- 変更日:
- 2025.11.21

長年暮らした戸建住宅を「新築同様」にしたい――そんなときの選択肢の1つがフルリフォームです。家の基礎や柱など構造躯体を残したまま内外装や設備を一新するため、建て替えより短い工期で費用も抑えやすいのが特徴です。
一方で、工事内容が多岐にわたるため費用相場が分かりにくく、計画の立て方によって総額が大きく変わります。
この記事では一次情報に基づいて、一戸建てのフルリフォームの概要と費用相場、注意点を解説します。
この記事でわかること
- フルリフォームと建て替えの違い
- フルリフォームのデメリット、メリット
- 費用を抑えるポイント

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注文住宅の基礎知識や、建売・分譲住宅との違いについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
目次
フルリフォームと建て替えの違い
フルリフォームとは、住宅の基礎や柱など主要な構造部分を残したまま、内装・水回り・外装・設備など家全体を全面的に改修することを指します。
これに対し、建て替えは既存建物を解体して新築するため、解体費用や基礎工事費用が追加されます。
リフォーム専門会社によると、木造戸建のフルリフォームは1㎡あたり30万円程度から、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は35万円程度からが目安で、同じグレードで建て替えた場合は60万円/㎡〜とされています。
既存の構造を活かすフルリフォームは建て替えより費用を抑えやすい一方、構造上取り除けない壁や柱が間取り変更の制約となることがあります。
フルリフォーム費用の目安
複数の調査によると、一戸建て全体のフルリフォーム費用は350万〜2,000万円程度と幅があります。
費用が大きく変動する理由は、工事範囲や築年数、設備のグレード、耐震補強の必要性などが物件ごとに異なるためです。
特に築30年以上の古い住宅では給排水管の交換や耐震補強が必要になる場合が多く、費用が高くなりがちです。
坪数別費用相場
リフォーム専門サイトでは築年数別に坪単価の目安を公表しています。
建物の延床面積1坪(約3.3㎡)あたりの費用:40〜80万円
例えば、下記の場合がフルリフォームの目安です。
- 25坪の木造住宅で180〜650万円
- 30坪の木造住宅で240〜750万円が内装+水回り
しかし改修規模にも異なり、築20〜30年の住宅で屋根外壁や耐震補強まで含む大規模改修の場合は、30坪の物件で300〜2,190万円と価格帯が上がる傾向があります。坪単価は設備のグレードや解体量によって変動するため、複数社から見積もりを取得して比較することが重要です。
部位別の価格目安
フルリフォームでは水回り、内装、屋根・外壁などを同時に施工することが多いですが、それぞれの相場を知っておくと予算組みがしやすくなります。
| 工事項目 | 主な内容 | 相場の目安 |
|---|---|---|
| 水回り | キッチンや浴室、トイレ、洗面台の交換・配置変更 | システムキッチン交換50~100万円、浴室交換50~150万円、トイレ交換15~50万円など |
| 内装 | 壁紙・床材の張替え、建具や収納の交換 | クロス張替え6~30万円、畳→フローリング15~60万円 |
| 間取り変更 | 間仕切り壁の設置や撤去、部屋の増減 | 小規模な変更は20~350万円、壁の新設は8~25万円、撤去は7~23万円 |
| 屋根・外壁 | 外壁塗装・張替え、屋根塗装・葺き替え | 外壁塗装60~180万円、張替え180~260万円、屋根塗装15~80万円、葺き替え70~260万円 |
| 耐震・断熱改修 | 基礎や金物による補強、窓や床の断熱工事 | 耐震補強20~200万円、内窓設置6~12万円、床暖房設置50~150万円 |
費用を左右する要因
フルリフォームの見積もりを依頼すると、同じ床面積の物件でも会社によって価格が大きく異なることがあります。これは、改修範囲や建物の状態だけでなく、以下のような要因が絡み合っているためです。
- 築年数と劣化状況
築年数が古くなるほど劣化が進み、給排水管の交換や耐震補強が必要になる可能性が高くなります。1981年以前に建てられた旧耐震基準の住宅では、基礎からの補強に100~200万円程度かかるケースもあります。
- 建物の構造と規模
木造より鉄骨造やRC造の方が材料費や工事費が高くなる傾向があります。また、階数が増えると足場工事や耐震補強の費用が増えることもあります。
- 地域差と人件費
都市部は職人の人件費や材料費が高いため、同じ規模でも地方より高額になる場合があります。リフォーム会社の得意分野や下請け企業の有無も影響します。
- 設備・素材のグレード
キッチンやバスなどの水回り設備、内装材、外壁材のグレードによって数十万~数百万円の差が生まれます。設備にこだわるほど坪単価は上がりやすくなります。
- 間取りの変更度合い
壁を部分的に撤去する程度の変更なら数十万円で済みますが、複数の壁を解体して配管や電気配線を移設する場合は大規模工事となり費用が跳ね上がる可能性があります。
これらの要因を踏まえて見積もりを比較することで、自分の要望と予算に合ったリフォーム内容を検討できます。
工期と仮住まいの必要性
一戸建てのフルリフォームにかかる工期は1〜6ヶ月が目安で、多くの場合は1〜4ヶ月程度で完了します。解体規模が大きいスケルトンリフォームでは仮住まいが必要ですが、内装・設備の更新が中心であれば住みながら工事ができる場合もあります。工事中に安全性や生活動線が確保できるかは物件ごとに異なるため、事前に施工会社と打ち合わせましょう。
フルリフォームの進め方
フルリフォームを成功させるには、計画段階から完成までの流れを理解しておくことが大切です。
図1:フルリフォームの進め方の時系列

- 理想の住まいと予算の整理
まず現状の不満や将来の生活スタイルを整理し、優先順位や希望する工事内容をリストアップします。家族構成や将来のライフプランを考慮しながら、おおまかな予算を設定しておくと業者との打ち合わせがスムーズです。
- 業者選びと現地調査
リフォーム会社を数社ピックアップし、サイトや口コミで実績や得意分野を確認しましょう。候補の会社に相談すると、担当者が現地調査を行い建物の状態や採光・構造を確認します。その結果を踏まえて大まかなプランと概算見積もりが提示されます。
- プラン検討と見積比較
提示されたプランを比較し、間取りや設備をブラッシュアップします。複数社から正式な見積もりを取り、工事内容・保証・工期・支払い条件を総合的に比較して契約先を決めます。
- 契約・着工
契約後は詳細設計を進め、仕様や材料を決定します。近隣への挨拶や仮住まいの手配もこの時期に行います。工事が始まると定期的に進捗状況を確認し、追加・変更が必要な場合は早めに相談しましょう。
- 完成・アフターサービス
工事が完了したら施主検査を行い、引き渡しを受けます。住み始めてから不具合が見つかった場合に備え、保証内容やアフターサービスについても確認しておきましょう。
この図とポイントを参考に、フルリフォームの流れを把握すると良いでしょう。
フルリフォームと建て替えのメリット・デメリット
フルリフォームと建て替えにはそれぞれメリットとデメリットがあります。以下の表に、メリット・デメリットをまとめました。比較検討の参考にしてみてください。
| 項目 | フルリフォームのメリット | フルリフォームのデメリット | 建て替えのメリット | 建て替えのデメリット |
|---|---|---|---|---|
| コスト | 既存構造を利用するため新築より安価 | 老朽化補修が必要になると追加費用が発生 | 高性能・耐久性があり長期的価値が高い | 新築のため費用が高い |
| 工期・生活への影響 | 基本構造があり工期が短く早く完成 | 工事中は仮住まいや騒音など一時的な不便が生じる | ― | 完全新築で工期が長く、住めない期間がある |
| デザイン自由度 | 内装・設備の更新や間取り変更ができる | 既存構造の制約で自由度が限定される | 構造からカスタマイズでき最新設備を導入できる | ― |
| 環境負荷 | 既存建物を再利用し新材生産・廃棄物を減らす | ― | 最新の省エネ設備を導入できる | 解体や新築により環境負荷が大きい |
| 歴史・資産 | 古い建物の歴史的価値や雰囲気を残せる | ― | 将来的な再売価値が高くなる | 既存の歴史や愛着は失われる |
このように、フルリフォームは既存構造を活かすことでコストや工期を抑え、歴史や雰囲気を残せる点が魅力ですが、構造的な制約や老朽化の問題が伴います。一方、建て替えは自由度の高い設計ができ、最新の設備を取り入れられる反面、費用や工期、環境負荷が大きくなります。
もしも、建て替えとリフォームの選択に迷ってしまい、なかなか答えが出ない場合は、専門家のアドバイスを受けてみることをおすすめします。
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費用を抑えるポイント
フルリフォームを具体的にしたいと感じても、どうしてもリフォーム料金が高い感じる方々も多いのではないでしょうか?費用を抑えるポイントを解説していきます。
- 優先順位を決める
理想の住まいを実現しようとすると希望が膨らみがちですが、予算内に収めるためには「絶対に必要な工事」「できれば取り入れたい工事」を明確にし、メリハリを付けることが重要です。
- 複数社から見積もりを取る
フルリフォームの費用は会社によって提案内容や価格が大きく異なります。工事内容や保証、アフターサービスを比較して選びましょう。
- グレード選びを工夫する
例えば水回りは使いやすさを重視して高グレードに、内装材は標準品でまとめるなど部位ごとにコストのメリハリを付けることで総額を抑えられます。
- 補助金やローンを活用する
国や自治体には省エネ・耐震・バリアフリー改修を対象とした補助金制度があります。制度ごとに条件や予算枠が異なるため、最新情報を確認して活用しましょう。
それでも、解決できない場合は、あらゆる選択肢も視野にいれることをお勧めします。
ご自身で見極めることが難しいと考える場合は、新築住宅を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
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よくある質問(FAQ)
Q1. フルリフォームはいくらくらい見込めば良い?
一戸建てのフルリフォームは、内装と水回りを中心とした工事で350万〜1,000万円程度が目安です。築30年以上で屋根・外壁や耐震補強を含む場合は1,000万円を超えることもあります。坪単価は40〜80万円程度とされます。
Q2. 工事期間中に住み続けられる?
内装の更新など部分的な工事であれば、生活スペースを確保しながら住み続けられるケースもあります。しかし、スケルトンリフォームのように建物を骨組みまで解体する場合は安全確保が難しいため、仮住まいを用意するのが一般的です。
Q3. 建て替えと迷っています。どちらを選ぶべき?
建て替えは自由度が高く耐震・断熱性能を新築レベルにできる反面、解体費用や新築費用がかかり工期も長くなります。フルリフォームは費用を抑えやすく工期も短い一方、既存の構造が制約となり、老朽化が激しい場合は補修費が増えることがあります。築年数や構造の状態、予算と希望する間取りを総合的に考えて選びましょう。
まとめ
一戸建てのフルリフォームは、築年数や工事内容によって数百万円から数千万円まで費用の幅があります。一般的には坪単価40〜80万円程度で、内装・水回り中心の工事なら1,000万円以下で済むケースも多い一方、屋根・外壁や耐震補強を含めると1,000万円以上になることもあります。費用を抑えるには工事の優先順位と設備グレードを見極め、複数社の見積もりや補助金制度を活用しましょう。愛着ある住まいを生かしながら暮らしやすい家にするために、計画的なフルリフォームを検討してみてください。
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