間取り図の「PS」の意味とは？「S」や「MB」などの用語や記号について解説

変更日:

2025.06.27

間取り図の「PS」とは、パイプスペースのことです。

このように、間取り図には「MB」や「S」など、さまざまな住宅用語が用いられます。家づくりの段階で間取りを眺めていると、「これはどんな意味？」と疑問に感じることもあるのではないでしょうか。

さまざまな用語について理解を深め、理想の住まいづくりを実現しましょう。

間取り図の記号をまとめて確認したい方は「間取り図の記号」の記事もご覧ください。

1.間取り図の「PS」の意味とは

間取り図の「PS」とは、パイプを集約している空間である「パイプスペース」を意味します。

PSの中には、排水管や給水管、ガス管などの各種配管がまとめられています。生活に必要不可欠なスペースで、なくすことはできません。

PSは主に水回りの近くにあり、2か所あることが一般的です。
PSが2か所必要な理由は、トイレからの汚水とそのほかの排水はそれぞれ別の排水管を通るためです。水回りの設備の数によって、PSが増設されることもあります。

配管を壁で囲むことで、音の漏れを少なくし、配管の劣化を防止しています。

2.間取り例でPS（パイプスペース）の位置を確認

実際の間取り図から、PSの位置を見てみましょう。

上の図では、PSは洗面所とトイレに隣接していることがわかります。

PSの中には排水や汚水の通る配管があるため、図のように水回りの近くに配置されることが一般的です。

PSは生活に使える空間ではないものの、上の図のように収納と合わせて、無駄のないようにPSが組み込まれていることも多くあります。

3.PS（パイプスペース）のデメリットや注意点

PSは、生活においてなくてはならないものです。しかし、PSによるデメリットや注意点もあります。

3-1.上階からの音が聞こえやすい

PSの近くは、上階からの給排水の音が聞こえやすいことを知っておきましょう。

マンションの場合は、PSを通して上の階の生活音が聞こえることが少なくありません。戸建ての場合も例外ではなく、2階にトイレや浴室がある場合は排水の音が聞こえやすい傾向にあります。

そのため、家の間取りを考える際は、寝室とPSを離して配置することをおすすめします。特に、夜間や早朝の静かな時間帯は音が響きやすいため、睡眠の妨げになりかねません。

3-2.配置場所や広さに注意が必要

家づくりの際は、PSの配置場所や広さも考慮する必要があります。

PSは配置場所が固定されており、基本的に動かせません。他の用途に使うこともできないため、デッドスペースになってしまいます。

リノベーションによってキッチンの移動をしたい場合も、PSの配置から難しいことがあります。リノベーションをする場合は、PSの配置は固定したうえで、実現可能な間取りを考えなければなりません。

加えて、施工や点検ができる十分な広さを確保しておきましょう。パイプを設置するときにさび止めや十分な接合をするためには、ある程度の広さが必要です。施工時に適切な処理ができれば、劣化を遅らせられます。

メンテナンスや設備交換の際も、PS内の広さがあればスムーズに作業できます。

4.間取り図のアルファベット用語一覧

間取り図を見ても用語の意味がわからなければ、室内を詳細にイメージできません。そこで以下では、間取り図に使われるアルファベットの用語のうち、主なものを9つ紹介します。

戸建ての物件だけでなく、マンションや賃貸物件にも共通する用語のため、知っておくと役立つでしょう。

間取り図が手元にある方は、ぜひ確認しながら読み進めてみてください。

4-1.K

「K」は、キッチンを指します。

間仕切りや壁によって料理をするスペースが独立している場合に使われる用語です。

ただし、のちほど解説する「DK」や「LDK」の「K」は、必ずしも独立したキッチンを指すわけではありません。

4-2.DK

「DK」は、ダイニングキッチンを指します。

ダイニングキッチンとは、家族で食事ができる空間とキッチンが1つになっている部屋のことです。

「DK」は「ダイニング」と「キッチン」の2つを指すのではなく、「ダイニングとキッチン」という1つの空間を指す言葉といえます。

4-3.LDK

「LDK」は、リビングダイニングキッチンを指します。

リビングダイニングキッチンとは、キッチン・食事場所・居間が1つにまとまった空間のことです。

ソファに座ったりテレビを見たりして家族でくつろげるスペースが、DKと1つになっていればLDKと判断できます。

DKとLDKの違いは、空間の面積にあります。DKとLDKに必要な面積の目安は、それぞれ以下の通りです。

例えば、家族団らんのスペースとキッチンが合わさって7畳の空間になっている場合は、他の居室数が1部屋であれば「DK」、2部屋以上であれば「LDK」と判断できます。

4-4.S・SR

「S」「SR」は「サービスルーム」の略で、日本語では「納戸」とも呼ばれます。サービスルームとは、建築基準法上の「居室」に該当しない部屋を指す用語の1つです。

居室には換気や採光のために、床面積に応じた面積の開口部が必要です。窓のない部屋や小さな窓しかない部屋など、居室に該当しない空間は「S」「SR」と表記されることがあります。

サービスルームの用途に指定はなく、収納スペースや書斎、子どもの遊び場など柔軟な使い方が可能です。

建築基準法で居室として扱われない部屋には、「S」「SR」のほかにも以下のものがあります。

いずれも大きな違いはありません。空間の付加価値をわかりやすく示すために、さまざまな表現が用いられています。

4-5.WCL（WIC）・SCL（SIC）

「WCL（WIC）」はウォークインクローゼット、「SCL（SIC）」はシューズインクローゼットを指します。

ウォークインクローゼットとは、人が中に入れるクローゼットのことです。衣服や、季節の家電を収納できます。広さによっては、タンスやクローゼットといった大きな家具を入れられるため、効率的に多くの衣服を収納できるでしょう。

ただし、収納に使うことを想定しているスペースのため、簡易的な照明しかない場合や電源がない場合もあります。

シューズインクローゼットは、主に玄関に併設された靴の収納スペースです。「SB」と表記される靴箱とは別のもので、人が入れる空間となっています。

足元は一般的に土間であり、靴をはいたまま出入りが可能です。

4-6.UT

「UT」は、ユーティリティテラスを指します。ユーティリティテラスとは、キッチンや洗面所からつながった半屋外のスペースのことです。

キッチンからごみを出せる、洗面所から洗濯物を干しに出られるなど、スムーズな動線を考えて設計されています。

4-7.MB

「MB」は、メーターボックスを指します。電気やガス、水道のメーターが集約されているスペースです。検針や点検をしやすいよう、居室の外に設置される場合が一般的です。

MBとPSが1つの空間にまとまっている場合は、「MBPS」と表記されます。

4-8.UB

「UB」は、ユニットバスを指します。ユニットバスとは、天井・壁・床・浴槽が一体となっている浴室のことです。

ユニットバスには種類があり、風呂・洗面台・トイレが一体となった3点ユニットバスと、風呂・洗面台が一体となった2点ユニットバスがあります。「UB」と表記されているからといって、必ずしもトイレが一体となっているわけではありません。

2点ユニットバスを設置する場合は、トイレの表記が別にあるかどうかを間取り図で確認しておきましょう。

4-9.WC

「WC」は、水洗式のトイレを指します。単に、「T」と表記される場合もあります。

5.間取り図のチェックポイント

間取り図をチェックするためには、用語の意味を踏まえて、実際の住み心地をシミュレーションしておくことが大切です。

しかし、間取り図から新居での生活を想像するのは難しいかもしれません。

そこで以下では、間取り図を確認するときにチェックすべき3つのポイントを紹介します。

5-1.生活動線

間取り図を見るときは、生活動線を確認しましょう。

特に毎日の家事を円滑に進めるためには、生活動線が重要です。以下のような間取りであれば理想的です。

料理の合間にお風呂をためる、洗濯が終わったらすぐに気付いて干しに行くなど、空いた時間をうまく使って家事ができれば効率的です。

異なる家事を行うスペース同士が近く、家事の流れを妨げない間取りになっていれば、忙しい中でも動きやすくなるでしょう。

また、用途や使用する家族を考えた間取りも大切です。例えば、子どものお昼寝場所によっては、キッチンやトイレの音で寝かしつけた子どもが起きてしまうかもしれません。

同様に、寝室とトイレが近い場合も、夜にトイレに起きた家族の物音で他の家族が起きてしまう可能性があります。

ほかにも、間取りによっては以下のような場合も考えられます。

間取りを決める前に生活動線を確認し、使い勝手はよいか、不都合な点はないかをしっかりとシミュレーションしておきましょう。

5-2.収納スペース

収納スペースは十分な広さがあるか、使いやすいかについても、間取り図で確認しましょう。

収納スペースが少なすぎると必要な物を収納しきれず、部屋をすっきりと片付けられません。物をしまうのに十分なスペースを確保できているか、手持ちの物と照らし合わせて確認しましょう。

同時に、家づくりは手持ちの物について本当に必要かどうかを厳選するチャンスでもあります。いらない物やなんとなく保管してきた物は、思い切って処分してもよいでしょう。

ドアを開けて出し入れするタイプの収納スペースであれば、ドアの前に物は置けません。生活や動線に支障がないかを検討し、支障がある場合は引き戸タイプも視野に入れましょう。

収納スペースを部屋の中にするのか、廊下に設置するのかも考える必要があります。使い勝手を考え、使いやすい位置を選択すると後悔が少なくなります。

5-3.採光

室内の採光についても、間取り図での確認が必要です。

採光が悪いと、室内が暗い印象となってしまいます。光が入りすぎても、室内の温度が上がりすぎてしまったり、家具や物が日焼けしてしまったりします。

窓から室内に光が入りにくい場合は、吹き抜けにしてもよいでしょう。ただし、寒くなりやすい、空調が利きにくいというデメリットもあります。

天窓の設置や照明の増設も、室内を明るくするために有効な方法です。外からの光を取り込む窓は、風通しにも影響します。そのため、間取りをチェックする際は風の流れも合わせて確認しましょう。部屋の対角線上に2つの窓を設けると、効率的に風を通せます。

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まとめ

「PS」とはガスや水道のパイプを集約した「パイプスペース」を意味し、主に水回りの近くに配置されます。

生活に不可欠なスペースで、他の用途には使えず、移動も基本的にできません。

家づくりの際は、PSのデメリットを踏まえて、生活に支障がないよう配置を工夫する必要があります。

アルファベットで表記される間取りの用語は、PS以外にもあります。それぞれの意味を知っておくと、さまざまな間取り図から間取りをイメージできるようになり、満足できる家づくりの参考になるでしょう。

間取り図を理解したうえで、実際の生活を考えて間取り図をチェックすることも大切です。生活動線や収納スペース、採光を考えることで、後悔のない理想の家づくりができるでしょう。

この記事の編集者

「家づくりのとびら」編集部

NTTデータグループ会社が運営する注文住宅相談サービス「家づくりのとびら」編集部です。難しい住まいづくりの情報を、わかりやすく正確にお伝えします。記事は不動産鑑定士や宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修記事がメイン。初めての住まいづくりをサポートします！

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