- 変更日:
- 2024.10.25
住宅ローンは一般的に、「建物が完成して引き渡されるときに融資を受け取る」という仕組みです。
しかし注文住宅では、建物が完成する前にもさまざまな費用を支払わなければなりません。
「つなぎ融資」は、引き渡し前に支払う費用負担に充てられる融資です。
つなぎ融資は便利である反面、金利や手数料などで損をしてしまう可能性もあります。
本記事は住宅ローンを利用して家を購入する方に向けて、「つなぎ融資とは何か」や、「もったいない」と言われる理由について簡潔に解説しています。
この記事でわかること
- つなぎ融資とは
- 「つなぎ融資はもったいない」と言われる理由
- つなぎ融資の「デメリット」「注意点」 等
住宅ローンの種類について詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
目次
1.住宅ローンの「つなぎ融資」とは
「つなぎ融資」とは、
住宅ローンの融資実行のタイミングでは間に合わない出費に対応するために受ける「つなぎ」の融資のことです。
住宅ローンの融資実行のタイミングは一般的に、「建物が完成して引き渡されるとき」です。
「つなぎ融資」を利用すれば、住宅ローンの融資を受ける前に支払わなければならない費用を補うことができます。
つなぎ融資の仕組みと必要なケースについて、以下から解説します。
1-1.つなぎ融資の仕組み
建物の建築費は着工から完成までの間に3~4回に分けて支払うのが一般的ですが、住宅ローンの融資は建物の引き渡し時のことが多いため、着工金などは住宅ローンでは賄えなくなります。
「つなぎ融資」を利用すれば、建物が完成するまでの間に発生する支払いを一時的に借り入れることができます。
住宅ローンの融資が実行されたら、「つなぎ融資」で借り入れた額をまとめて返済し、住宅ローンの本融資に一本化する仕組みです。
1-2.つなぎ融資が必要なケース
つなぎ融資が必要となるのは以下のようなケースです。
つなぎ融資が必要なケース
- 自己資金が手薄いため、手付金等の建築時にかかる費用を用意できない
- 注文住宅で土地代を先に払う必要がある
- 引き渡し時に融資実行が間に合わない
住宅取得でつなぎ融資が必要なのは多くが注文住宅を建築するケースです。
建築費用の支払いスケジュールは、完成して引き渡しの時に全てを支払うのではなく、着工時や建築の中間時に分けて支払うのが一般的であり、以下のような場合には建物代金の60%を建物完成前に支払わなければなりません。
着工金 | 中間金 | 竣工時金 (最終引渡し) |
---|---|---|
建築費全体の30% | 建築費全体の30% | 残りの建築費40% |
※ハウスメーカーによって異なる
このような多額の自己資金を用意できる方は少ないので、注文住宅では、つなぎ融資や分割融資などがほぼ必須といえます。
まれに建売住宅などでも住宅ローンの審査が間に合わず、つなぎ融資を受けることもあります。
1-3.つなぎ融資が「もったいない」と言われる理由と対策
「つなぎ融資はもったいない」という言葉をよく目にしますが、以下のような理由があるからと考えられます。
つなぎ融資が「もったいない」と言われる理由
- 住宅ローンに比べ金利が高い
- 住宅ローンとは別にローン手数料がかかる
住宅ローンは「建物」を担保にしますが、つなぎ融資は担保にするものがないため、金利が割高です。
また、つなぎ融資を利用すると、ローン契約に必要な諸費用を2回負担することになるため、「もったいない」という感情が生まれるのでしょう。
対策としては、引き渡し前にかかる費用を考慮して自己資金を貯めておくことです。
全体の建築プランの費用縮小もつなぎ融資を利用せずに済む方法です。
つなぎ融資を利用するとその分住宅ローンの返済額も増えるため、その後の返済プランにも少なからず影響が出ます。
ここまで「つなぎ融資」に関する話をしてきましたが、土地の購入から家づくりまでにどのくらい費用がかかるかによって、つなぎ融資を使うべきかどうかが見えてくるはずです。
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2.つなぎ融資のデメリット
ここではつなぎ融資特有のデメリットを3つ紹介します。
つなぎ融資の3つのデメリット
- 金利が高い
- ローン手数料など諸費用がかかる
- すべての金融機関で扱っているわけではない
以下から一つずつ解説します。
2-1.つなぎ融資は金利が高い
つなぎ融資は無担保融資となるため、金利は住宅ローンよりも割高です。
建物が竣工するまでの短期間だけ借り入れるので、実際に支払う利息が高額とは限りませんが、年率で表示すると住宅ローンよりも高いのが一般的です。
例えば、住宅ローンの金利が年率1%前後の銀行でも、つなぎ融資の金利は年率2~3%前後です(2023年1月現在)。
住宅ローンの金利については以下でまとめていますので、あわせてご覧ください。
2-2.ローン手数料など諸費用がかかる
住宅ローンとは別の契約を交わすことになるため、つなぎ融資を利用するための諸費用が必要です。
諸費用には次のようなものがあります。
費用 | 概要 | 金額目安 |
---|---|---|
印紙代 (印紙税) | 金融機関と締結する契約書を作成する際に課される税金 | 2万円程 |
事務手数料 | 各金融機関が定める手続き費用 | 数万円~10万円程度 |
登録免許税 | 登記を行う人が国に収める税金 | 土地の課税標準額×税率 |
司法書士報酬 | 登記を依頼する場合に司法書士に払う報酬 | 2万~7万円 |
団体信用 生命保険料 | つなぎ融資が実行されている間の死亡などのリスクに備える保険料 | 金利に含まれることが多い |
住宅ローンの諸費用だけでなく、注文住宅の建築全体にかかる諸費用について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
2-3.すべての金融機関で扱っているわけではない
つなぎ融資を取り扱っている金融機関は限られています。
つなぎ融資がある銀行は、楽天銀行、新生銀行、ARUHI、イオン銀行などがあります。
メガバンクや地方銀行は、つなぎ融資に対応してくれるケースもありますが、「分割融資」「土地先行融資」といった別の制度が用意されていることも多いので、窓口で相談するとよいでしょう。
「分割融資」や「土地先行融資」については以下の記事もご覧ください。
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3.つなぎ融資を利用する際の注意点
つなぎ融資にはデメリットもあるため、利用する際に気を付けておきたいポイントがいくつかあります。
つなぎ融資を利用する際の4つの注意点
- 工期が長引くと利息負担が増える
- 借入金額や回数の上限がある
- 住宅ローンの選択肢が減る
- 住宅ローン控除が利用できない
一つずつ解説していきます。
3-1.工期が長引くと利息負担が増える
つなぎ融資は、住宅ローンの融資実行日である引渡し時に一括返済するので、住宅の引渡時までに相当する利息負担が発生します。
天候やハウスメーカーの都合などで当初の予定より住宅の完成が遅れてしまうと、借入期間も伸びてしまい、思ったよりも利息分の負担が増えてしまうので注意が必要です。
3-2.借入金額や回数の上限がある
つなぎ融資は無担保の短期融資のため、金額や回数に上限を設けている金融機関が多いです。
金融機関が定めている、つなぎ融資の有事上限額の一例をご紹介します。
つなぎ融資の融資上限額 一例
土地費用:100%まで
着工金:建築費用の30%まで
中間金:建築費用の60%まで
※金融機関によって異なる
融資期間についても、1回目のつなぎ融資の実行から1年以内というような制限があるのが一般的です。
また、融資の回数は最大で3回までのケースが多いですが、金融機関によって異なります。
3-3.住宅ローンの選択肢が減る
つなぎ融資は一般的に住宅ローンを借入する予定の金融機関を利用します。
そのため、住宅ローンを組む金融機関がつなぎ融資を取り扱っていないと、基本的につなぎ融資を利用できません。
つなぎ融資が必要と予想できる場合は、検討している金融機関の住宅ローンがつなぎ融資を利用できるかを確認しておくとよいでしょう。
3-4.住宅ローン控除が利用できない
つなぎ融資は住宅ローンの一部を返済に充てられるものの、住宅取得のための融資商品ではないため、控除の対象にはなりません。
住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを取得した場合、取得した住宅の性能次第で利用できることがある所得税と住民税の減税措置です。
住宅ローン控除については以下の記事で詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。
住宅ローンについては下記でも解説しています。あわせてご覧ください。
関連記事
この記事のポイント まとめ
住宅ローンのつなぎ融資とは?
住宅ローンの融資実行のタイミングでは間に合わない出費に対応するための「つなぎ」の融資のことです。
つなぎ融資のデメリットは?
- 金利が高い
- ローン手数料など諸費用がかかる
- すべての金融機関で扱っているわけではない
詳しくは「2.つなぎ融資のデメリット」をご覧ください。
つなぎ融資を利用する際の注意点は?
- 工期が長引くと利息負担が増える
- 借入金額や回数の上限がある
- 住宅ローンの選択肢が減る
- 住宅ローン控除が利用できない
詳しくは「3.つなぎ融資を利用する際の注意点」をご覧ください。
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