- 変更日:
- 2023.02.21

親子リレーローンとは最初に親が返済し、後で子が返済する住宅ローンのことを指します。
親子で住む注文住宅や二世帯住宅を検討している方の中には、「収入が安定しない」「1世帯で住宅ローンを完済できるかわからない」などといった理由から、住宅ローンを抱えることに不安がある方も多いのではないでしょうか。とはいえ、収入が増えるまで待っているだけでは、住みたい住宅に暮らすことはできません。
そのようなときに検討したいのが、親子リレーローンです。
親子リレーローンでは、最初は親世帯が返済するので、子世帯の返済開始時期を遅らせることができます。
親子リレーローンに向いている人
- 親の収入が少ない人
- 将来的に子どもの収入が増える可能性が高い人
この記事では、親子リレーローンについて次の情報をまとめました。
この記事でわかること
- 親子リレーローンの利用条件
- 親子リレーローンのメリットとデメリット
- 親子リレーローンで後悔するポイントと回避策
親子リレーローンへの理解を深め、親子ともに納得のいく住宅ローンを選択してくださいね。
なお、二世帯住宅のタイプ別費用相場について知りたい方は、「二世帯住宅の費用」の記事もご覧ください。
目次
1.親子リレーローンの特徴と利用条件

住宅ローンは、親子で組むことも可能です。
主な方法としては、「親子リレーローン」「親子ペアローン」「収入合算」の3つが挙げられます。
種類 | 特徴 |
---|---|
親子リレーローン |
返済義務が親から子に引き継がれる
|
親子ペアローン |
親子がそれぞれ住宅ローンを組む
|
収入合算 |
親子の収入を合算してローン審査を受ける
|
まずは親子リレーローンとは何か、また、親子ペアローンや収入合算との違いについて見ていきましょう。
1-1.親子リレーローンとは
親子リレーローンとは、最初に親が返済し、一定期間が経過した後は子が返済するタイプのローンです。返済する人がリレーのように引き継がれるので、「リレーローン」と呼ばれています。
親子リレーローンでは親子のどちらもが債務を負いますが、ローン自体は1本です。また、返済をしているときは親子ともに住宅ローン控除を利用できます。親が住宅ローンを支払っており、子供が返済を開始していなくても、それぞれの持ち分に応じた控除を受けられる点は大きなメリットといえるでしょう。
ただし、団体信用生命保険(団信)の加入は子のみとなります。そのため、返済している途中で親が死亡あるいは高度障害状態になったときは、子の返済が前倒しで開始することになります。
1-2.その他親子で組むローンとの違い
「親子ペアローン」との違い
親子ペアローンとは、親と子がそれぞれ住宅ローンを組む方法です。ローン契約は2本になるため、親子リレーローンと比べるとローン契約時の費用が高額になる傾向にあります。
なお、親子ペアローンは親子で同時に返済を開始するので、比較的短期間で完済できるというメリットがあります。また、それぞれが団体信用生命保険(団信)に加入できること、同時に住宅ローン控除を利用できることも、親子ペアローンの特徴です。
「収入合算」との違い
収入合算とは、親子の収入を合算してローン審査を受ける方法です。親子リレーローンと同じくローン契約は1本で、契約時の費用を抑えることができます。
収入合算には主債務者でないほうが連帯保証人になる「連帯保証型」と、主債務者でないほうが連帯債務者となる「連帯債務型」の2つの種類があります。
連帯保証型では主債務者が返済できない状態にならない限り連帯保証人には債務は発生しませんが、連帯債務型は主債務者が返済できるかどうかに関わらず連帯債務者に債務が発生します。
また、連帯債務型の場合、金融機関によってはそれぞれが団体信用生命保険(団信)に加入できるケースもありますが、連帯保証型の場合は主債務者のみの加入となります。
なお、収入合算では原則として、主債務者だけが住宅ローン控除を利用できます。そのため、連帯債務型で連帯債務者がローン返済を負担しても、所得税や住民税を節税することはできません。
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2.親子リレーローンのメリット
親子リレーローンには、次のようなメリットがあります。
- 親が高齢でも住宅ローンを組める
- 毎月の返済額を抑えられる
- 親子それぞれが住宅ローン控除を利用できる
各メリットについて具体的に説明します。
2-1.親が高齢でも住宅ローンを組める
住宅ローンごとに、借入時の年齢と完済時の年齢が決まっています。
金融機関にもよりますが、借入時は65歳まで、完済時は80歳までであることが一般的です。
そのため、親の年齢によってはあまり長期間のローンを組めません。しかし、返済期間を短くすると毎月の返済額が高くなり、負担が大きくなるだけでなく審査通過も厳しくなることがあります。
親子リレーローンであれば、親子二世代で返済するため、返済期間が長くなるときでもローンを組むことが可能です。
例えば、最初の10年は親が返済し、残りの20年は子が返済するなど、親子の年齢やライフステージに合わせてカスタマイズできます。
2-2.毎月の返済額を抑えられる
親子リレーローンでは、親が高齢のときでも子の年齢によっては返済期間を長くすることができます。返済期間が長くなると月々の返済額を抑えやすくなるので、ローンによる毎月の負担が軽減されるでしょう。
なお、親子リレーローンで返済期間を長めに設定する場合であっても、元々の住宅ローンの返済期間を超えることはできない点に注意が必要です。
例えば、元々の返済期間が最長35年の住宅ローンであれば、親の返済期間と子の返済期間を合わせて35年以内になります。
2-3.親子それぞれが住宅ローン控除を利用できる
親子リレーローンでは、親子それぞれが各自の持分(所有権登記の持分割合)に応じて住宅ローン控除を利用できます。
例えば「親の物件の持分が1/3、子の持分が2/3」であれば、親は住宅ローンの年末残高に1/3をかけた金額を基準として、子は年末残高に2/3をかけた金額を基準として住宅ローン控除が適用されます。
なお、物件の持分割合は、住宅ローンの返済負担割合と同一にしておくことが一般的です。持分割合と返済負担割合が異なる場合、持分割合に対して返済負担割合が多いほうは他方に贈与をしたとみなされるため、贈与税が発生する可能性があります。(詳細は3-1で解説)
3.親子リレーローンのデメリットと対策
メリットの多い親子リレーローンですが、いくつか注意すべき点もあります。特に次の点は、デメリットになる可能性があるので注意しましょう。
- みなし贈与や相続でトラブルが生じることがある
- 親死亡時には返済負担が増えることがある
- 子の返済能力によってはローンを組めないことがある
- 同居を解消しづらい
各デメリットの詳細や、対策について解説します。
3-1.みなし贈与や相続でトラブルが生じることがある
不動産名義を子にする場合や、物件の持分割合とローンの返済負担割合が異なるときは、贈与したとみなされます。これを「みなし贈与」と呼び、通常の贈与と同じく贈与税の対象となるので注意が必要です。
子にきょうだいがいる場合、みなし贈与が発生すると他のきょうだいとトラブルになることもあります。生前贈与として物件をみなし贈与するのであれば、他のきょうだいにも相応の財産を贈与することを検討しておきましょう。
親子リレーローンを利用したことで、親が亡くなった後に相続トラブルが生じることもあるでしょう。
例えば、父と長男でそれぞれ持分割合を1/2にして親子リレーローンを組んだとします。父が亡くなると、父の持分割合に対しては相続が発生します。
居宅以外に財産がないときは、長男以外のきょうだいが住宅の一部を相続財産として主張する可能性があります。母や長男が長女に対して、長女の相続分に相当する現金を渡す方法も検討できますが、現金資産がないときには居宅を売却することにもなりかねません。
みなし贈与や相続のトラブルを避けるためにも、親子リレーローンを組む前にしっかりと話し合っておくことが大切です。相続や贈与を専門とする弁護士などに相談し、財産配分を決めて遺言書を作成しておくのも1つの方法です。
3-2.親死亡時には返済負担が増えることがある
親子リレーローンでは、返済中に親が亡くなると、子は前倒しでローン返済を始めることになります。返済負担が増え、生活費や教育費などに影響が及ぶこともあるでしょう。
なお、団体信用生命保険(団信)に加入していると、ローン返済中に死亡や高度障害状態になった場合は、保険金でローン残債が完済されます。しかし、親子リレーローンでは基本的に団体信用生命保険に加入できるのは子のみのため、親が死亡してもローン残債は完済されません。
親子どちらも団体信用生命保険に加入したい場合は、親子がそれぞれローンを組む親子ペアローンを検討しましょう。
3-3.子の返済能力によってはローンを組めないことがある
親子リレーローンの審査では、主に子の返済能力が確認されます。「年収が低い」「すでに多額の債務を抱えている」などの状況では、返済能力が低いと判断され、ローンを利用できないかもしれません。
子よりも親の返済能力が高いときは、親の返済額を多めに設定した親子ペアローンを検討できます。とはいえ、親に多大な負担をかけることになるため、しっかりと事前に話し合っておきましょう。
3-4.同居を解消しづらい
「子が結婚することになった」「同居にストレスがたまってきた」などの理由から別居したくなったとしても、親子リレーローンを組んだ状態だと難しいかもしれません。
たとえ別居することになっても、親子リレーローンの子の支払い義務は残ります。住宅ローンは完済するまで新たに組むことはできないため、新居の購入はローンなしで検討しなくてはいけないのです。
親子リレーローンは、現在だけでなく、将来的な親子のライフステージをイメージして検討しましょう。
また、家族全員が心地よく同居を続けるための同居ルールを決めておくことも大事です。
共用部分の使い方や時間、家事の分担など、細かく決めておくとあとからトラブルになりづらいです。予算に余裕があるのであれば、共用部分のない完全分離型の間取りにすることもおすすめです。
このように、親子リレーローンにはデメリットがありますが、事前に対策を練っておくことでうまく回避することができます。
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4.利用条件とよくある審査落ちの原因
親子リレーローンの利用条件としては、次のようなものが挙げられることが多いです。
親子リレーローンの利用条件
- 同居している、あるいは将来的に同居を予定している
- 借入時の親の年齢が70歳未満である
- 完済時の子の年齢が80歳未満である
- 親子ともに安定した収入がある
- 子が団体信用生命保険に加入する
審査落ちの原因として、親あるいは子の年齢が挙げられることがあります。特に返済期間が長引くときは、子の年齢が高すぎてローン審査に通過できない可能性が生じます。
一般的な住宅ローンの場合、申込時の年齢の下限は20歳以上に設定されています。子の年齢が若いうちに住宅ローンを組むか、毎月の返済額を増やし、返済期間を短縮できないか検討してみましょう。
また、収入の安定性が低いと判断されて、ローン審査に通過できない可能性もあります。ローンに申込む前に、勤続年数の長さは十分か確認してみましょう。
上記は一例であり、金融機関によって条件が異なることもあるので、申し込む前に各金融機関に確認しておきましょう。
まとめ
親子リレーローンは、親が高齢のときや収入が少ないときでも利用できることがあります。親と同居することを検討しているのであれば、親子リレーローンの利用も検討してみましょう。
この記事のポイント
親子リレーローンの親年齢は?
金融機関によって異なりなすが、親子リレーローンは借入時の親の年齢が70歳未満であることを条件にしているケースが多いです。その他利用条件に関しては「4.利用条件とよくある審査落ちの原因」をご覧ください。
子供が何歳から親子リレーローンを利用できる?
20歳から利用できるケースが多いです。また、親子リレーローンでは、「完済時の子の年齢が80歳未満である」ということを利用条件にしている金融機関が多いです。「4.利用条件とよくある審査落ちの原因」では、よくある審査落ちの原因も解説しています。
親子ペアローンとの違いは?
親子ペアローンは親子リレーローンと異なり、ローン契約本数が2本になります。そのため、親子リレーローンよりもローン契約時の費用が高額になる傾向にあります。詳しくは「1-2.その他親子で組むローンとの違い」をご覧ください。
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