安全な家を実現!「地盤調査」と「地盤改良」の費用と方法

家を建てるときには、新築工事の前に地盤調査を行います。
そして地盤調査の結果、「地盤が弱い」と判断されたら、今度は地盤改良工事が必要になります。
地盤調査や地盤改良工事は、安全な家を建てるには不可欠な工程ですが、それぞれ種類があり、費用も異なるため、注意しておきたいポイントです。

そこで、今回は、地盤調査・地盤改良工事に関する情報をわかりやすく解説していきます。

この記事を読んだらわかること

  • 地盤調査とは何か
  • 地盤調査の必要性
  • 地盤調査の方法と費用相場

地盤調査や地盤改良工事に関する知識を身につけておけば、その必要性や費用が理解でき、家づくりのプランニングがよりスムーズに進むでしょう。
長く安心して住むためにも、納得のいく地盤調査と地盤改良工事が行えるよう準備しておいてください。

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注文住宅にかかる費用内訳が知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

1.地盤調査とは?しないとどうなる?

1.注文住宅を建てる際の「地盤調査」はなぜ必要?

まずは、地盤調査では何を調べるのか、そして、しっかり調査しないとどうなってしまうのかなどを詳しく見ていきましょう。

1-1.地盤調査では何を調べるの?

地盤調査とは、家を建てる土地の地盤の状態を調べることで、通常、ハウスメーカー、または委託された地盤調査会社が行います。
地盤調査を行うタイミングについては「4.地盤調査のタイミングはハウスメーカー決定前がおすすめ」で解説します。

調査の結果、地盤が軟弱だった場合は「地盤改良工事」を行ってから家を建てます。どんな地盤改良工事が必要かは、地盤の状態や、建てる建物の構造(木造・コンクリート造)、大きさなど状況によって異なります。
地盤改良工事の具体的な方法や費用については「3.地盤が弱かったら…地盤改良工事の方法と費用相場」で解説します。

また、地盤調査の結果、埋設物が見つかった場合には撤去する必要があり、別途費用がかかります。
逆に、調査の結果、地盤が強いことや埋設物がないことわかった場合には、地盤改良工事や埋設物撤去の必要がないため、その分費用を抑えることができます。

1-2.しっかりと地盤調査をしないとどうなる?

地盤調査を行わないと、地盤がどのような状態なのかを把握することができません。地盤が軟弱なまま家を建てた場合、地盤が家の重さに耐えられず、家が傾いてしまうおそれがあります。
その結果、以下のようなリスクが出てくるかもしれません。

  • 窓やドアが開きにくくなる
  • 外壁がひび割れる
  • 多額の補修費がかかる
  • 資産価値が落ちる
  • 住む人に健康被害をもたらす

どんなに耐震性が高く、頑強な家を建てても、弱い地盤の上に建ててしまっては意味がありません。安心して住むためには、地盤調査は必須の工程なのです。

1-3.地盤改良工事の要否を事前に予測するポイント

地盤改良工事が必要かどうかは地盤調査を行わないとわかりませんが、工事の要否を予測することはできます。より綿密な資金計画のためにも、ある程度の予測は立てておいてもよいでしょう。
一般的な傾向は、以下を参考にしてみてください。

地盤が強い
(工事不要)
台地や丘陵地など、標高が高い土地
地盤が弱い
(工事必要)
もともと水田、川、海、沼などであった土地

ただし、もともと農地であった土地でも、区画整理事業による大規模な造成地では地盤を締める対策が施され、一定の基準をクリアしているのが一般的なので、地盤改良が不要なケースも多いです。

上記以外にも、過去の地盤調査の実績などがあれば参考になります。
近隣で新築住宅を建てた人に聞いてみると「うちは地盤改良が必要ありませんでしたよ」といった話が聞けるかもしれませんし、周辺で多く家を建てているハウスメーカーなら地盤のデータを持っていることがあります。

注意したいのは、たとえ隣地でも地盤の強さは異なる可能性があり、時の流れによって地盤の強さは変わるので、現在の正確な地盤の強さを知るには、やはり地盤調査は必要であるということです。
建て替えの場合、既存の建物に傾きやひびなどが発生していないかどうかで確認することもできますが、建て替え後の建物次第で地盤改良がどの程度必要なのかは異なるので、念頭に置いておきましょう。

このようなことから、いずれにせよ地盤改良工事は視野に入れ、資金にはゆとりをもって計画を立てたほうがよいです。
資金計画を立てる際、一軒家にかかる費用については「注文住宅の費用内訳」や「注文住宅の費用相場」の記事を参考にしてください。

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2.地盤調査の方法と費用

次に、地盤調査の具体的な方法について見ていきます。
地盤調査の方法には主に「スウェーデン式サウンディング試験」「ボーリング調査」の2つがあり、一般的な家づくりにおいてはスウェーデン式サウンディング試験が採用されることがほとんどです。

調査方法工期費用相場(戸建住宅の場合)
スウェーデン式サウンディング試験半日程度5万円程度
ボーリング調査数日20万~30万円程度

それぞれの特徴を以下より解説します。

2-1.これが標準!スウェーデン式サウンディング試験の特徴

スウェーデン式サウンディング試験は「SS試験」または「SWS試験」とも呼ばれており、先端がスクリューになっている棒を回転させながら地面に貫入していくことで地盤の状態を調べます。

具体的には、25センチ貫入させるのに必要な回転数を記録することを繰り返して地盤の強さを判断し、深度10m程度まで調査できます。シンプルな調査方法なので、熟練した技術が必要とされます。

1メートル四方のスペースがあれば可能な調査方法であり、調査時間は1か所30分。調査箇所はだいたい5箇所程度なので、半日あれば調査できます。
ただし、5箇所の調査結果に著しい差があった場合や、大きな石などの異物に当たった場合は調査箇所を追加する場合もあります。

費用は敷地の広さなどによっても違いますが、5万円程度が一般的です。

2-2.より本格的なボーリング調査とは?

ボーリング調査は、マンションやビルなど、比較的大きな建物を建てる場合に採用される調査方法です。
地面から地中数十メートルほどの「支持層」と呼ばれる頑丈な地層までをくり貫いて調査をします。

掘り取った穴を利用して、1mごとに地盤の硬さを測定するため、スウェーデン式サウンディング試験よりも精度が高く、土のサンプルも採取できるのがメリットです。

欠点として、打撃音やモーター音の騒音が生じることや、調査には5メートル四方の広いスペースが必要となること、調査に数日かかることなどが挙げられます。

もしも戸建住宅でボーリング調査を依頼するのであれば、費用は20万~30万円程度と高くつく点も要注意です。

3.地盤が弱かったら…地盤改良工事の方法と費用相場

地盤調査の結果、地盤が弱い場合に行う地盤改良工事(地盤補強工事)には以下のような方法があります。

工法工期費用相場(戸建て住宅の場合)
3-1.表層改良工法1~2日50万円程度
3-2.柱状改良工法3日~1週間100万円程度 ※深さ4メートルの柱をおよそ50本注入した場合 ※柱を注入する深さに比例して高額になる
3-3.杭打ち(鋼管杭工法)1~2日100万~200万円程度

上記の中から、ハウスメーカーが最適と判断した工法が採用されます。
各工法を詳しく見てみましょう。

3-1.表層改良工法

表層改良工法は、家を建てる部分の土を1~2メートル掘って、その部分に土と固化材を混ぜることで地盤を強くします。
さまざまな土質に対応でき、小型重機を使用するので狭小地でも可能です。
費用は、他の2種類と比較すると最も割安です。

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3-2.柱状改良工法

柱状改良工法は、コンクリートの柱を碁盤の目のように規則正しい配列で、何本も注入する方法です。
戸建住宅以外にも、ビルやマンションといった重い建物でも採用される工法で、軟弱地盤の深さが2~8メートルほどの場合に用いられます。

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3-3.杭打ち(鋼管杭工法)

鋼管杭工法では、地中深くの固い地盤に鋼管の杭を打ちます。
他2つの工法よりも地盤改良後の強度が高くなるので、3階建ての重量鉄骨住宅など、重さがある建物にも適しています。
ただし、工事中は騒音や振動が発生するという注意点もあります。

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4.地盤調査のタイミングはハウスメーカー決定前がおすすめ

4.地盤調査についてあらかじめ知っておきたい3つのこと

通常、土地を買って家を建てる場合、地盤調査は土地の契約と引渡しが終わったあとに行うものですが、事前に調査をしてもらえるケースもあり、地盤調査は、ハウスメーカーを最終決定する前がおすすめです。
契約前に地盤調査ができるかどうかを、不動産会社や売主に相談してみてください。

4-1.契約前に地盤調査をするべき2つの理由

ハウスメーカーと工事請負契約を結ぶ前の地盤調査がおすすめである理由は、以下の2つです。

【理由1】ハウスメーカーごとに結果が異なるから
【理由2】全体の予算が組みやすくなるから

以下より解説します。

【理由1】ハウスメーカーごとに結果が異なるから

ハウスメーカーによって地盤調査の結果は異なるため、必要と判断される地盤改良工事やかかる費用にも違いがあります。
調査の結果がハウスメーカーごとに異なる理由には、以下のような点が挙げられます。

  • 地盤調査には熟練した技術と判断力が必要になるため
  • どういった地盤改良工事が必要なのかという判断が異なるため
  • ハウスメーカー独自の地盤改良工事を開発しているケースがあるため
  • 必要以上の強度を持った設計を行いたいと考えるハウスメーカーも存在するため

しかし、一般の人が地盤調査に立ち会ったとしても、その妥当性を判断することは難しいため、ハウスメーカー選びが非常に重要なポイントであるといえます。
ハウスメーカー選びについては「ハウスメーカーの選び方」の記事をご覧ください。

【理由2】全体の予算が組みやすくなるから

理由1でお伝えしたとおり、ハウスメーカーによって調査の結果や地盤改良工事の工法は異なります。
地盤調査を行って地盤改良費をはっきり確定させてから工事請負契約を結べば、全体の予算が組みやすくなります。

また、全体の予算は、家を建てる流れを把握しておくと、グッとプランニングしやすくなります。
「土地購入の流れがわからない」「全体の流れを把握したい」という方は「土地購入の流れ」の記事を参考にしてください。

4-2.契約前に地盤調査を依頼する際の注意点

工事請負契約を結ぶ前の地盤調査で注意したいのは、以下の2つです。

【注意点1】「安いからお得」逆に「高額なほうが安心」とはいえない
【注意点2】地盤調査のタイミングと費用は各メーカーに確認する

こちらも1つずつ確認しておきましょう。

【注意点1】「安いからお得」逆に「高額なほうが安心」とはいえない

前述のとおり、地盤調査を行うと、その結果や判断についてハウスメーカーごとに違いが出ることは珍しくありません。このとき、「地盤改良工事費用の見積もりが安いからお得だ」とか、逆に「高額なほうが安心だ」とはいえません。
以下のケースを例に見てみましょう。

(例)
ハウスメーカー調査の結果
A社地盤改良は不要
B社柱状改良50万円
C社鋼管杭200万円

このように、同じ土地でも、必要と判断された地盤改良工事の内容が異なった場合、以下の可能性が考えられます。

  • 調査自体がうまくいかなかった
  • 割高な提案をされている

もちろん、各ハウスメーカーが採用する構造の違いや、独自の研究・開発による工法を採用していることが理由であるケースもありますが、調査の結果にあまりにも大きな差がある場合は注意しましょう。

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【注意点2】地盤調査のタイミングと費用は各メーカーに確認する

複数のハウスメーカーで地盤調査を行う際は、タイミングと費用を各メーカーに確認しましょう。
契約しなかったハウスメーカーの分の調査費用については、自己負担が発生する可能性が高いです。
地盤調査を行うタイミングは、プラン提示前に行ったり、仮契約後(工事請負契約前)に行ったりと、ハウスメーカーによって違いがあります。

無料で調査をしてくれるハウスメーカーもあれば、仮契約のときに地盤調査費用を含んで10万円程度の申込金を支払い、仮契約をキャンセルした場合は地盤調査費用の5万円だけ自己負担になるというケースも見受けられます。

ちなみに「HOME4U 家づくりのとびら」では、ハウスメーカーのお断り代行もサポートしています。「ここまで来て断りづらい…」「キャンセル料がかかるか聞きたい」という方や、資金計画についてプロに相談したい方はぜひお気軽にご相談ください。

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4-3.引渡し前の地盤調査を断られたら?

土地引渡し前の地盤調査を断られてしまったら、「1-3.地盤改良工事の要否を事前に予測するポイント」と同様、以下の情報収集を実践し、参考にしてみるとよいです。

  • 昔の地盤調査の結果が残っていないか確認
  • 地元の不動産会社や近隣の人、周辺で家を建てた実績があるハウスメーカー等から情報を得る
  • HOME4U 家づくりのとびら」で、土地の周辺エリア情報を教えてもらう

いずれも参考程度に留める必要がありますが、事前に「高額な地盤改良工事費用がかかる可能性がある」とわかれば、「あとから資金計画を見直す」なんて手間も省けそうです。

無料で活用できる家づくりのとびらのサービスを活用しながら、軽減できる不安や疑問はなるべく払しょくしながら家づくりを進めてくださいね。

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まとめ

安心して住むことのできる家を建てるには、的確な地盤調査を行い、必要であれば地盤改良工事を行うことが必要不可欠です。
ただし、地盤改良工事の工法はハウスメーカーが決めることであり、その判断は同じ土地であってもメーカーによって異なります。
私たちがその内容の妥当性を判断するのはとても難しいことなので、高い技術力を持ち、最適な地盤改良工事を行ってくれる良心的なハウスメーカーを選ぶことが重要となります。

地盤調査・プランニング・建築までを安心して任せられるハウスメーカーを見つけ、納得のいく地盤調査・改良工事を行ってくださいね。


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この記事の編集者

「家づくりのとびら」編集部

NTTデータグループが運営する注文住宅相談サービス「家づくりのとびら」編集部です。難しい住まいづくりの情報を、わかりやすく正確にお伝えします。記事は不動産鑑定士や宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修記事がメイン。初めての住まいづくりをサポートします!

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