- 変更日:
- 2024.08.21
賃貸用住宅とは、賃貸物件とマイホームとを併用した住宅のことです。
家賃収入を住宅ローンにあてられたり、土地を有効活用できたりといったメリットがありますが、一方で「やめとけ」と囁かれる一面もあるようです。
そこでこの記事では、賃貸用住宅について以下の点を紹介します。
この記事でわかること
- 賃貸併用住宅の初期費用
- 賃貸併用住宅のメリット、デメリット
- 賃貸併用住宅でよくある失敗例
ぜひ最後までご覧いただき、賃貸併用住宅を建てる際の参考にしてください。
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注文住宅の住宅商品について比較方法や選び方を知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
目次
1.賃貸併用住宅とは?
冒頭でもお伝えしたとおり、賃貸併用住宅とは、自宅部分と賃貸部分とを併せ持つ住宅のことです。
プランのパターンとしては、土地の広さや形状、オーナーの希望によりいくつかのパターンが考えられます。
賃貸併用住宅のプラン一例
- 建物の1階部分を自宅にする
- マンションとして建て、その一室を自宅として使用する
「自宅兼アパート」や「賃貸付き住宅」とも呼ばれ、マイホームをもちながら不動産収入が得られるという特徴があります。
検討するにあたっては、まず以下の点を押さえておきましょう。
この章でわかる賃貸併用住宅の概要
- 賃貸併用住宅が適しているパターン
- 賃貸併用住宅の初期費用
- 賃貸併用住宅のランニングコスト
以下より1つずつ解説します。
1-1.賃貸併用住宅が適しているパターン
賃貸併用住宅が適しているのは、以下のようなパターンに当てはまる方です。
賃貸併用住宅が適しているパターン一例
- マイホームに住みながら収入を得たい
- 相続税対策がしたい
- 利便性が高く広い土地を所有している
前述したように、賃貸併用住宅では自宅に住みながら不動産収入が得られます。
不動産は現金より評価額が低く、相続税対策につながる点も大きな特徴です。
また、広く利便性が高い土地を所有している方も賃貸併用住宅の建設に適しています。
駅から近く、生活に必要な施設があれば安定した経営が期待できるからです。
駅から離れている場合も、広い土地があればじゅうぶんな駐車スペースを確保できます。
1-2.賃貸併用住宅の初期費用
賃貸併用住宅の初期費用は、一般住宅より高くなるのが一般的です。
水回りの設備などを複数設置するぶん、坪単価が上がる傾向にあります。
また、建築時は本体工事費に加え、付帯工事費や諸費用が必要です。
具体的な費用項目や相場はハウスメーカーや構造により異なります。
以下では、坪単価80万円の賃貸併用住宅を建てる場合の費用例をシミュレーションしてみましょう。
住宅の条件
- 坪単価:80万円
- 延床面積:90坪
- 構造・階数:軽量鉄骨造・3階建て(オーナー自宅3階部分)
費用項目 | 計算方法 | 費用目安 |
---|---|---|
本体工事費 | 80万円×90坪 | 7,200万円 |
付帯工事費(本体工事費の2割) | 7,200万円×20% | 1,440万円 |
諸費用(本体工事費の1割) | 7,200万円×10% | 720万円 |
合計 | ― | 9,360万円 |
もちろん、土地をまだ所有していない場合は、上記に加え「土地購入費」も必要となります。
1-3.賃貸併用住宅のランニングコスト
賃貸併用住宅のランニングコストには、「固定資産税」や「修繕費」「管理費」などが挙げられます。
また、「火災保険」をはじめとする「損害保険料」も必要です。
賃貸併用住宅のランニングコスト項目一例
- 固定資産税
- 修繕費
- 管理費
- 損害保険料
- 不動産取得税
- 住民税
住宅ローンを利用した場合は、月々のローン返済も考慮する必要があります。
賃貸併用住宅の利回りはこれらのランニングコストに初期費用を加味し、家賃収入などと照らし合わせながら試算してください。
現実的な資金計画を立てるためには、まず自分の予算・要望に合った住宅プランを立ててくれるハウスメーカー・工務店を見つけることが大事です。
「ハウスメーカー比較の時間がとれない」
「自分に合ったハウスメーカーに目星を付けておきたい」
と感じたら、無料のHOME4U 家づくりのとびら プラン作成依頼サービスでハウスメーカー・工務店の数を絞り込んでおきましょう。
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2.賃貸併用住宅の4つのデメリットや注意点
賃貸併用住宅は、家賃収入や土地の有効活用が期待できる一方で「やめとけ」といわれる一面があります。
その理由として挙げられるのが、以下のようなデメリットや注意点です。
賃貸併用住宅のデメリットや注意点
- 自宅を設計する際に制約が生じる
- 空室リスクがある
- 将来的に売却が難しい
- 賃貸管理の手間を要する
賃貸併用住宅経営を成功させるためにも、あらかじめデメリットや注意点について確認しておきましょう。
2-1.自宅を設計する際に制約が生じる
賃貸併用住宅は、収益性を考慮するほど自宅の設計に制約が生じやすい一面があります。
出入り口の場所や窓の位置、間取りなどマイホーム同様の自由な設計は難しいケースが多いでしょう。
特に、住宅ローンを利用して賃貸併用住宅を建てる場合は、建物全体の50%以上を自宅部分として確保する必要があります。
有利な金利でローンを組める一方、自宅部分と賃貸部分とのバランスのとりづらさはデメリットの1つです。
2-2.空室リスクがある
賃貸住宅経営で考慮したいのが空室のリスクです。
特に、利便性の悪い立地では空室リスクが高まります。
建築前は周辺エリアの賃貸動向をしっかりと調査し、賃貸需要について把握することが大切です。
エリアの状況に応じ、入居者の求める設備、仕様を取り入れると空室リスクを抑えやすくなるでしょう。
2-3.将来的に売却が難しい
賃貸併用住宅は、一般的な住宅に比べ売却しづらい傾向にあります。
需要が少なく、入居者がいる間は取り壊しが困難な一面もあるでしょう。
将来的に売却を考えているのであれば、設計時に間取りや価格帯を考慮する必要があります。
オーナーと入居者が顔を合わせにくく、騒音トラブルの起きにくい間取りなどを意識してみてください。
賃貸併用住宅を希望する人に向け、賃貸部分の収益性をしっかりと確保しておくことが大切です。
2-4.賃貸管理の手間を要する
賃貸併用住宅の管理業務は多岐にわたります。
家賃の入金確認やクレーム対応、更新手続きなど一定の手間を要するものです。
戸数が少ない賃貸併用住宅の場合、自分で管理する「自主管理」を選択するオーナーもいますが、本業が別にある場合は管理業務が負担になってしまうため注意が必要です。
ただし、これらの業務は、専門業者への委託が可能です。
管理費用が別途必要になるものの、デメリットを解消する1つの選択肢になり得ます。
3.賃貸併用住宅5つのメリット
「やめとけ」と言われることもある賃貸併用住宅は、一方で以下のようなメリットが期待できます。
賃貸併用住宅5つのメリット
- 収益を住宅ローン返済にあてられる
- 節税効果が期待できる
- 住宅ローンを利用した賃貸経営が可能
- ライフステージの変化に対応しやすい
- 自宅を個別に建てるより支出が抑えられる
家賃収入が得られる点は、賃貸併用住宅の大きなメリットです。
ライフステージの変化なども見据えながら建築を検討してみてください。
3-1.収益を住宅ローン返済にあてられる
賃貸併用住宅は一般住宅と違い、建設後に家賃収入が得られます。
場合によってはローンの支払いを家賃収入でカバーできることもあるでしょう。
また賃貸住宅経営が軌道に乗れば、ローンの返済後も副収入が得られます。
リタイア後の生活にゆとりが生まれる点は、賃貸併用住宅の大きなメリットといえるでしょう。
3-2.節税効果が期待できる
賃貸併用住宅は、固定資産税の軽減措置が受けられます。
例えば、1戸あたり200平米以内の評価額は6分の1、200平米を超える部分の評価額は3分の1です。
さらに、一定の条件に該当する場合は「小規模宅地等の特例」の適用となり、最大330平米まで評価額が80%減額されます。(参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」 )
相続税の評価に関しては自宅よりも賃貸のほうが低く、相続税負担の軽減が可能です。
3-3.住宅ローンを利用した賃貸経営が可能
一般的に、賃貸物件を建設する際に利用するローンは「アパートローン」に該当します。
自宅の役割も担う賃貸併用住宅の場合、自宅部分が50%を有すれば住宅ローンの利用が可能です。
住宅ローンのメリットは、アパートローンよりも金利が低い点にあります。
金利が低い住宅ローンであれば、月々の返済額を抑えた賃貸経営が可能です。
また、借入から最大13年間、毎年住宅ローンの年末残高の0.7%を還付として受け取れる、住宅ローン控除も適用されます。
3-4.ライフステージの変化に対応しやすい
賃貸併用住宅は、増築や改築をすることなくライフスタイルの変化に対応できます。
ライフスタイルの変化への対応例
- 空室があれば二世帯住宅としての利用可能
- 賃貸部分がワンルームタイプであれば、子どもの勉強部屋として一時的に利用可能
家づくりを検討しており、将来的に「二世帯で住む」「子供が増える」といった可能性がある方にとって、メリットのある選択肢といえるでしょう。
3-5.自宅を個別に建てるより支出が抑えられる
ひとつの建物内に自宅と賃貸とのスペースを併せ持つ賃貸併用住宅は、それぞれを別々に建てるより支出が抑えられます。
一般的な2棟の建物に比べ、屋根面積や基礎面積が少なくなるからです。
将来的に賃貸経営を検討しているのであれば、賃貸併用住宅の建築は大きなメリットが期待できます。
前述したデメリットをふまえつつ検討してみてください。
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4.賃貸併用住宅における住宅ローンの活用方法
賃貸併用住宅では、アパートローンよりお得な「住宅ローン」が利用できると先述しました。
ただし、そのためには自宅部分を5割以上設けなければいけません。
住宅ローンのメリットを活かしつつ収益性を上げるのであれば、設計や工法を検討する必要があります。
例えば、2階建ての建物を横方向に分割した場合、1階または2階どちらかを自宅として利用することになります。
重量鉄骨の工法が得意なハウスメーカーであれば、1階の広々とした自宅スペースはそのままに、2階を数戸のワンルームにする間取りが可能です。
また、2階建ての建物を縦方向に分割した場合は、メゾネットタイプの賃貸にするのか、1階と2階でそれぞれ部屋を設けるのかという選択肢が生まれます。
ハウスメーカーにより、得意とする工法、設計はさまざまです。
利用面積が限られている賃貸併用住宅こそ、早めにハウスメーカーと相談し、スペースを最大限活かした設計を検討しましょう。
5.賃貸併用住宅は危険?よくある失敗例
賃貸併用住宅が「やめとけ」と言われるのには、いくつかの失敗例が存在するからでしょう。
ここでは、賃貸併用住宅でよくある失敗例についてご紹介します。
賃貸併用住宅でよくある失敗例
- 入居者トラブルが発生した
- 思うような収益が得られなかった
- 居住スペースが狭くなってしまった
建築を検討している方は、以下よりそれぞれの対策も確認し、今後の参考にしてください。
5-1.入居者トラブルが発生した
入居者トラブルには、以下のようなものが挙げられます。
入居者トラブル一例
- 家賃滞納
- 騒音問題
- 無断でのペット飼育
入居者との距離が近い賃貸併用住宅では、オーナーとしての対応も求められがちです。
管理業務を専門業者に委託していても、直接苦情を言われるケースもあるでしょう。
入居者トラブルを防ぐためには、居住時の禁止事項を明確にしておくことが大切です。
入居前の厳密な審査もトラブル回避へとつながります。
5-2.思うような収益が得られなかった
当然のことながら、賃貸物件に入居者が集まらなければ収益は得られません。
空き室が出やすい賃貸併用住宅の一例
- 単身者が多いエリアにファミリー向けの物件を建てた
- そもそも需要のない立地だった
特に、ファミリータイプの物件は家賃が高く、入居者が集まりにくい傾向にあります。
戸数を確保しづらいぶん、空室リスクが大きい点も注意が必要です。
安定した収益を確保するためには、単身向けのワンルームを中心に戸数を増やすなどの対策が求められます。
事前に土地の需要を把握したうえで綿密な計画を立てていきましょう。
5-3.居住スペースが狭くなってしまった
住宅ローンを利用しない場合、自宅部分は全体の5割以下の面積で設計できます。
賃貸部分が広くなり、収益性が上がる点はメリットの1つです。
一方で、居住スペースが狭くなり快適性が得られないという失敗も考えられます。
特に、家族と暮らす際は注意が必要です。
先述したように、賃貸併用住宅は売却が難しい傾向にあります。
家族が増えても問題ないよう、早めにハウスメーカーと相談し、将来を見据えた設計を検討しましょう。
6.賃貸併用住宅で失敗しないためのポイント
賃貸併用住宅で失敗しないためには、先述したような土地の需要にあわせた間取りに加え、以下のポイントを押さえる必要があります。
賃貸併用住宅で失敗しないためのポイント
- 収支をシミュレーションしておく
- 賃貸併用住宅に詳しい不動産会社を選ぶ
賃貸併用住宅は、一般的なマイホーム建設と違い空室リスクが伴います。
建築前はランニングコストも含め、収支をシミュレーションしておきましょう。
収支を正確に把握するためには、賃貸併用住宅に詳しいハウスメーカー・工務店を選ぶことも大切です。
ハウスメーカー・工務店は複数社を比較検討したうえで決定してください。
プランニングの段階からしっかりと相談でき、アフターフォローも行き届いた不動産会社を選ぶことが賃貸併用住宅建設の成功へとつながります。
まとめ
賃貸併用住宅は、マイホームで暮らしながら賃貸経営の収入が得られる建物です。
住宅ローンを利用すれば、アパートローンより低い金利で賃貸経営ができます。
注意したいのは、自宅を設計する際に制約が生じたり、空室リスクが伴ったりする点です。
将来的な売却が難しく、管理の手間を要する可能性もあります。
賃貸併用住宅を建てる際はメリットとデメリットをしっかりと理解したうえで収支をシミュレーションし、賃貸併用住宅の新築に詳しいハウスメーカー・工務店に早めに相談することが大事です。
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