60代で住宅ローンを組むための基礎知識

この記事では、60代の住宅ローン事情について、平均的な借入金額・借入期間や審査に通るポイント・審査に落ちるポイントを、住宅ローンの基礎知識を交えてご紹介します。

この記事でわかること

  • 60代が選んだ物件は中古戸建住宅が一番多い
  • 退職後のライフプランも考え、借入金額・月々の返済額を設定することが重要
資金計画に不安や悩みがある」という方は、本記事をご覧になった上で、「HOME4U 家づくりのとびら」で相談してみることをおすすめします。
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その他の年齢で住宅ローンを組む場合と比較したい方は「住宅ローンは何歳までに組む?」の記事もご覧ください。

目次

1.データで解説!60代は住宅ローンをこんな風に組んでいる

60代で住宅ローンを組む際に、60代の平均的な年収・借入金額などのデータを元に解説します。

1-1.60代が選んだ物件は中古戸建住宅が一番多い

新築・中古物件において、初めて物件を取得した人のことを「一次所得者」と言います。
60代の一次所得者は、中古戸建物件が11.2%と一番多く、次いで中古マンションが9.3%、注文住宅が9%となっています。


世帯主の年齢 一次取得者

出典:国土交通省「PDF令和3年度住宅市場動向調査報告書

1-2.60代の平均年収400万円~600万円では住宅購入金額・借入金額・頭金・月々の返済額はどれくらい?

国税庁が行った「令和3年分 民間給与実態統計調査―調査結果報告―」では、60代の平均年収は400万円~600万円であることがわかります。

年齢・性別によって区分した平均年収

出典:国税庁「PDF令和3年分 民間給与実態統計調査―調査結果報告―

年収400万円~600万円の場合、住宅購入金額・借入金額・頭金・月々の返済額の平均値をご紹介します。
条件は下記の通りです。

  • 金利:1%
  • 借入期間:20年
  • 返済方法:元利均等返済
  • 返済負担率:12%
【60代で年収400万円~600万円の人が住宅ローンを組んだ際の住宅購入金額・借入金額・頭金・月々の返済額(一例)】
年収 年収400万円台 年収500万円台 年収600万円台
住宅購入金額 1,669万円 2,087万円 2,504万円
借入金額 869万円 1,087万円 1,304万円
頭金 800万円 1,000万円 1,200万円
物件価格に対する頭金の割合 47.9% 47.9% 47.9%
月々の返済額 7.7万円 5万円 6万円

参考:住宅保証機構株式会社「住宅ローンシミュレーション

借入金額の決め方については「3-4.住宅ローンの借入金額の決め方」、頭金の考え方については「3-3.頭金の有無によるメリット・デメリット」で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

1-3. 60代は審査が厳しくなりやすい!住宅ローンを組む年齢別のメリット・デメリット

住宅ローンは安定した返済ができるかどうかが借入のひとつのポイントとなるため、働き盛りの30代・40代と比べると60代は住宅ローンの審査が厳しくなる傾向にあります。

60代で住宅ローンを組むメリット・デメリットはズバリ、以下の通りです。

60代で住宅ローンを組むメリット

  • 子どもが独立したため貯蓄があり、頭金を多く準備できる可能性がある

60代で住宅ローンを組むデメリット

  • 20代~40代に比べて審査に落ちる可能性が高くなる

改めて、各年代毎のメリット・デメリットをご紹介します。

【各年代ごと 住宅ローンを組むメリット・デメリット】
メリット デメリット
20代
  • 借入期間を長く設定できるため、月々の返済額にゆとりが持てる
  • ライフプランにあわせた資産形成をしやすい
  • 定年前にローンを完済できる
  • 転職・転勤など将来の不確定要素が多い
  • 金利負担が多くなる可能性がある
  • 収入が少ない場合、借入金額が少なくなる
30代
  • 収入が安定している傾向にあるため、ローンの審査が通りやすい
  • ライフプランにあわせた資産形成をしやすい
  • 転職・転勤など将来の不確定要素がある
  • 借入期間によって、定年後にもローンが残る可能性がある
40代
  • ライフスタイルが安定しており、生活費・教育費、貯蓄などと月々の返済額のバランスをとりやすい
  • 35年でローンを組めない可能性がある
  • 20代・30代と比べ借入期間が短く設定されることが多いため、月々の返済額が多くなる可能性がある
50代
  • 住宅購入費用に余裕が出やすい
  • 既に子どもが独立しているケースが多く、コンパクトな間取りの住まいでも良くなる
  • 老後の生活を考えた間取りの住まいにできる
  • 住宅ローンの審査に落ちる可能性が20代~40代と比べて高くなる
  • 老後の資金に不安要素が残る
  • 健康状態によっては、住宅ローンを組む際に必要な団体信用生命保険への加入が難しい可能性がある
60代
  • 既に子どもが独立しているケースが多く、コンパクトな間取りの住まいでも良くなる
  • 老後の生活を考えた間取りの住まいにできる
  • 60代以上向けの住宅ローンのプラン(リ・バース60など)がある
  • 住宅ローンの審査に落ちる可能性が20代~40代と比べて高くなる
  • 老後の資金に不安要素が残る
  • 健康状態によっては、住宅ローンを組む際に必要な団体信用生命保険への加入が難しい可能性がある
  • リ・バース60は、借入限度額が小さく、また元金が減らず利息のみの支払いになるため返済は生涯続く

住宅ローンなど大きなお金が動く際に、このプランでいいのかと不安に思われる人も多いかと思われます。
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2.60代で住宅ローンを組む際に生じるリスクと留意すべきポイント

60代で住宅ローンを組む際、30代・40代と比べ審査が厳しくなる傾向にあります。
ここでは、住宅ローンを組む際に考慮されるポイント、生じるリスク、留意すべきポイントについてご紹介します。

2-1.住宅ローンの審査で借入先が考慮するポイント

住宅ローンの審査では、主に下記9つの項目が考慮されるポイントです。

【住宅ローンの審査で主に考慮されるポイント】
考慮されるポイント 内容 考慮すると答えた割合
借入時年齢 住宅ローンを借入れるときの年齢
申し込み期間は20歳以上70歳未満とするのが一般的
97.1%
完済時年齢 住宅ローンを完済するときの年齢
65歳までに完済するのが理想的
98.9%
健康状態 団体信用生命保険に加入可能な健康状態かどうか 98.5%
年収 借入れるときの年収 95.0%
返済負担率 理想は20%、多くても25%~30% 94.6%
勤続年数 1年以上勤めているかどうか 94.5%
担保評価 借入対象となる土地・建物へ付与された抵当権 97.6%
連帯保証 連帯保証人の有無 94.5%
他借入状況 他での借入の有無や、過去の借入の返済状況 62.9%

参考:PDF国土交通省「令和3年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」

詳しい基準については、事前に借入先に問い合わせをしておくと良いでしょう。

2-2.60代で住宅ローンを組む際に生じるリスク

60代で住宅ローンを組む際に生じるリスクは以下の3つです。

  • リスク1:借入期間が短くなり、月々の返済額が増える可能性が高い
  • リスク2:定年退職の後も返済を続ける必要があるため、老後の資金への不安が残る
  • リスク3:健康状態によっては「団体信用生命保険」に加入できず、借入先判断で住宅ローンを組むことができない可能性がある

借入先によっては、住宅ローンの完済年齢を80歳としているケースもあるため、借入開始年齢によっては、かなり短い期間での返済が求められる可能性があります。実際に完済時の年齢を考慮すると答えた割合は98.9%と一番高く、かなり重視されていることがわかります。
また、借入期間が短くなるほど月々の返済額は高くなるため、収入が減少する定年後の返済額が家計を圧迫してしまう可能性もあります。

2-3.60代で住宅ローンを組む際に留意すべきポイント

60代で住宅ローンを組む際に留意すべきポイントは以下の5つです。

  • ポイント1:老後にかかる費用も計算して、住宅ローンを組む
  • ポイント2:借入期間を短く設定した上で、借入金額・月々の返済額と収支バランスを見ておく
  • ポイント3:頭金を多く準備した上で借入を行う
  • ポイント4:他に借入れているものがあれば、住宅ローンを組む前に完済しておく

借入期間によっては、定年後にも住宅ローンの返済を続けなければなりません。
そのため、収入が減少した後の家計の収支バランスを見ながら借入金額を決めると良いでしょう。

また、同じ物件を購入する際にも頭金の有無によって、借入金額が大きく変わります。
ARUHIが行った「住宅購入に関する調査2021」では、60代で住宅ローンを組む際に頭金を準備した人は全体の86.3%とかなり多い割合を占めています。
中でも、頭金を2,000万円以上準備した人は38.4%を占め、頭金を多く準備し借入金額を抑えているケースが多く見受けられます。

参考:ARUHI「60代の住宅購入額や借入金額の平均は? |ARUHI「住宅購入に関する調査2021」」

親と子が同時に住宅ローンを組み返済を開始する「親子ペアローン」を用いれば、借入金額を多く設定ができますが、契約時の手数料が2倍になるなどデメリットもあります。
詳しくは「親子ペアローンとは?メリット・デメリットや後悔しないためのチェックポイント」の記事をご覧ください。

3.60代で住宅ローンを組むための基礎知識

60代で住宅ローンを組むための基礎知識を平均的な借入金額・借入期間や、住宅ローンを検討するタイミング、頭金などについてご紹介します。

3-1.60代の平均的な借入金額・借入期間

40代・50代・60代で住宅ローンを組んだ場合の平均的な借入金額・借入期間などをご紹介します。
50代・60代を比較すると住宅購入金額は400万円程の差ですが、借入金額では900万円近い差が出ていることがわかります。

【40代・50代・60代の平均的な借入金額・借入期間】
40代 50代 60代
住宅購入金額 約3,548万円 約3,684万円 約3,229万円
借入金額 約2,146万円 約1,481万円 約588万円
月々の返済額 7万5,800円 9万4,723円 7万4,646円
借入期間 約28年 約23年 約23年
完済予定期間 約23年 約20年 約19年

引用:ARUHI「40代の住宅購入額や借入金額の平均は? |ARUHI「住宅購入に関する調査2021」

また、借入金額は、頭金の有無によっても異なります。
頭金とは住宅を購入する際に、住宅購入金額の一部を先払いすることによってローンの総額から差し引く金額のことを指します。
頭金について詳しくは「2-3.頭金の有無によるメリット・デメリット」をご覧ください。

3-2.住宅ローンを検討するタイミング

60代では主に「子どもが独立したこと」や「資金的に余裕があるタイミングであること」といった理由から住宅の購入を考えるケースが多区なっています。
下記3つのポイントも考慮した上で、住宅購入へ踏み切ると安心です。

  • 年収:年収400万円以上になったタイミング
  • 利率の変動:金利が下がったタイミング
  • 将来の予定:老後に向けて準備をするタイミング

3-2-1.年収400万円以上になったタイミング

住宅ローンを組んだ人の平均年収は400万円~600万円が40.1%と一番多く、年収が400万円以上になったタイミングで住宅の購入や、それに伴い住宅ローンを利用していることがわかります。

【2021年度にフラット35を利用した方の平均年収(全年齢)】
400万円未満 22.2%
400万円~600万円未満 40.1%
600万円~800万円未満 20.3%
800万円~1,000万円未満 8.9%
1,000万円~1,200万円未満 3.6%
1,200万円以上 4.9%

引用:PDF住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」

3-2-2.金利が下がったタイミング

住宅ローンの金利のことを「適用金利」と呼びます。「適用金利」が決まるタイミングは、借入先によって異なりますが

  • 住宅ローンを申し込んだタイミングの金利で決まる:財形住宅融資など
  • 融資が実行されたタイミング「実行金利」の金利で決まる:【フラット35】、金融機関など

こちらの2種類のタイミングで決められます。
金利は毎月1回更新されます。借入先によって、更新される日付は毎月1日や毎月10日など様々です。

利用者の多い【フラット35】や金融機関の金利は、融資が実行されたタイミングの「実行金利」が適用されます。
「実行金利」の場合、住宅ローンの申し込みから融資実行まで約1ヵ月半程かかるため、手続きのタイミングによっては予定よりも金利が上昇するケースも、下降するケースも考えられます。

また、住宅ローンの金利の種類には下記3つの種類があります。

  • 変動型
  • 固定型
  • 全期間固定型

金利の種類によっても適用される金利の数値が異なるため、金利の動向を見ながら住宅ローンを検討することが大切です。


民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)

出典:【フラット35】「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」

住宅ローンの金利の種類について、メリット・デメリットは「4-1.住宅ローンの金利の種類とメリット・デメリット」で詳しく解説します。

3-2-3.老後に向けて準備をするタイミング

60代では子どもが独立したため、老後に向け住みやすい家に住み替えるケースが多いです。
他にも、

  • 夫婦で暮らすのに十分なコンパクトな間取りの家に変える
  • 二世帯住宅に変える

などの理由もあげられます。

詳しくは「【2023年版】家を建てるベストタイミング、全国平均はいつ?結婚や子供がきっかけになる?」をご覧ください。

3-3.頭金の有無によるメリット・デメリット

頭金は住宅を購入する際に、住宅購入金額の一部を先払いすることによってローンの総額から差し引く金額のことを指します。
ここでは、頭金の有無によるメリット・デメリットをご紹介します。

【頭金の有無によるメリット・デメリット(全年齢)】
頭金が有る場合のメリット 頭金が有る場合のデメリット
  • 比較的住宅ローンの審査が通りやすくなる
  • 利息を少なくすることができる
  • 月々の返済額を少なくすることができる
  • 住宅ローンの種類によっては、金利を低く設定することができる
  • 頭金の割合によって金利の引き下げを受けられる可能性がある
  • ある程度の貯蓄が必要
  • 生活費など他の目的に使えなくなる
頭金が無い場合のメリット 頭金が無い場合のデメリット
  • 生活費など他の目的に手持ちのお金を使うことができる
  • 住宅ローンの審査が厳しくなる
  • 借入金額が多くなるため、利息が増える

例えば、3,000万円の住宅を購入する際に600万円の頭金を支払う場合は、差額の2,400万円を住宅ローンで準備する必要があります。
頭金無しで住宅ローンを組むフルローンや、住宅購入金額の他に諸費用を含め住宅ローンを組むオーバーローンで融資を得ることができるケースもありますが、住宅ローンの審査が厳しくなる傾向にあります。

3-3-1.頭金の決め方

頭金の金額は、住宅購入金額のうち全体の10%~20%程を準備しておくケースが多くなっています。
頭金の平均金額は下記のとおりです。

【建物の種類ごとに分類した頭金の平均金額(全年齢)】
注文住宅 596.6万円
(資金全体の16.7%)
注文住宅+土地 412.3万円
(資金全体の9.3%)
建売住宅 270.0万円
(資金全体の7.5%)
マンション 785.9万円
(資金全体の17.4%)
中古戸建 214.9万円
(資金全体の8.2%)
中古マンション 418.9万円
(資金全体の13.8%)

参照:PDF住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」

頭金を決める際は諸費用も含め、無理のない金額を設定することが大切です。

頭金について詳しくは「家を建てる時に頭金はいくら貯めればいい?相場や注意点を解説」をご覧ください。

3-4.住宅ローンの借入金額の決め方

住宅ローンの借入金額は

  • 年収から判断する方法
  • 月々の返済額から判断する方法

こちらの2種類があります。

3-4-1.年収から判断する方法

借入金額の目安として、年収倍率から求める考え方があります。
年収倍率は「年収倍率=住宅購入にかかる費用(建物の建設費・土地の取得費)÷住宅ローン申込時の額面年収」で求められます。

一般的に借入金額は年収の約5倍~6倍を見ておくと、無理のない返済プランを立てやすくなります。
ただし、60代で借入を行う場合には定年後に収入が減少することも考えた上で借入金額を設定することが重要になります。

【年収の5倍~6倍で計算した借入金額(全年齢)】
年収 借入金額
300万円 1,500万円~1,800万円
400万円 2,000万円~2,400万円
500万円 2,500万円~3,000万円
600万円 3,000万円~3,600万円
700万円 3,500万円~4,200万円
800万円 4,000万円~4,800万円
900万円 4,500万円~5,400万円
1,000万円 5,000万円~6,000万円

実際に、住宅金融支援機構が行った「2021年度 フラット35利用者調査」では、建物の種類ごとの平均年収倍率が紹介されています。

  • 新築物件:6.8倍~7.5倍
  • 中古物件:5.7倍~5.8倍

参照:PDF住宅金融支援機構「2021年度 フラット35利用者調査」

こちらのデータは、年収400万円未満から年収1,200万円以上まで幅広い数値での結果となるため、年収の約5倍~6倍を基準に、生活に余裕がある場合は6倍以上を検討していくとよいでしょう。

また、住宅購入にかかる費用には借入金の他に頭金も含まれます。
そのため、年収倍率7倍以上の住宅を購入していたとしても、実際の借入金額は頭金10%~20%を除いた金額となります。住宅購入金額が2,000万円でも、そのうち100万円~200万円を頭金で支払うため、実際の借入金額は年収の約5倍~6倍がひとつの基準となります。

3-4-2.月々の返済額から判断する方法

月々の返済額から逆算し、借入金額がどれくらいになるか判断する方法です。
借入れた際の金利によって借入金額は変動しますが、一般的に年収・月収の20%を返済額としてあて、多くても25%~30%程に抑えておくと無理のない返済プランが立てやすくなります。
住宅金融支援機構が行った「PDF2021年度 フラット35利用者調査」では、総返済負担率の平均は22.7%となっています。

総返済負担額は「総返済負担率=総返済額÷年収×100」で求められます。

ここでは、下記の条件で住宅ローンを組んだ場合の月々の返済額と借入可能な金額をご紹介します。

  • 金利:0.5%、1%、1.5%、2%
  • 借入期間:20年
  • 返済方法:元利均等返済
【月々の返済額の例(全年齢)】
月々の返済額 金利 借入金額
5万円 0.5% 1,141万円
1% 1,087万円
1.5% 1,036万円
2% 988万円
6万円 0.5% 1,370万円
1% 1,304万円
1.5% 1,243円
2% 1,186万円
7万円 0.5% 1,598万円
1% 1,522万円
1.5% 1,450万円
2% 1,383万円
8万円 0.5% 1,826万円
1% 1,739万円
1.5% 1,657万円
2% 1,581万円
9万円 0.5% 2,055万円
1% 1,956万円
1.5% 1,865万円
2% 1,779万円
10万円 0.5% 2,283万円
1% 2,174万円
1.5% 2,072万円
2% 1,976万円

参照:【フラット35】毎月の返済額から借入可能金額を計算

60代の平均月収から住宅ローンの返済を含む生活費の家計収支をご紹介します。

60歳~64歳までは、

  • 男性月収:400,000円
  • 女性月収:199,166円
  • 月々の返済額の割合:月収の10% 59,916円

国税局「PDF令和3年分 民間給与実態統計調査―調査結果報告―」の年代別平均年収データから算出した、こちらの月収を基準に算出します。

65歳~69歳までは、総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2021年(令和3年)平均結果の概要」より、65歳以上の家計収支データを基準に細かな金額を算出します。


60歳~64歳まで/月収における毎月の住宅ローン返済額の割合

参考:国税庁「PDF令和3年分 民間給与実態統計調査―調査結果報告―
総務省統計局「PDF家計調査報告(家計収支編)2021年(令和3年)平均結果の概要

65歳以上/収入における毎月の住宅ローン返済額の割合

参考:国税庁PDF「令和3年分 民間給与実態統計調査―調査結果報告―」
総務省統計局PDF「家計調査報告(家計収支編)2021年(令和3年)平均結果の概要」

定年退職後の収入が減少すると、月々の収入だけでは「不足分」が発生します。
貯蓄等から切り崩す必要があるため、住宅ローンの借入金額を多く設定してしまうと将来的に金銭面の確保が難しくなる可能性もあります。60代では老後の資金のことも考えて住宅ローンを組むことが重要になります。

国土交通省が行った「PDF令和3年度 住宅動向市場調査報告書」では、住宅ローンの返済について負担があると答えた人は全体の63%と過半数を超えました。

  • 非常に負担感がある:8.6%
  • 少し負担感がある:54.4%
  • あまり負担感はない:29.3%
  • まったく負担感はない:6.7%

また、満60歳以上が選べるプランとして「リ・バース60」があります。
通常は「借入金額(元金)+利息」の支払いが必要ですが、「リ・バース60」は月々の支払いは利息のみになります。借入金額分は債務者が亡くなった際に担保となっている不動産を売却するか、現金の一括返金が求められます。

住宅ローンの金利の種類と借入先の選び方について詳しくは「4.住宅ローンの金利の種類と借入先の選び方」をご覧ください。

4.住宅ローンの金利の種類と借入先の選び方

住宅ローンの金利の種類と借入先の選び方についてご紹介します。

4-1.住宅ローンの金利の種類とメリット・デメリット

住宅ローンの金利の種類は3つあります。

  • 変動型:借入期間中、定期的に金利が変動し、一般的に5年に一度返済額が見直される
  • 固定型:借入時の適用金利が返済開始から一定期間だけ固定されるため、期間中は返済額が変わらない
  • 全期間固定型:返済開始から返済終了まで同じ金利が設定されるため、期間中は返済額が変わらない

各住宅ローンの金利のメリット・デメリットをご紹介します。

【住宅ローンの金利の種類とメリット・デメリット(全年齢)】
金利の種類 メリット デメリット
変動型
  • 他の種類に比べ金利が低く設定されているケースが多い
  • 将来的に金利が下がった場合、返済額も少なくなる可能性がある
  • 将来的に金利が上がった場合、返済額が増える可能性がある
  • 金利の上昇が続くと元金の返済が進まず、利息ばかり支払う状況も考えられる
固定型
  • 一定期間金利が固定されるため、途中で金利が上がった場合も低いときの金利にあわせて返済ができる
  • 固定期間は3年・5年・10年など期間を選べるため、返済計画を立てやすい
  • 変動型と組み合わせることができる
  • 変動型よりも金利がやや高く設定されている
  • 長い期間で固定型金利を組んだ場合、途中で金利が下がっても恩恵を受けられない
全期間固定型
  • 借入期間中に金利が上がった場合でも、
  • 返済計画を立てやすい
  • 変動型よりも金利がやや高く設定されている
  • 途中で金利が下がっても恩恵を受けられない

住宅金融支援機構が住宅ローン利用者を対象とした2022年4月に行った調査では、変動型を選んだ人が全体の73.9%と大半を占めています。一方で固定型は17.3%、全期間固定型は8.9%と全体の2割程度に落ち着いています。

参考:PDF住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査【住宅ローン利用者調査(2022年4月調査)】」

また、状況にあわせて異なる金利の種類を組み合わせ借入を行うミックスローンを実施している借入先もあります。

  • 変動型から全期間固定型へ変更する
  • 固定型から変動型へ変更する

など、ライフプランにあわせた設定が可能です。
ただし、固定期間内(特約期間内)は変更ができないなど規定があるため、借入先に予め確認をとると安心です。

4-2.住宅ローンの借入先の種類とメリット・デメリット

住宅ローンの借入先は主に6つあります。借入先のメリット・デメリットをご紹介します。

【借入先の種類とメリット・デメリット(全年齢)】
借入先の種類 メリット デメリット
都市銀行・信託銀行
  • 比較的金利が低く設定されている
  • 審査のスピードが速い
  • 審査が厳しい傾向にある
地方銀行
  • 都市銀行などに比べて審査が通りやすい傾向にある
  • 個人の状況に応じてやや柔軟に対応をしてくれる
  • 都市銀行などに比べると金利が高く設定されている
ネット銀行
  • 金利は低めに設定されている
  • 対面でのやり取りがないケースが多い
  • 都市銀行などにくらべて事務手数料が高い傾向にある
  • 審査がやや厳しい傾向にある
フラット35
  • 全期間固定型の金利のため、返済プランを立てやすい
  • 保証料が必要ない
  • 他の金利の種類を選ぶことができない
  • 金利が高く設定されている
  • 頭金の割合によって金利が変わる
提携融資(不動産会社)
  • 比較的金利が低く設定されている
  • 審査が通りやすい傾向にある
  • 不動産会社が手続きを一部代行してくれるため、手間を省くことができる
  • 他の借入先との比較検討ができない
  • 手続きの代行費用がかかることがある
財形住宅融資(勤務先)
  • 比較的金利が低く設定されている
  • 事務手数料や保証料が必要ない
  • 利用基準が厳しい

借入先によって金利の設定や手数料の有無などが異なります。
複数の借入先を比較検討し、自分にあった借入先を選ぶと良いでしょう。

4-3.返済の種類とメリット・デメリット

返済の種類には、元利均等返済と元金均等返済の2種類があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットをご紹介します。

  • 元利均等返済:毎月の返済額が同じ返済方法
  • 元金均等返済:住宅ローンの残高によって返済額が変わる返済方法
【住宅ローンの金利の種類とメリット・デメリット(全年齢)】
返済の種類 メリット デメリット
元利均等返済
  • 返済額が一定のため返済プランを立てやすい
  • 総返済額が元金均等返済に比べ高くなる
元金均等返済
  • 総返済額が元利均等返済に比べ低くなる
  • 借入時の返済額が元利均等返済に比べ高くなる
  • 借入時に必要な収入が高くなる

借入先によっては、元金均等返済を取り扱っていないところもあります。
返済計画とあわせ、どちらを選ぶか検討すると安心です。

【必見】家づくりの流れ、
費用・相場を知りたい方へ

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5.60代で住宅ローンを組んだシミュレーション

60代で住宅ローンを組んだ際、実際にどれくらいの金額・期間になるか一例をご紹介します。

【60代で住宅購入金額2,077万円/借入金額1,000万円の住宅ローンを組んだシミュレーション(一例)】
住宅購入金額 2,077万円
借入金額 1,077万円
頭金 1,000万円
年収 600万円
金利の種類とパーセンテージ 変動金利型(1.1%/元利均等返済)
月々の返済額 約5万円(返済負担率10%)
借入期間 20年
総支払額 約1,200万円

参考:一般財団法人住宅金融普及協会「住宅ローンシミュレーション」

総支払額には、利息が含まれます。
実際に利息がどれくらいかかるかは、金利によって異なります。

6.60代で住宅ローンを組む際に使える補助金制度と減税制度

60代で住宅ローンを組む際に使える補助金制度と減税制度をご紹介します。

<補助金制度>

  • 長期優良住宅化リフォーム推進事業
  • ZEH補助金
  • 地域型住宅グリーン化事業

<減税制度>

  • 住宅ローン減税

こちらでご紹介する補助金制度・減税制度の他に、各自治体で行っている補助金制度もあります。
最新情報については、「新築住宅の補助金・税金優遇(減税)制度」の記事を合わせてご覧ください。

6-1.【補助金制度】長期優良住宅化リフォーム推進事業

既存住宅に対して耐震性を高める工事・省エネ対策を行う工事・バリアフリー改修工事など、長く住める家にリフォームをした場合に申請できる補助金です。

対象者
  • 既存住宅を長く住める家にリフォームする方
対象住宅
  • 既存戸建住宅
  • 既存共同住宅
補助される金額
  • 評価基準型:100万円/1戸(150万円/1戸)
  • 認定長期優良住宅型 :200万円/1戸(250万円/1戸)
申請期間 2023年1月31日終了済

参照:国土交通省「長期優良住宅化リフォーム推進事業」

三世代同居改修工事:キッチン、浴室、トイレ、玄関の増築工事
防災性・レジリエンス性の向上改修工事:自然災害に対する改修工事

などを行う場合には、基準の金額から更に50万円加算された金額が支払われます。

6-2.【補助金制度】ZEH補助金

高断熱で高い省エネ性能を有するZEH住宅を建てると申請できる補助金です。

対象者
  • 戸建住宅を新築する方
  • 建売住宅を新築で購入する方
対象住宅

高い省エネ性能(ZEHレベル)を証明書等により確認できる住宅

  • ZEH
  • Nearly ZEH
  • ZEH Oriented
補助される金額
  • ZEH:55万円/1戸
  • ZEH+:100万円/1戸
  • 次世代ZEH+:100万円/1戸
  • 次世代HEMS:112万円/1戸
公募期間 ZEH住宅のみ、2023年3月17日まで公募受付

参照:一般社団法人環境共造イニシアチブ「ZEH支援事業」
一般社団法人環境共造イニシアチブ「次世代ZEH+(注文住宅)実証事業」
一般社団法人環境共造イニシアチブ「次世代HEMS実証事業」

ZEH補助金については「ZEH住宅の補助金について解説!制度の特徴や申請方法がわかる」こちらの記事で解説しております。あわせてご覧ください。

6-3.【補助金制度】地域型住宅グリーン化事業

高断熱で高い省エネ性能を有する木造のZEH住宅を建てると申請できる補助金です。

対象者
  • 木造戸建住宅を新築する方
対象住宅

高い省エネ性能(ZEHレベル)を証明書等により確認できる住宅

  • 認定長期優良住宅
  • ZEH
  • Nearly ZEH
  • ZEH Oriented
  • 認定低炭素住宅
補助される金額
  • 認定長期有料住宅:上限140万円/1戸
  • ZEH:上限140万円/1戸
  • Nearly ZEH:上限140万円/1戸
  • ZEH Oriented:上限90万円/1戸
  • 認定低炭素住宅:上限90万円
公募期間 2022年6月6日終了

参照:地域型住宅グリーン化事業

6-4.【減税制度】住宅ローン減税

住宅ローンを使用して新築・購入、増改新築をした場合に年末の住宅ローン残高の0.7%分を所得税から控除する制度です。最大13年間適用されます。

対象者
  • 住宅ローンを使用して戸建住宅を新築する方
  • 住宅ローンを使用して建売住宅を購入する方
  • 住宅ローンを使用して増改新築をする方
条件
  • 自身が居住する家である
  • 床面積50㎡以上
  • 合計所得金額が2,000万円以下
  • 住宅ローンの借入期間が10年以上 など
補助される金額
  • 年末の住宅ローン残高の0.7分
減税期間 最大13年

参照:国土交通省「住宅ローン減税」

減税制度の最新情報については、「新築住宅の補助金・税金優遇(減税)制度」の記事を合わせてご覧ください。

7.住宅ローンの審査に必要なもの

住宅ローンの審査に必要なものは下記のとおりです。

<事前審査>

  • 本人確認書類:運転免許証、パスポート、健康保険被保険者証など
  • 収入を証明する書類:源泉徴収票(直近のもの)、給与・賞与明細、確定申告の控えなど
  • 購入物件に関する書類:間取り図・配置図、見積書、物件のパンフレット・チラシ、土地登記事項証明書、建物登記事項証明書など
  • その他の借入に関する書類:返済予定表または残高証明書

<本審査>

  • 住宅ローンの申し込みに関する資料:住宅ローン借入申込書、個人情報に関する同意書、団体信用生命保険申込書兼告知書など
  • 本人確認書類:運転免許証、パスポート、健康保険被保険者証、住民票、実印、印鑑証明書など
  • 収入を証明する書類:源泉徴収票(直近のもの)、給与・賞与明細、確定申告の控えなど
  • 購入物件に関する書類:不動産売買契約書、物件概要書、間取り図・配置図、見積書、物件のパンレフレット・チラシ、土地登記事項証明書、建物登記事項証明書など
  • その他の借入に関する書類:返済予定表または残高証明書

借入先によっても必要な書類が異なるケースがあります。
借入先のウェブサイトやパンフレットなどに必要書類の記載があるため、事前に確認をしておくと良いでしょう。

8.無理なく住宅ローンを返済する2つのポイント

住宅ローンの返済が滞ると、住宅ローンを一括で返済しなければならないなど、大きな負担になります。
無理なく住宅ローンを返済するため、特に下記の2つのポイントを抑えておくと安心です。

  • ポイント1:月々の返済額に余裕をもつこと
  • ポイント2:補助金や減税制度を活用すること

減税制度の最新情報については、「新築住宅の補助金・税金優遇(減税)制度」の記事を合わせてご覧ください。

まとめ

60代で住宅ローンを組む際に必要な情報をお伝えしました。
それではおさらいです。

この記事のポイント

60歳からの住宅ローンのデメリットは?

20代~40代に比べて審査に落ちる可能性が高くなることです。
1-3. 60代は審査が厳しくなりやすい!住宅ローンを組む年齢別のメリット・デメリット」でメリットも確認しながら、最適な選択を検討しましょう。

60歳で住宅ローンを組む場合、頭金は2,000万円で足りる?

ある調査では、60代で住宅ローンを組む際に頭金を準備した人は全体の86.3%、2,000万円以上の頭金を準備した人は38.4%を占めています。
2-3.60代で住宅ローンを組む際に留意すべきポイント」を参考に、収入が減少した後の家計の収支バランスを見ながら借入金額を決めましょう。

60歳で住宅ローンを借りるのに頭金1,000万円用意した場合の月々の返済額は?

以下の条件の場合、月々の返済額は5万円です。

  • 金利:1%
  • 借入期間:20年
  • 返済方法:元利均等返済
  • 返済負担率:12%
  • 年収:500万円台

詳細は「1-2.60代の平均年収400万円~600万円では住宅購入金額・借入金額・頭金・月々の返済額はどれくらい?」をご覧ください。


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この記事の編集者

「家づくりのとびら」編集部

NTTデータグループが運営する注文住宅相談サービス「家づくりのとびら」編集部です。難しい住まいづくりの情報を、わかりやすく正確にお伝えします。記事は不動産鑑定士や宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修記事がメイン。初めての住まいづくりをサポートします!

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