- 変更日:
- 2024.08.28
折り上げ天井は、天井の中央部分を周囲より一段高く仕上げた施工デザインです。奥行きを感じられる、風が通りやすい空間を実現できるといった、多くのメリットがあります。ただし、折り上げ天井にはいくつかデメリットがあるのも事実です。
この記事では、折り上げ天井のメリットやデメリット、相性の良い設備について詳しく解説します。
この記事でわかること
- 折り上げ天井の特徴
- 折り上げ天井のメリット・デメリット
- 折り上げ天井と相性の良い設備
理想の注文住宅を実現したいなら、ぜひ最後までチェックしてください。
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1.折り上げ天井とその他の天井との違いは?
近年注目を集めている折り上げ天井ですが、どのような特徴があるのか、知らない方も多いでしょう。まずは、折り上げ天井の特徴を確認していきます。
1-1.折り上げ天井とは?
折り上げ天井とは、天井の中央部分を周囲より一段高く仕上げた施工デザインのことです。格式を高めて空間に重厚感を与える施工方法で、日本では古くから和室に採用されてきました。
近年折り上げ天井が注目されているのは、空気を入れ替える空調の吹き出し口を隠せるためです。全館空調を採用する場合、折り上げ天井を要望するお客様が多いようです。
1-2.折り下げ天井との違い
折り上げ天井と対照的な施工に、「折り下げ天井」があります。折り下げ天井は、天井の中央部分を周囲より一段下げて施工するのが特徴です。段差に間接照明をつけるとやわらかい光を演出でき、おしゃれな空間に仕上げられます。
一見、圧迫感があるように思えますが、天井が一段下がると空間に立体感が出るため、メリハリある空間の演出が可能です。
1-3.吹き抜けとの違い
折り上げ天井と似た言葉に、「吹き抜け」があります。吹き抜けとは、上下階の間に天井や床がなく、複数階にまたがる連続した空間のことです。上の階にかけて連続した空間が広がるため、開放的な部屋に仕上げられます。
一般的には、リビングや玄関、階段などのスペースに設置されることが多いです。とくにリビングに設置した場合は、光が入りやすい明るい家になります。
2.折り上げ天井のメリット
折り上げ天井を選ぶメリットには、次のようなものが挙げられます。
- 奥行きの感じられる部屋になる
- 開放感のある部屋になる
- 部屋がスタイリッシュになる
- 吹き抜けより低コストで施工できる
- 光や風が通りやすい
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
2-1.奥行きの感じられる部屋になる
折り上げ天井を設置すれば、奥行きの感じられる空間を実現できます。天井の中央部分が一段高くなることにより、奥行きを感じて実際より室内を広く見せられるためです。また、天井に奥行きがあることで、立体感が出てメリハリのある空間を演出できます。
天井や壁に囲まれた空間は少し圧迫感があり、リラックスできないことがあります。空間に奥行きが出ると圧迫感が解消され、くつろげる空間を演出できるでしょう。奥行きの感じられる部屋にしたい場合は、折り上げ天井を選ぶのがおすすめです。
2-2.開放感のある部屋になる
折り上げ天井は、開放感のある空間を実現できるのもメリットです。天井の中央部分が一段高くなるだけですが、視覚的な印象が大きく変わります。また開放的な空間は、家族間のコミュニケーションを活発化させる効果が期待できるのも特徴です。
リラックして過ごせるため、家族で穏やかな時間を過ごせます。天井付近に窓を設置すれば、採光もしっかり確保することが可能です。採光は快適な居住空間づくりに欠かせない要素のため、明るい空間に仕上げたい場合は折り上げ天井がおすすめです。
2-3.部屋がスタイリッシュになる
折り上げ天井は、段差がある場所に照明などを設置すれば、おしゃれな空間に仕上げられます。シーリングライトやダウンライトなど照明との組み合わせによっては、落ち着いた雰囲気を演出できるでしょう。
また、照明の色でも得られる効果が異なります。リラックス効果を得たいなら、色温度が低い照明を使用するのがおすすめです。
折り上げ天井を設置する際、梁(はり)を見せる構造にも施工できるので空間にアクセントをつけられます。住宅のデザイン性を高めたい方に最適です。
2-4.吹き抜けより低コストで施工できる
折り上げ天井は、吹き抜けより低コストで施工できるメリットがあります。天井の施工方法として人気のある吹き抜けですが、高い施工費用を理由に諦めてしまうことも少なくありません。費用を抑えたいなら、折り上げ天井を選ぶのがおすすめです。
折り上げ天井の施工費用を安く抑えられるのは、間取りを変更せずにリフォームできるためです。おしゃれな空間を実現したいものの、できる限り費用を抑えたい場合は折り上げ天井が適しています。
2-5.光や風が通りやすい
折り上げ天井は採光性や通気性に優れており、光や風が通りやすいメリットがあります。採光性や通気性が高い部屋で過ごしていると、気分も前向きになれるなど精神面に影響を及ぼすことが多いでしょう。また、折り上げ天井は部屋の隅々まで自然光が入るため、光熱費を抑えられる場合があります。
室内に湿気が溜まると、湿度の高い状態が続いてしまいます。湿度が高すぎると建材や設備の劣化を早めるほか、カビが発生する場合があるので注意が必要です。健康にも悪い影響が出ることもあるため、採光性や通気性を上げたいなら折り上げ天井を検討してみましょう。
ここまで、折り上げ天井のメリットをご紹介しました。希望する間取りに折り上げ天井を導入したいと思われた方も多いのではないでしょうか。
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3.折り上げ天井のデメリット
折り上げ天井を選ぶデメリットには、次のようなものが挙げられます。
- メンテナンス性が悪い
- 冷暖房効率が落ちる
- 防音性が低い
- 上階の天井が低くなりやすい
それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
3-1.メンテナンス性が悪い
おしゃれな空間を実現できる折り上げ天井ですが、メンテナンスしにくいデメリットがあります。段差がある部分に埃が付着する場合がありますが、高い天井裏を掃除するのは簡単なことではありません。掃除をプロに依頼するのもひとつの方法ですが、きれいな状態を保つにはランニングコストがかかります。
天井をこまめに掃除したい方は、折り上げ天井が向かないかもしれません。また、段差部分に間接照明を設置する場合は、電球交換をおこなう必要があります。頻繁に電球を交換したくないなら、照明電球はLEDにするのがおすすめです。
3-2.冷暖房効率が落ちる
折り上げ天井は一段高くなるため、通常の天井と比べると冷暖房効率が悪くなる傾向があります。高くした部分が高く、面積が広くなるほど室温の調整費用は高くなることが多いです。結果的に、冬は寒く夏は暑くなる場合があります。
施工費用は安く抑えられても、光熱費が膨らむ可能性があります。冷暖房効率を上げたいなら、断熱効果の高い窓ガラスを取り入れたり、シーリングファンを設置したりして対策するのがおすすめです。少しのことですが、冷暖房効率が落ちるのを防いで、季節にかかわらず快適な空間を実現できます。
3-3.防音性が低い
折り上げ天井は中心部分を一段高く上げるため、厚みが薄くなるのもデメリットのひとつです。上階の床と天井の距離が近くなるため、足音や物を落とす音などの生活音が下階に響くことがあります。くつろぎたいのにリラックスできない場合あるため、小さなお子さんやペットがいる方は注意が必要です。
防音対策としては、上階の床にカーペットや防音マットを設置する方法があります。とくに、カーペットの下に防音マットを敷けば、階下へ伝わる振動を大幅に軽減できることも多いです。防音性が気になる方は、防音対策を検討しましょう。
3-4.上階の天井が低くなりやすい
折り上げ天井は、建物の高さ制限によっては、上階の天井が低くなるデメリットがあります。とくに北側斜線制限のある地域に住宅を建てる場合は、設置場所の計画を入念に立てることが必要です。北側斜線制限とは、北側の道路側、または北側の隣地側に面した建物部分の高さの制限を指します。
北側斜線制限されるのは、北隣の住宅の日当たりを確保しなければいけないためです。新築住宅の天井の高さは2.40mが一般的ですが、北側斜線制限が適用される場合は低くしなければいけません。中央部分が一段上がって空間に奥行きが出るので、そこまで圧迫感はありません。
折り上げ天井のデメリット4点、またそれぞれの対策や心構えも分かりましたね。上記の内容を踏まえた上でマイホームづくりにとりかかることで、より納得のいく理想のマイホームを実現することができるでしょう。
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4.折り上げ天井と相性の良い設備
折り上げ天井と相性の良い設備には、次のようなものがあります。
- 間接照明
- アクセントクロス
- シーリングファン
それぞれの特徴について詳しく解説します。
4-1.間接照明
間接照明は折り上げ天井と相性の良い設備です。間接照明とは、壁や天井に光を当て、その反射光を利用して間接的に明るくする照明です。折り上げ天井に間接照明を設置すれば、やわらかい光が部屋全体に広がり、おしゃれな空間を実現できます。
やわらかな光で照らす間接照明は、リラックス効果があるといわれています。寝室やリビングなど、ゆったりと過ごしたい場所に最適です。折り上げ天井の段差部分に設置すれば、照明の本体が隠れるので部屋がすっきりと見えます。明るさが足りないときや、おしゃれな空間にしたい場合におすすめです。
4-2.アクセントクロス
おしゃれな空間にしたいなら、壁や天井の一部だけ異なる色や素材のクロスを貼りましょう。アクセントクロスと呼ばれるもので、単調になりがちな部屋の雰囲気を変えることが可能です。たとえば、華やかなクロスを貼れば、明るく華やかな雰囲気になります。
一部にだけクロスを貼るため、全面には選びにくい高級な壁紙でも取り入れやすいです。アクセントクロスの貼り方は自由なので、自分の好みに合わせてデザインできます。ただし、貼る場所を間違えると逆効果になる場合もあるため注意しましょう。
4-3.シーリングファン
折り上げ天井の冷暖房効率が気になる場合は、大きな羽根で部屋全体に一定の空気の流れをつくるシーリングファンを設置するのがおすすめです。プロペラを回転させて空気を撹拌し、室温を一定に保てるメリットがあります。室温を保つことで、暑い夏や寒い冬でも快適に過ごせるのが魅力です。
また空気の循環をサポートしてくれるため、冷暖房の電気代を抑えられるなど節約効果が期待できます。シーリングファンは天井の高い位置に設置するイメージがありますが、天井の低い部屋に設置が可能です。インテリアとしても活躍してくれるため、おしゃれな空間に仕上げられます。
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5.折り上げ天井に関する良くある疑問
ここからは、折り上げ天井に関する良くある疑問をまとめました。折り上げ天井を検討しているなら、疑問を解消してから施工を進めましょう。
5-1.折り上げ天井だと高さはどれくらいになる?
日本の建築基準法では、天井の高さは210cm以上に設計するよう定められています。新築住宅の場合、天井の高さは240cmが一般的です。
しかし、折り上げ天井では240cm以上になることがあります。上階の天井が低くなる可能性があるため、どのくらいの影響が出るのかを確認しておくことが重要です。一方で、北側斜線制限が適用される場合は、天井の高さを低くしなければいけません。
5-2.折り上げ天井にすると費用はどれくらいかかる?
折り上げ天井のリフォームにかかる費用相場は、1㎡あたり1万2,000円程度です。折り上げる部分の平均面積は3~5㎡なので、施工は総額で3万~6万円程度になります。ただし、間接照明や化粧梁などを設置する場合は別途費用がかかるため注意しましょう。
詳細な施工費用を知りたい場合は、専門業者に見積もりを依頼するのがおすすめです。
5-3.折り上げ天井の場合梁はどうなる?
構造体である梁は一般的に隠すものですが、折り上げ天井を設置する場合はあえて表に見せるのもおすすめです。梁がアクセントなり、おしゃれな空間に仕上げられます。梁の仕上げには塗装やクロスを巻く方法がありますが、塗装をすると木目が活かされてよりおしゃれ感が出ることも多いです。
クロス仕上げの場合は、部屋の雰囲気に合わせて色合いを選べます。たとえば、壁紙が白いなら梁は濃茶色にしてコントラストを楽しむのも方法です。あえて塗りムラをつくれば、レトロ感も演出できます。
まとめ
折り上げ天井は、天井の中央部分を周囲より一段高く仕上げた施工方法です。開放的な空間を実現できたり採光性や通気性に優れていたりなど、多くのメリットがあります。また、吹き抜けに比べて費用が安いため、コストを抑えたい方にもおすすめです。
一方で、冷暖房効率が落ちたり防音性に懸念点があったりといったデメリットもあり、それぞれのデメリットに対する対策もあります。
本記事を参考にメリットとデメリット双方を鑑みて、念願のマイホームに折り上げ天井を導入するか検討し、理想を実現してくださいね。
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