地の条件

それではどのような土地が生産緑地として指定を受けているのでしょうか。
生産緑地の条件は下記の通りです。

  • 良好な生活環境の確保に相当の効用があり、かつ、公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているものであること
  • 500平方メートル以上の面積であること
  • 農林漁業の継続が可能な条件を備えていると認められること

また生産緑地は税制の優遇が受けられる一方で下記の制限を受けています。

  • 土地を農地として管理すること
  • 生産緑地であることを掲示すること
  • 生産緑地内において、建築物の建築や工作物の造成を行わないこと

こういった優遇や制限が解除されるのが生産緑地問題です。

参照:国土交通省「生産緑地制度

1-2.生産緑地問題がもたらす影響

実際に2022年になり生産緑地の指定が解除されることで、どのような影響が予測されていたのでしょうか。

生産緑地問題がもたらす影響は、大きく下記の2つでした。それぞれ、詳しく解説していきます。

  • 地価が下がる可能性がある
  • 影響を受けるのは、東京・関東・名古屋・大阪など都市部

地価が下がる可能性

現在生産緑地として指定されている土地が宅地になることで、宅地の供給数が増加し、需要と供給の関係から地価が下がるのではないかと考えられていました。

「生産緑地が宅地になったとしてそれほど影響が出るの?」と感じる方も多いのではないでしょうか。特に都心に住んでいる方にとっては身近に生産緑地がないという方も多いでしょう。

しかし全国には約1.2万ヘクタールの生産緑地があり、東京だけでも約3,300ヘクタールあります。東京ドームが約4.7ヘクタールのため、東京ドーム700個分以上の土地が突然市場に流通する可能性があるということです。

東京ドーム700個分の土地が市場に流通してしまったら供給過多になるというイメージもできるのではないでしょうか。

注目は東京・関東・名古屋・大阪など都市部

生産緑地問題で特に注目すべきは東京を含む関東や、名古屋、大阪といった都市部でした。なぜなら生産緑地のほとんどは3大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)に集中しているためです。逆に三大都市圏以外にある生産緑地は全国で100ヘクタール程度であり、生産緑地問題の影響はあまりないといわれていました。

地価は都市部のほうが高いため、都市部で大幅な地価の下落があると日本経済全体に影響を与えるかもしれません。三大都市圏での住宅購入を検討している方は今後の市場動向に注目しましょう。

参照:国土交通省「PDF農地面積の現状

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2.生産緑地問題の現在の見通し

ここまでは、2022年に生産緑地が解除される生産緑地問題についての一般的な考えを解説しました。不動産価格が下落するかもしれないと不安に感じてしまった方も多いでしょう。

ここからは生産緑地問題の「現在の見通し」について解説します。

生産緑地問題の現在の見通しは下記の通りです。

  • 税金の優遇措置の10年延長を選ぶ土地主が多い
  • 【生産緑地問題】で家の購入を保留する必要性は低い

それぞれについて解説します。

2-1.税金の優遇措置の10年延長を選ぶ土地主が多い

2022年に生産緑地が一斉に解除されてしまうと、地価に影響を与える懸念がありましたが、冒頭でもお伝えしたとおり、今のところ土地価格の大きな暴落は発生していません。
これは、国がこの問題に対し、さまざまな対策を講じていた結果です。

例えば、生産緑地の新たな選択肢として、「税制優遇措置の延長」を追加しました。
2022年には多くの生産緑地の指定が解除される予定でしたが、土地の所有者は10年間の延長を選べるようになりました。そして多くの土地所有者が延長を希望しています。国土交通省は、2022年6月末時点の「PDF 特定生産緑地指定状況」において、生産緑地全体の89%が指定済み・指定見込みであると報告しています。

それではなぜ、多くの生産緑地所有者は税制優遇措置の10年間延長を申請しているのでしょうか。その理由には、生産緑地の活用方法の幅が広がったことが挙げられます。

もともとは農業を営むしか選択肢のなかった生産緑地に下記のような選択肢が追加されました。

  • 第三者に農地を貸す
  • 収穫した作物を製造・加工・販売する専用施設の建築
  • 収穫した作物による農家レストランなどの活用

農業を営む以外の選択肢が増えたため、農家としての可能性やビジネスを広げるきっかけになったといえるでしょう。生産緑地を第三者に貸せるようになったことで、都市型農家や避難地利用といった需要にもマッチします。

生産緑地所有者の中には高齢で自分では農業を営めない方もいます。そのような方にとっても生産緑地の使い道が増えたことは嬉しいことでしょう。このような理由から10年間の税制優遇措置延長を希望する所有者が多いのです。

2-2.【生産緑地問題】で家の購入を保留する必要性は低い

生産緑地の制限解除を迎える2022年以降に地価の下落が懸念されていますが、家の購入を保留する必要性は低いといえるでしょう。

なぜなら先程解説した通り、生産緑地所有者の9割が10年間の税制優遇措置の延長を申請しているといわれているためです。もともと生産緑地問題は多くの生産緑地が一斉に解除され、供給量が大幅に増えることへの懸念でした。

土地が供給過多となり、需要と供給のバランスが崩れ地価が下落すると考えられていましたが、多くの生産緑地の所有者が延長を申請していることから、以前の懸念点は解消されたといえるでしょう。

「もしも残りの1割が一斉に解除された場合は、どうなるのだろう」という不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。結論としては、仮に残り1割の生産緑地が一斉に解除されたとしても、影響は限定的と考えられます。なぜなら生産緑地の多いエリアは、もともと地価がそれほど高くないエリアであるためです。

例として東京の生産緑地について見てみましょう。こちらは東京都都市整備局が公表している東京のPDF生産緑地地区一覧です。

こちらを見る限り、東京の生産緑地のほとんどは東京23区外に位置していることがわかります。特に生産緑地が多いエリアは下記の通りです。

  • 八王子
  • 立川
  • 町田
  • 東村山

どのエリアも東京23区と比べると地価が低いエリアです。このことからも、生産緑地解除による地価下落は限定的と考えられるでしょう。

土地購入で失敗しないためにも、注文住宅のプロに土地探しをサポートしてもらったり、不動産関係の最新情報を教えてもらったりしてスムーズにプランを立てていきましょう。

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3.生産緑地問題の対策

生産緑地問題に向けてやるべきことは以下の2つでした。

それぞれについて解説します。

3-1.購入希望エリアの生産緑地を調べる

住宅の購入を検討している方は、生産緑地問題への対策として購入希望エリアの生産緑地について調べましょう。

生産緑地所有者の9割が10年間の税制優遇措置を申請しているとはいえ、残る1割が解除されて宅地として流通した際には、少なからず地価への影響が考えられます。

住宅の購入を検討している方にとっては、地価が下がるのであれば損をしたくないと考える方も多いでしょう。そこで、購入希望エリアに生産緑地がどの程度あるかによってリスクを見極められます。

生産緑地が少ないエリアであれば、生産緑地問題の影響はほぼないといえるでしょう。生産緑地が多いエリアであれば、エリアの中でもどのように分布しているのかを確認しましょう。

ちなみに東京都において山手線の内側に生産緑地はありません。都心での購入を検討している方には、生産緑地問題の影響は少ないといえるでしょう。

東京都都市整備局が公表しているPDF生産緑地地区一覧によると、東京都において生産緑地が多いエリアトップ3は下記のエリアです。

1位:八王子市
2位:町田市
3位:立川市

東京26市
生産緑地の面積件数
八王子市226.921,046
町田市232.681,023
立川市198.09372
東京23区内
生産緑地の面積件数
練馬区177.76649
世田谷区84.89498

これらのエリアで住宅購入を検討している方は、生産緑地について詳しく調べる必要がありました。仮に生産緑地が密集しているエリアで購入した場合、生産緑地問題の影響を受けてしまうかもしれないからです。

ご自身が家を建てたいと考えているエリアの相場や状況については、「土地の相場検索」をご利用ください。

3-2.資金計画を立てる

生産緑地問題への対策に限らず、家を建てる際には資金計画が重要です。

住宅の購入予算や住宅ローンの返済計画など、多くのことを念頭においた資金計画を立てましょう。資金計画を疎かにしたために、住宅購入で失敗してしまった人は数多くいます。

具体的にはまず、下記のような内容について考えてみてください。

  • 購入予算&毎月返済額
  • ボーナス返済の有無
  • 金利の選択
  • 何歳までに完済するか
  • 単独でローンを組むか、ペアローンにするか

これらのことをしっかりと考えられれば、万全の資金計画を立てられるでしょう。もちろん住宅購入についてはローンなどお金に関する知識だけでなく、自分たちの今後のライフプランについて考えなければなりません。

ご家族やパートナーの方と、今後の将来プランについて、以下のような内容をよく話し合っておきましょう。

  • 子どもは何人欲しいか
  • 何歳までに子どもを作るか
  • 夫婦共働きを続けるか
  • 両親と生活する予定はあるか
  • 病気になった際にどうするか

なかにはあまり深く考えたくないようなこともあるでしょう。しかし早い段階で自身のライフプランを明確にしておくことで、スムーズに住宅購入に臨めます。

こうして見てみると、注文住宅の検討を進めるのはとても大変で、「やっぱり注文住宅は無理かも…」と思う方も少なくありません。そんな方におすすめなのが、家づくりのとびらの無料サポートサービスです。

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まとめ

本記事では不動産における「2022年問題(生産緑地問題)」について解説しました。
それではおさらいです。

この記事のポイント

2022年問題(生産緑地問題)とは?

2022年問題(生産緑地問題)とは多くの生産緑地が解除されることで土地の供給量が大幅に増え、地価の下落が懸念されていた問題です。生産緑地は東京だけでも約3,300ヘクタール(東京ドーム700個分以上)あります。

2022年問題の観点から家を買うのはどう?

広大な土地が市場に流通することが危惧されていた生産緑地問題ですが、結論としては10年間の制度延長を希望する土地所有者が多く、予想していたような土地価格の暴落は発生していません。

したがって、2023年度に家を買う際には、たいして気を使う必要はないでしょう。

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この記事の編集者

「家づくりのとびら」編集部

NTTデータグループが運営する注文住宅相談サービス「家づくりのとびら」編集部です。難しい住まいづくりの情報を、わかりやすく正確にお伝えします。記事は不動産鑑定士や宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修記事がメイン。初めての住まいづくりをサポートします!

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