- 変更日:
- 2024.12.25
2025年に実施される「子育てグリーン住宅支援事業」。
名前に「子育て」がついていますが、場合によってはすべての世帯が利用できます。
補助対象は、「注文住宅」「分譲住宅」「賃貸住宅」の新築、「リフォーム」の4つがあり、例えば、住宅を新築する場合は以下のような条件・補助額が定められています。
対象世帯 | 対象住宅 | 補助額 |
---|---|---|
すべての世帯 | GX志向型住宅 | 160万円/戸 |
子育て世帯 若者夫婦世帯 | 長期優良住宅 ZEH水準住宅 | 40万~100万円/戸 |
なお、本事業は2024年度に実施された「子育てエコホーム支援事業」の後継事業と言われています。
※子育てエコホーム支援事業は、補助金申請額が予算上限に達し次第、もしくは2024年(令和6年)12月31日で交付申請の受付が終了します。
この記事で情報を素早くキャッチし、お得な家づくりの参考にしてくださいね。
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新築の住宅購入でもらえる補助金・助成金・税金優遇(減税)制度について最新情報が知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
※この記事は国土交通省「子育てグリーン住宅支援事業について」を参考に作成しています。
目次
1.2025年の「子育てグリーン住宅支援事業」とは
子育てグリーン住宅支援とは、「子育て世帯」や「若者夫婦世帯」を中心とした全世帯が、高い省エネ性能を備えた「注文住宅」「分譲住宅」「賃貸住宅」を新築する場合や、「リフォーム工事」を行う場合に利用できる補助金制度です。
実施の背景には、2050年カーボンニュートラルの実現目標があり、主には以下のような目的があります。
子育てグリーン住宅支援事業の主な目的
- エネルギー価格など物価高騰の影響を受けやすい「子育て世帯」や「若者夫婦世帯」を中心に「ZEH水準を大きく上回る省エネ住宅」の導入を支援する
- 2030年度までの「新築住宅のZEH基準の水準の省エネルギー性能確保」の義務化に向けて支援する
なお、ここでいう「子育て世帯」と「若者夫婦世帯」の定義は以下のとおりです。
子育て世帯 | 申請時点において、18歳未満の子を有する世帯 |
---|---|
若者夫婦世帯 | 申請時点において、夫婦のいずれかが39歳以下の世帯 |
2024年度の「子育てエコホーム支援事業」と異なるのは、住宅の条件によっては住宅の新築であっても、全世帯が対象となることです。
対象世帯 | 対象住宅 | 補助額 |
---|---|---|
すべての世帯 | GX志向型住宅 | 160万円/戸 |
子育て世帯 若者夫婦世帯 | 長期優良住宅 ZEH水準住宅 | 40万~100万円/戸 |
その住宅の条件とは、ずばり「GX志向型住宅(グリーントランスフォーメーション)」。
GX志向型住宅とは
下記の(1)、(2)及び(3)に適合するもの
- 断熱等性能等級「6以上」
- 再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率「35%以上」
- 再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率「100%以上」※
※寒冷地等に限っては75%以上(Nearly ZEH)も可。 都市部狭小地等の場合に限っては再生可能エネルギー未導入(ZEH Oriented)も可。 共同住宅は、別途階数ごとに設定する。
聞き慣れない言葉ですが、要するに、ZEH水準を大きく上回る省エネ性能を持った「脱炭素志向住宅」のことを指します。
条件としてはハードルが高いように感じますが、補助対象となれば、1戸につき160万円の補助が受けられるのは魅力的です。
省エネ性の高い住宅はランニングコストを抑えやすくなるため、これを機に「GX志向型住宅」の条件を満たす注文住宅を検討してみてはいかがでしょうか。
2.注文住宅・分譲住宅・賃貸住宅を新築した場合の概要
本事業では、「長期優良住宅」や「ZEH水準住宅」を子育て世帯や若者夫婦世帯が新築する場合には40万~100万円が、GX志向型住宅を新築する際には160万円(全世帯対象)が補助されます。
詳しい条件は以下のとおりです。
対象者 | 全世帯あるいは「子育て世帯」「若者夫婦世帯」 |
---|---|
対象住宅と補助金額 | 以下の注文住宅・分譲住宅・賃貸住宅 【GX志向型住宅】 160万円/戸 【長期優良住宅】 ●住宅の新築に合わせ、これまで居住していた建築主及び親族が所有する住宅を除却する場合 100万円/戸 ●上記以外の場合 80万円/戸 【ZEH水準住宅】 ●住宅の新築に合わせ、これまで居住していた建築主及び親族が所有する住宅を除却する場合 60万円/戸 ●上記以外の場合 40万円/戸 |
要件 | 【全体】 延床面積50平米以上240平米以下 【長期優良住宅】 (a)長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられており、地方公共団体にて認定を受けること (b)断熱等性能等級「5以上」かつ再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量の削減率「20%以上」に適合すること (c)賃貸住宅の場合、子育て世帯等に配慮した安全性・防犯性を高めるための技術基準に適合すること 【ZEH水準住宅】 上記(b)(c)同様 |
申請期間 | 未定 |
申請方法 | 未定 ※「子育てエコホーム支援事業」の時は、建築主が申請することはできず、支援事業者が代行 |
※分譲住宅・賃貸住宅については特則あり(詳細は3章)
いずれの場合も、2024年(令和6年11月22日)以降に、基礎工事より後の工程の工事をしたものに限ります。
ちなみに、2024年度「子育てエコホーム支援事業」と比べると、本事業の補助金額は以下のように引き下げられています。
住宅種類 | 2024年度 | 2025年度 |
---|---|---|
長期優良住宅 | 100万円/戸 | 80万円/戸 |
ZEH水準住宅 | 80万円/戸 | 40万円/戸 |
これは、「GX志向型住宅」という住宅の分類が追加されたことによる変更です。
高い性能の家に高い補助金額が設定されることは当然ですが、これから家を建てる方で「長期優良住宅」や「ZEH水準住宅」の検討を進めていた方にとっては、補助金額が減額される可能性もあり、注意が必要です。
今後、さらなる引き下げが起こる前に、本格的なプランニングを進めたほうが得策かもしれません。
なお、本事業を利用するには、事業登録をしている建築依頼先(ハウスメーカーや工務店)を探す必要があります。
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「長期優良住宅」や「ZEH」に関する情報整理には、下記の記事もおすすめです。
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3.分譲住宅・賃貸住宅の新築に関する特則
2章では住宅の新築に関する要件や補助金額について解説しましたが、中でも「分譲住宅」「賃貸住宅」の新築には特則があります。
分譲住宅・賃貸住宅の特則
- 分譲住宅:住宅購入者が決定していない時点でも事前登録が可能
- 賃貸住宅:長期優良住宅またはZEH水準住宅の追加ルールは3つ
どのような内容なのか、要点に絞ってみてみましょう。
3-1.分譲住宅:住宅購入者が決定していない時点でも事前登録が可能
分譲住宅を新築する場合、購入者が決定していなくても事前に登録しておくことができます。
ただし、事前登録は以下の範囲内で行う必要があります。
事前登録の範囲
- 各事業者における1か月あたりの登録戸数の上限
- 共同住宅の場合、各住棟における対象住宅戸数に応じた登録戸数の上限
共同住宅の場合、事前登録のあとに登録戸数を超える住宅購入者が決定した際には、追加の交付申請を行うことも可能です。
3-2.賃貸住宅:長期優良住宅またはZEH水準住宅の追加ルールは3つ
賃貸住宅を新築する場合、長期優良住宅・ZEH水準住宅に限っては、以下のようなルールが追加されます。
申請できる戸数上限 | 以下に該当する戸数の50%
|
---|---|
新築時最初の入居募集の対象 | 3か月間は子育て世帯等に限定 ※期間中に入居者を確保できない場合、その他世帯の入居も可 |
家賃設定 | 補助金額を勘案した優遇家賃に設定(子育て世帯になどに配慮) |
一般の方で分譲住宅を建てることは稀かもしれませんが、近年では資産運用のためにマイホームに「賃貸併用住宅」を検討する方も多いです。
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家づくりのとびらコラム
GX志向型住宅なら蓄電池の補助金と併用も可能!
ただし、すべての補助金制度が併用できるわけではないので注意が必要です。
併用可能な蓄電池に関する補助事業の詳細は未定ですが、DR※に活用可能な家庭用等蓄電システムの導入が要件の1つとなる見込みです。。※DRとは…ディマンド・リスポンスの略。電力需要を制御することで電力需給バランスを調整すること。
ちなみに、太陽光発電および蓄電池を住宅に設置する際には、以下のようなメリットがあります。
- 電気代を節約できる
- 売電収入が得られる
- 災害に備えられる
- 地球にやさしい
もちろん注意点もあるので、検討する際には「太陽光発電」などの記事で情報を集めておきましょう。
参考:国土交通省「住宅省エネキャンペーンにおける3省連携(新築・リフォーム)」
4.リフォーム工事を行う場合の概要
住宅の所有者が、本事業の要件を満たしたリフォーム工事を行う場合、リフォーム内容に応じて、1戸につき上限40万~60万円の補助を受けることができます。
詳しい条件は以下のとおりです。
対象者 | 未定 |
---|---|
対象リフォームと補助金額 |
●上記3つすべて実施 |
申請期間 | 未定 |
申請方法 | 未定 ※「子育てエコホーム支援事業」の時は、建築主が申請することはできず、支援事業者が代行 |
*1 ZEH水準相当の省エネ性能以上改修工事に限る
リフォーム工事の対象住宅には、賃貸住宅や買取再販事業者が扱う住宅も含まれます。
ちなみに、併用できる支援事業には以下のようなものがあります。
併用できる支援事業例
リフォームを検討している方は、詳細な発表を気にかけておきましょう。
なお、リフォームと「建て替え」、どちらがよいか悩んでいる方は下記の記事も参考にしてください。
5.子育てグリーン住宅支援事業の注意点
子育てグリーン住宅支援事業に申し込むときは、以下の点に注意が必要です。
子育てグリーン住宅支援事業の注意点
- すべての補助金制度と併用できるわけではない
- 交付申請手続きに手数料がかかる可能性がある
- 店舗併用住宅は適用対象外になる可能性がある
- 二世帯住宅の新築の場合、親世帯は適用対象外となる可能性がある
上記は、2024年度「子育てエコホーム支援事業」で実際に採用されている要件です。
本事業においては可能性にとどまっていますが、後継事業ということもあり、大きく方針が変わることはないでしょう。
特に注意すべきは、「すべての補助金制度と併用できるわけではない」という点です。
2024年度「子育てエコホーム支援事業」の際には、「東京ゼロエミ住宅の助成制度」のような、地方自治体が行う補助制度の併用は可能でしたが、国費を使う補助制度は併用できませんでした。
家づくりに関する税制の優遇や補助金は多くあり、「自分の場合はどの制度の活用ができるのか」「どの制度を併用すれば一番得なのか」といった疑問を抱くこともあるでしょう。
注文住宅の補助金や税金の仕組みは複雑のため、自分一人で抱え込むのではなく、時には家づくりの無料サポートを活用しながら、効率的に家づくりを進めてくださいね。
補助金・助成金・税金優遇(減税)制度について知りたい方は、下記の記事もご覧ください。
6.子育てグリーン住宅支援事業でおすすめのハウスメーカーは?
最後に、子育てグリーン住宅支援事業の利用を検討する際に、押さえておきたいハウスメーカーを3社解説します。
2024年度の子育てエコホーム支援事業では、一条工務店などが事業登録を行っていました。
2025年度の情報はまだ発表されていませんが、GX志向型住宅に力を入れているハウスメーカーであれば登録される可能性が高いでしょう。
子育てグリーン住宅支援事業でおすすめのハウスメーカー
- 一条工務店
- セキスイハイム
- ミサワホーム
- ダイワハウス
※事業登録をするかどうかは定かではありません
以下より1社ずつ特徴を見ていきましょう。
6-1.一条工務店
一条工務店では、GX志向型住宅に関する相談会を一部地域で開催中です。
2021年度省エネ大賞「経済産業大臣賞」を受賞しており、一般的な「高気密・高断熱住宅」よりも冷暖房費を1/6に軽減※する住宅を提案しています。※メーカー調べ
出典:一条工務店 公式HP
6-2.セキスイハイム
セキスイハイムは、省エネ性能に優れた住宅を得意とするハウスメーカーです。
セキスイハイムが対応する省エネ設備例
- 太陽光発電
- 電気自動車を活用した蓄電池
- IoTを活用した家電のコントロールシステム
上記のような先進的省エネ設備を揃えているため、本事業の利用とともに、蓄電池の補助金併用も検討したい方は、ぜひ押さえておきたいハウスメーカーといえます。
出典:セキスイハイム 公式HP
6-3.ミサワホーム
ミサワホームは、国が定める断熱等性能等級の最高ランク7に早くから対応したハウスメーカーです。
断熱性能に定評があるため、「GX志向型住宅」の条件のほか、性能以外の面におけるオーナーの要望も反映しつつ、満足度の高いプランを提案してくれそうです。
出典:ミサワホーム 公式HP
6-4.ダイワハウス
ダイワハウスを運営する大和ハウスグループでは、国が目標として掲げる2050年の温室効果ガス排出量の実質ゼロ「カーボンニュートラルの実現」(参考:環境省「2050年カーボンニュートラルの実現に向けて」)に向けて、積極的な取り組みを行っています。
注文住宅分野においては、2010年に住宅業界初のZEHを実現。
標準仕様でZEH基準相当に対応する住宅商品のほか、ZEH-M基準相当に対応する賃貸住宅やマンションの建築プランも用意しています。
出典:ダイワハウス 公式HP
以上が、子育てグリーン住宅支援事業を利用する際に、押さえておきたいハウスメーカーです。
ただし、いずれも事業登録をするかどうかは定かではありません。
今後の発表を待ちつつ、事業登録企業がわかった際にすぐ動けるよう、情報だけは集めておきましょう。
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まとめ
2025年に実施される「子育てグリーン住宅支援事業」は、2024年度の「子育てエコホーム支援事業」からいくつかの変更点があります。
大きな変更点としては、「GX志向型住宅」という分類が新設されたこと、補助金額が変更されたこと、そして対象となる住宅の条件が変わったことなどが挙げられます。
なお、新築住宅における補助額は
- GX志向型住宅:160万円/戸
- 長期優良住宅:80万~100万円/戸
- ZEH水準住宅:40万~60万円/戸
となっており、長期優良住宅とZEH水準住宅においては前年度よりも引き下げられています。
「GX志向型住宅」においては、「子育て世帯」「若者夫婦世帯」だけでなく全世帯が対象となるものの、長期優良住宅やZEHを検討中の方は、これ以上引き下げられないうちにプランニングを進めておくことをおすすめします。
2024年12月現在では、補助金の申請期間や申請方法などの詳細が未公表なので、今後の発表を待ちながら、本事業を利用できそうなハウスメーカーを探しておきましょう。
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この記事の編集者
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