【相談実録】注文住宅を建てるためのダンドリをプロが徹底解説!

近い将来「家を建てたい」と考えてはいるものの、「いつ、何から手を付けていいかわからない」という人は多いのではないでしょうか。
人生で幾度とないマイホームの建築、購入は、後悔することのないように進めたいもの。
この記事では、初めて家を建てる人からの実際の相談事例にもとづいて、注文住宅を建てる際の全体的な流れや費用の立て方を紹介します。
※実際の相談内容を参考に編集しています。
※本記事に使用しているご相談者様写真および物件画像はイメージです。

相談者

相談者:中村様 イメージ
中村様
神奈川県大和市在住 夫30代、妻30代、長女1歳。現在は賃貸アパートで3人暮らし。長女が小学校に入学する5年後までには戸建て住宅の入居を希望。

回答者

回答者 家づくりのとびら アドバイザー 守田
家づくりのとびら アドバイザー 守田
注文住宅業界で10年以上勤務し、ハウスメーカーの営業職や工務店向けのコンサルを経験。ハウスメーカーだけでなく、地場の工務店や設計事務所との家づくりにも精通した住宅のスペシャリスト。現在は年間約300件の相談に対応。

1.家を建てるのが初めてなので、まず基本的なところから教えてもらえますか?

アドバイザー 守田:失敗しない家づくり、後悔しない家づくりを進めていくためには、まず、次の3つのポイントを押さえていただくのが重要ですね。

  • スケジュール
  • 資金
  • 会社選び

まず、スケジュールというのは、全体的な流れですね。「どう始まって、どう終わっていくのか」というプロセスと、「どこを注意しなければいけないのか」という要点の把握です。
続いてが資金、お金ですね。どんなお金がかかるのか、いくらかかるのか。あるいは、自分たちがこの計画でいくらまで使えるのかという部分です。
そして、会社選び。家を建てる住宅メーカーをどうやって選ぶかというところですね。
それぞれについて、もう少し細かく掘り下げていきましょうか。

2.これから家づくりを進めていくには、いつ、何をすればいいでしょうか?

アドバイザー 守田:1つめのスケジュールについてですが、全体の流れをつかみ、いま自分がどの時点にいるかを認識していなくてはなりません。
そのためには進行を4つのステップに分けてとらえ、それぞれのゴールが何であるかを知っておくとよいでしょう。

住まいづくりのスケジュール

ステップ1 要望整理

初めて会うお客様に「どんなお家が建てたいですか?」と質問をすると半分くらいの方が「いい家がいい」とおっしゃいます。さらに、そのお客様に「あなたにとっていい家ってどんな家でしょうか?」とちょっと突っ込んでみると言葉に詰まっちゃう方がほとんどだったりします。ご自分の好みをご自分で把握してらっしゃらない方って意外に多いんですよね。
ただし、把握していないだけで、理想の方向というのはみなさん持っています。
スタートの時点で方向が違っていると、計画が進むにつれて理想とのギャップが広がっていくので、ある程度方向性を決めておきたいところですね。
そこで、必ずやっていただきたいことが1つ、できればやってほしいことが1つあります。

まず、必ずやっていただきたいことは何かというと、「これは実現したい」ということの優先順位付けですね。
「リビングは20畳以上欲しい」でもいいですし、「日当たりがいい家にしたい」とか、「地震に強い家がいい」とか、中身はなんでも結構です。1番め、2番め、3番めくらいまでは決めておいてください。

ステップ1 要望整理 イメージ

ただし、注意点があります。自分ひとりで考える優先順位では危険です!
一緒に入居する方、多くの場合はご夫婦なのですが、夫婦の共通見解としてすり合わせをしておく必要があります。

続いて、できればやってほしいおすすめの作業ですが、それは画像集めです。「この家いいな」というものがあれば、画像を保存したり、撮影したりしておいてください。
こうしておくことで、まず、自分の好みというものがハッキリしてきます。
また、打合せの資料としてとても優秀で、たとえば「キッチンはどのようにしたいですか?」と聞かれた際に、「これにしたいです」と見せれば、もう一発で伝わりますね。

ステップ1 要望整理~画像集め イメージ

こうしてイメージが固まってきたら、そのほかの条件とか、いつまでに完成させなきゃいけないとか、このエリアじゃないとダメだとか、そういった要件を書き出して整理しましょう。

また、今回の計画でいくらまで使えるのか、そのなかでも土地でいくらくらい、建物でいくらくらいとか、ざっくりとした予算計画も立てておく必要がありますね。

このようにして整理がついてくると必然的に「このあたりの住宅メーカーが自分たちには合いそうなんじゃないかな」と、候補が出せるようになると思います。
この「候補を出す」というところがステップ1のゴールになりますね。

ステップ2 建築会社選び

ステップ1で出した候補のなかでも自分たちに一番合う会社はどこなのかという絞り込みを行っていく作業になります。

各社から提案された「間取り図」や「図面」などの「プラン」と、「その家が大体いくらで建ちますよ」という「見積もり」を勘案して、4社ある候補を3社に、3社を2社に、そして1社にと絞り込んでいって、その会社と工事請負契約を結びます。
この工事請負契約を結ぶというのがステップ2のゴールになりますね。

ステップ3 家づくり詳細計画

ステップ3では、お客様のお家がどんなお家になるのかというのを細かく決める打合せを重ねていくことになります。
「キッチンはどんなものを入れようか」「扉の色は何色にしたほうがいいかな」「コンセントはどこに付けようか、いくつ付けようか」といったことを細かく決めていくと「図面」、もしくは「仕様書」といわれるものができあがります。
こうして細部の仕様が決まると、1円単位の詳細見積もりが算出されるとともに、いつ完成するかという工期もここで確定します。

ステップ3 家づくり詳細計画 イメージ

金額や工期が決まると、変更契約ということで、もう1回契約を結ぶことになります。
イメージ的には1回めの契約は建築する業者を決めるもの、2回めの変更契約は家に対する最終承認としてとらえるといいでしょう。住宅メーカーによっては1回めの契約を「仮契約」、2回めの契約を「本契約」と呼んでいるところもあります。
この最終承認になる変更契約を結ぶというのがステップ3のゴールになりますね。

ステップ4 工期

いよいよ工事のステップですが、工事が開始される前=着工前にいくつかやることがあります。工事現場の近隣の方に「しばらくお騒がせします」と挨拶回りをしたり、「地鎮祭」をしたりするのがこのタイミングです。

工事が始まってしまえば、何度か住宅ローンの手続きや現場打合せがあるくらいで、ステップ3に比べると忙しさはやわらぐと思います。なので基本的には工事が終わるのを待つ時間になりますが、可能であればできるだけ工事中の現場に足を運ぶと良いと思います。

そして竣工ということで建物が完成したら、「竣工確認」を行います。約束どおりの建物になっているかどうかの確認ですね。注文と異なる箇所がある場合には、このタイミングで指摘すれば全部直してもらえます。

ステップ4 工期 イメージ

しっかり細かい部分までチェックして手直しが終わったら、「お引き渡し」ということでカギを受け取ることになります。カギを受け取ったらお引越しをしてご入居となりますね。
この「ご入居」がステップ4のゴール、かつ、全体のゴールになりますね。

3.一番重要なステップはどこですか?

アドバイザー 守田:この1から4のステップ、どれも大事です。手を抜いてもいいよというステップは特にありませんが、なかでもすごく大事なステップが1つあります。それは、ステップ3です。

「ステップ3 家づくり詳細計画」

理由は2つありまして、1つめはですね、一番エネルギーが必要です。
疲れます。決めなくてはならないことが一番多く、一番忙しくなるからですね。
もう1つの理由としては、ここで決めた内容がダイレクトに建物に反映されるため、きわめて慎重な判断が求められるからなんです。
思っていた家に仕上がらず、家づくりに失敗してしまったという方のほとんどが、このステップ3に力を入れられなかったという方です。
なんでそんな大事なステップ3をないがしろにしてしまうのかということですが、原因の多くが、全体の流れを把握しないまま家づくりを進めてしまうことにあります。
全体の流れを把握せずに進めてしまった場合、スタートして最初に疲れるのがステップ2です。「2社、3社、多くても4社、5社で比較するといいですよ」と申しあげましたが、しっかりと検討するには打合せが1社で最低でも3回は必要ですね。

ステップ3 家づくり詳細計画 イメージ

1回めでどんな家を建てたいのかというヒアリングがあって、そのヒアリングに基づいて2回めにプランと見積もりを出してもらいます。これをみて仕様や予算の調整を行い、3回めの打合せで修正プランの提案を受けるという流れになります。
そして、1回あたりの打合せが短く見積もっても2時間くらい、3回の打合せで6時間かかってくるということになります。
この段階で検討する会社があまりに多いと毎週末入れ代わり立ち代わりいろんな業者の提案を聞き続けるという生活が数か月間続くため、もうここで相当疲れてしまうんですね。
そうするともっと大切なステップ3のときには疲れ果ててしまっていて、住宅メーカーさんから「当社がおすすめする洗面台はこれですけれど」と言われると「じゃあもうそれでいいです」みたいな感じになって、家が完成したときには「もうちょっと真面目に考えておけばよかったな」と後悔することが多いんですよ。

前もってステップ3が大事だと知っていれば、ステップ2にいるときに「体力を残しておこう」と構えておけますよね。
ということで、家づくりで失敗しないためには「家づくりは4ステップで進む、そのなかでもステップ3が最重要」ということをぜひ押さえておくといいですね。

4.予算はどのようにたてればいいでしょうか?

アドバイザー 守田:「坪単価」という言葉をご存知でしょうか。1坪は、たたみ2畳分の面積ですが、「坪単価」とは、その1坪あたりの建築費がいくらかかるのかを算出した金額です。
ただ、この「坪単価」には気をつけなければいけないポイントがあります。「坪単価」という指標が使われるのは、「建物本体工事」という費用についてだけであることがほとんどなんです。
実は家を建てる際にかかる費用は大きく分けて3項目ありまして、いま出ました「建物本体工事」に加えて「付帯工事」「諸費用」が必要になります。

家づくりにかかる費用

仮に本体工事だけで家を作った場合ですが、照明もつかないし、水も出ません。家の外から電線や水道管を引っ張ってくる工事が必要です。また、カーポートをつくるといった家の外側の工事のほか、選んだ土地次第では地盤改良工事などが必要になるケースもあります。
こういった工事を全部まとめて「付帯工事」と呼んでいて、一般的には総費用のなかの15%~20%を占めています。各部屋につけるエアコン、カーテン、照明などもこれに含まれますね。
もうひとつの「諸費用」ですが、これは工事以外のお金すべてで、住宅メーカー以外に払うお金になります。住宅ローンを使うのであれば、ローンの手数料や保証料がかかりますし、地鎮祭をやるなら玉櫛料も必要です。人によって、条件によって変わってきますが、一般的には総費用のなかで5%から10%になるといわれています。
これを踏まえて具体的にみてみると次のようになります。

30坪の家を坪単価40万円の住宅メーカーで建てる場合30坪の家を坪単価40万円の住宅メーカーで建てる場合

さらに今回は土地も必要ですよね。仮に土地の価格が1,000万円だったとしましょう。
1,000万円の土地を買うのに1,000万円払えば終わるかといったら終わりではないないんです。土地を購入するための仲介手数料や自分のものになったということを示すための登記のための費用が発生します。「土地関連の諸費用」というのがかかってくるわけですね。

建物関連では3項目

  • 「建物本体工事」
  • 「付帯工事」
  • 「諸費用」

土地の購入も必要なときはさらに2項目、

  • 「土地」
  • 「土地の諸費用」

と合わせて5項目のお金がかかってきます。

家づくりと土地購入にかかる費用家づくりと土地購入にかかる費用

資金が足りなくなって困ることのないよう、ぜひ押さえておいてください。

5.ほかに費用面で注意しておくことはありますか?

アドバイザー 守田:ここまでは、家を建てる時のお金「イニシャルコスト」について説明しました。家づくりにはこの「イニシャルコスト」のほかに、家を建てたあとにかかってくるお金「ライフサイクルコスト」とうものもかかってきます。

「ライフサイクルコスト」は「ランニングコスト」と「メンテナンスコスト」の2項目から構成されています。
「ランニングコスト」はおもに毎月の電気料金や水道代といった光熱費、「メンテナンスコスト」は経年劣化で傷みが出てきた部分の修繕費とお考えください。

ライフサイクルコスト=ランニングコスト+メンテナンスコスト

これらの費用は、どんな家を建てるのかで値段がガラッと変わってきます。「ランニングコスト」の方だと、非常に大きく影響を及ぼす性能として「断熱性能」というのがあります。
魔法瓶をイメージすると分かりやすいのですが、家も断熱性を高めると熱が逃げにくく、結果として光熱費を下げることができます。さらに太陽光パネルを載せたりすれば、自分で電気も作れる「光熱費がかからない家」というのができるわけですね。
この「光熱費がかからない家」は「ZEH(ゼッチ)」と呼ばれています。ゼロ・エネルギー・ハウスの頭文字をとって「ZEH」です。

ZEH(ゼッチ)とは

ただし、「ZEH」にするには断熱材を多く使ったり、いい断熱材を使ったり、太陽光パネルを載せたりと、普通の家を建てるよりもお金がかかります。
そのプラスになる費用と将来的に回収できる光熱費の収支を考えて採用するかどうかを考えなくてはいけませんね。

もう一方の「メンテナンスコスト」ですが、雨ざらしになっている屋根や外壁の経年劣化に伴う修繕がおもな対象となります。家の周りを足場で囲んで行う大がかりな工事で、100万円単位でお金がかかってきます。これも耐久性が高い建材を使うことによってメンテナンスの頻度が減らせるので、トータルのコストを減らすことができます。
ただし、長持ちする材料というのはグレードも高くて、お値段も高くなりますね。

この「メンテナンスコスト」がいくらくらいかかるかですが、住宅メーカーに見積もりを依頼するときに伝えておけば大体どこの会社もシミュレーション値を出してくれます。
一般的に多くの方が住宅ローンを返し終わる35年間でどのくらいの「メンテナンスコスト」がかかるかがみられるので、これを参考に住宅メーカー選びをするのもおすすめです。
見積もりは建物を建てるときにかかる費用を算出しているものですので、見積書だけではなく、建物を建てたあとにかかる費用「ライフサイクルコスト」も視野に入れて比較するといいですよ!

6.実際に依頼するメーカーを絞り込むには、どうすればいいですか?

アドバイザー 守田:先ほど打合せについて、1社3回は行うと言いましたが、1回めの打合せは、取捨選択だと思ってください。面談を始めても、先々ずっとその会社で商談を進めていくということが確定するわけではありません。
話を聞いてみて「思っていたのとかなり違う」ということもあるでしょうし、「担当者と合わなそうだ」と感じることもあるでしょう。そういった会社があれば断りを入れ、ある程度気に入った2~3社で検討していくといったように、取捨選択をしていくのがいいかと思います。
今回は土地探しもあるので、そうして残った会社に土地探しもあわせてお願いして、絞り込んでいくといいですね。

相談者様の感想

相談者:中村様 イメージ

相談者:中村様の感想

漠然としていた家づくりのイメージが、わずか90分程度の相談で一気に具体的になり、いつ何をするべきかがとてもよく分かりました。
想像以上にやることや決めることが多くて驚いた一方、押さえておくべきポイントや失敗しないためのコツなども教えていただいたので、安心して楽しみながら家づくりを進めていけそうです

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この記事の編集者

「家づくりのとびら」編集部

NTTデータグループが運営する注文住宅相談サービス「家づくりのとびら」編集部です。難しい住まいづくりの情報を、わかりやすく正確にお伝えします。記事は不動産鑑定士や宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修記事がメイン。初めての住まいづくりをサポートします!

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