【相談実録】注文住宅の費用・ローンのギモンをプロが解説!

家づくりは大小さまざまな選択や決断の積み重ねで進められていきます。
今回はそのなかでも相談事例の多い「依頼する住宅メーカーの決め方」「ZEHをはじめとした補助金制度」「住宅ローンの選び方」を取り上げ、実際の相談事例にもとづいて検討する際の基本的な考え方や判断の方法などを紹介します。

※実際の相談内容を参考に編集しています。
※本記事に使用しているご相談者様写真および物件画像はイメージです。

相談者

小杉様
小杉様
千葉県松戸市在住 夫30代、妻20代。現在は賃貸マンションで2人暮らし。すでに土地を購入し、住宅メーカー3社と面談を進行中。

回答者

回答者 「HOME4U 家づくりのとびら」 アドバイザー 守田
家づくりのとびら アドバイザー 守田
注文住宅業界で10年以上勤務し、ハウスメーカーの営業職や工務店向けのコンサルを経験。ハウスメーカーだけでなく、地場の工務店や設計事務所との家づくりにも精通した住宅のスペシャリスト。現在は年間約300件の相談に対応。

注文住宅の相談窓口について比較したい方は、こちらの記事もご覧ください。

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1.メーカーを費用面で選ぶ際のコツを教えてください!

住宅メーカーを選ぶときに何を重視するかは人それぞれで、一概には決められないんですが、多くの人が決め手にしているもののひとつに家を建てたあとにかかってくるお金、「ライフサイクルコスト」というものがあります。
「ライフサイクルコスト」は「ランニングコスト」と「メンテナンスコスト」の2項目から構成されています。「ランニングコスト」はおもに毎月の光熱費、「メンテナンスコスト」は経年劣化で傷みが出てきた部分の修繕費と考えるといいでしょう。

まず「ランニングコスト」ですが、大きく影響を及ぼす性能として断熱性能が挙げられますね。
断熱性能の高い家は熱が逃げにくく、結果として光熱費を抑えられます。さらに太陽光パネルを載せれば自分で電気も作れる光熱費がかからない家「ZEH(ゼッチ、ゼロ・エネルギー・ハウス)」と呼ばれる家にすることがができます。

仮に月の光熱費が月に1万円だとすると、1年で12万円、10年で120万円、30年で360万円かかりますが、ZEHだとその分が浮きます。ただし、ZEHにするには断熱性能を上げなければいけません。普通の家よりグレードの高い断熱材を使ったり、太陽光パネルを載せたりするので、普通の家を建てるよりもお金がかかってしまうんです。

ZEHにするのに追加で200万円かかる場合は、30年で光熱費が360万円浮くので、差し引き160万円プラスになります。しかし、ZEHにするために追加で400万円かかる場合は、30年たってもまだ40万円赤字です。これではやる意味がありませんよね。なのでトータルで得ができるかどうかはしっかり吟味する必要がありますが、傾向としては初期費用をかけたほうがトータルで得になるケースが多いようです。


トータルコストの安い方を選ぶか、ZEHにしないで初期費用を抑えるかは考え方次第ですし、どちらを選ぶかで依頼する住宅メーカーも変わってくると思います。

また、メーカー側で修繕の費用を持ってくれる保証期間の違いもライフサイクルコストに影響が出るポイントですね。
ローコストの住宅メーカーでも最低10年の基本保証がありますが、大手の住宅メーカーだと初期保証30年以上というところが多くみられます。一般的には初期保証の期間を過ぎると5年や10年単位でチェックがあって、修繕が必要であれば自費でメンテナンス行わなければなりません。30年間でみた場合、2回自費のメンテナンスが入る可能性のある10年基本保証と、まったくお任せにできる30年基本保証では将来的なコストに差が出る可能性がありますね。

ただし、初期保証も期間が短いほど初期費用は安く済む傾向にあるので、どういった視点をとるかで選ぶ住宅メーカーも変わってくると思います。

ライフサイクルコスト以外の観点では、耐震性能が選択のポイントとなることが多いですね。
国が定めている指標として耐震等級というものがあり、3段階設定されています。適合義務になっていてどこのメーカーでも必ず付いてくる等級1は、震度7でただちに倒壊しないというレベルで、等級2は等級1の25%増し、等級3は50%増しです。

等級3だとかなり安心度は高いように思いますが、実は耐震等級という基準自体が1回の地震に耐えられるかどうかという視点で計算されており、余震を含む繰り返しの地震に対しての強度は考慮されていないという問題点があるんですよ。

そこでメーカーによっては独自の耐震実験を行って、繰り返し発生する地震波に耐えられるかをチェックしています。独自の耐震実験は、まったくやっていないところもあれば、100回以上の地震波に耐えられるかという規模で実験をやっているところもあります。住宅メーカーも企業ですので、企業である以上、実験費用は回収する必要があり、実験で使用された研究開発費は商品価格に反映されます。コストの価値をどうとらえるかは個人の判断なので、これも住宅メーカー選定のポイントになりますね。

あとは担当営業との相性も意外に重要だったりします。
契約をした後の方が、やり取りは密になってきます。現在、その担当者に不安があるのであれば、契約後に不安を生む可能性はもっと多くなると思います。会社としては気に入っていても担当者が不安なのであきらめて、安心して任せられる別のメーカーを選ぶという人もいますよ。

2.条件が違うため、総額だけでは比較できない場合はどうしたらいいですか?

見積もりはどうしても総額に目がいってしまいがちですが、諸費用や付帯工事でどこまで計上されているのかも細かくチェックしておくのが大切ですね。
特に諸費用は住宅メーカーが自社でもらうお金ではないので、特にしっかりとみておく必要があるでしょう。たとえば引っ越し代ですが、計上されていたり、別途だったりまちまちです。

条件がそろえて比較できないようであれば、施主の方からリクエストして、同じ項目で再提出してもらうことも必要になるかと思いますね。

3.住宅ローンはどのように選べばいいですか?

住宅ローンを扱う金融機関の選定については、各住宅メーカーの提携金融機関があって金利が優遇されることもあるので、考えるのは請負契約を結んでからでいいかと思います。
あと、利率について変動系と固定系どっちがいいかということですが、これはもうお客様の性格次第といえますね。銀行員とか証券マンといったプロの方でも意見が分かれるところです。

金利上昇傾向ですけれど、10年後や120年後の社会については誰にも分からないので、リスクを嫌うか、目先の返済額が安いほうを選ぶかは人それぞれです。
利用割合でいうと、全期間固定を選ぶ人は2~3割くらいで、一部期間固定を含む変動系を選ぶ人は7割から8割くらいでしょうか。どうしても決め切れなくて、半額は固定、半額は変動のミックスローンを選ぶ人もいますよ。

4.団体信用生命保険について、判断基準や気を付けるポイントはありますか?

住宅ローンを利用するときに加入する団体信用生命保険についてですね。
希望する内容が明確に決まっているのであれば、その内容の団信を扱っている金融機関を選べばいいと思います。
ガン特約、3大疾病特約などを売りにしている金融機関もありますが、ネット銀行だとたいてい5大疾病特約が最初から付いているんですよね。その上でさらに安い金利だったりします。一方、地方銀行のなかにはがん特約だけなのに金利をプラス0.1%にしなくてはいけないものもありますね。

そうなるとネット銀行の方がいいと思われるんですが、実は保険の実行条件が厳しかったりするんです。たとえば、「がんと診断されてから180日間働けない期間が継続したら実行」という条件になっていて、完治しちゃう人は半年前に復帰しちゃうこともあるので、実行されないことが多かったりします。
一方の地方銀行だと、「がんと診断された時点で実行」という条件になっていたりするので、気にするのであれば保険の実行条件も細かくチェックしてみてください。

アドバイスを受けての感想

小杉様

相談者:小杉様の感想

現在直面している悩みに対して、中立的な立場からその場で具体的なアドバイスをいただき、とても得るものがありました。
土地をすでに入手していて急いでいたのですが、モヤモヤしていたものが晴れて、早速次のステップに進めそうです。身近に家を建てた人がいなくて相談ができず、自分で調べるしかなかったのですが、このサービスに出会えてとても良かったと感じています。

 

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この記事の編集者

「家づくりのとびら」編集部

NTTデータグループが運営する注文住宅相談サービス「家づくりのとびら」編集部です。難しい住まいづくりの情報を、わかりやすく正確にお伝えします。記事は不動産鑑定士や宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修記事がメイン。初めての住まいづくりをサポートします!

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