- 変更日:
- 2024.08.14
1年中快適に過ごせるマイホームを実現したい方には、高気密・高断熱な住宅を建てるのがおすすめです。マイホームを高気密高断熱住宅にして後悔しないためには、メリットだけではなくデメリットを理解する必要があります。また、ハウスメーカー選びにこだわることも大切です。
この記事では、高気密高断熱住宅について以下の内容を解説します。
この記事でわかること
- 高気密高断熱住宅のメリット・デメリット
- 高気密高断熱住宅を建てる際のハウスメーカーの選び方
- 高気密高断熱住宅をさらに快適にするポイント
注文住宅の建築を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
大手ハウスメーカーの特徴を一覧表で比較したい方は、こちらの記事もご覧ください。
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目次
1.高気密高断熱の住宅とは?
高気密高断熱住宅は、気密性と断熱性を高めて1年中快適に過ごせるように工夫された住宅のことです。
高気密とは、隙間がなくて気密性が高いことを指します。また、高断熱とは家の中の温度が外気に左右されず、熱が外に逃げにくいことです。
1-1.高気密高断熱住宅で用いられる工法
高気密高断熱住宅で用いられる工法には、主に以下の4つがあります。
気密性を高める工法 | シート気密工法 | 壁の内側に防湿シートを貼り、壁の内側で気密を確保する工法 窓の周囲やコンセント部分などの施工が難しく、難易度が高い |
---|---|---|
ボード気密工法 | 隙間を気密テープで埋めた板材で住宅を覆い、壁の外側で気密を確保する工法 | |
断熱性を高める工法 | 内断熱 | 外壁と室内の壁の間、天井の上、床下などに断熱材を敷く工法 |
外断熱 | 構造材の外側を断熱材で覆う工法 |
1-2.高気密高断熱住宅で用いられる断熱材の種類
断熱材には、大きく以下の3つの種類があります。
種類 | 概要 | 例 |
---|---|---|
繊維系 | ガラスを繊維状にし、繊維の隙間に空気を閉じ込めた断熱材 グラスウールのような無機系と、セルロースファイバーのような木質繊維系に分けられる | グラスウール |
発泡プラスチック系 | 発泡プラスチックの気泡の中に空気を閉じ込めた断熱材 | 押出発泡ポリスチレン |
天然素材系 | 自然素材を利用した断熱材 | 羊毛 |
1-3.高気密高断熱住宅の坪単価目安
高気密高断熱住宅の坪単価は、43〜75万円ほどが目安です。
もちろん、上記はあくまでも目安であり、ハイグレードな断熱材を使用する場合やオプションをつける場合は、さらに単価が高くなる可能性があります。また、大手のハウスメーカーに依頼する場合は、坪単価が100万円近くになる可能性もあります。
2.高気密高断熱住宅の基準
実は、高気密高断熱住宅と認められるために統一された基準があるわけではありません。ハウスメーカー独自の定義で、高気密高断熱住宅を謳っているのが現状です。
しかし、気密性と断熱性についてはそれぞれ指標があります。指標の意味や基準値などを理解することで、ハウスメーカーが提示する住宅が本当に高気密高断熱住宅であるかを判断できるようになります。
以下では、断熱性の指標であるUA値と気密性の指標であるC値について見ていきましょう。
2-1.断熱性の指標であるUA値
UA値(外皮平均熱貫流率)とは、住宅から外部へ逃げる熱量を外皮全体で平均した値のことです。
UA値が低いほど、熱が逃げにくく断熱性能が高いことがわかります。
2-1-1.省エネ住宅におけるUA値の基準
国土交通省が定める省エネ基準では、UA値(外皮平均熱貫流率)の基準が地域によって細かく定められています。地域ごとの基準は以下のとおりです。
地域区分 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
UA値基準 | 0.46 | 0.46 | 0.56 | 0.75 | 0.87 | 0.87 | 0.87 | – |
東京の場合は地域区分5に該当するため、UA値の基準は0.87以下です。
参照元:国土交通省「 【参考】住宅における外皮性能」
2-1-2.ZEH住宅におけるUA値の基準
UA値をチェックする際は、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)住宅の基準も参考になります。ZEH住宅の基準の中に、UA値の基準が以下のように設定されているためです。
地域区分 | 1・2 | 3 | 4〜7 |
---|---|---|---|
UA値基準 | 0.4 | 0.5 | 0.6 |
参照元: ZEHの定義(改定版)<戸建住宅>
ZEH住宅と認められるためのUA値の基準は、国土交通省の省エネ基準よりも厳しく定められています。
2-2.気密性の指標であるC値
C値は、住宅における相当隙間面積のことです。C値が小さいほど隙間面積が狭いため、気密性が高いと判断できます。
C値については、UA値のように国の基準が定められているわけではありません。以前は.省エネ住宅におけるC値の基準が設定されていましたが、「住宅に係るエネルギーの合理化に関する建築主の判断の基準」の改訂により削除されました。
ここまで、高気密高断熱住宅の詳細や基準について解説しました。
マイホームの検討を進めるにあたり、高気密高断熱の住宅を検討されている方は、依頼するハウスメーカー・工務店の品質や取り組みを比較検討、住宅のプロに相談してみることが後悔しない大切なポイントです。その上で、まず家づくりのとびらを活用してみることをおすすめします。
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3.高気密高断熱住宅のメリット
高気密高断熱住宅を選ぶメリットは以下のとおりです。
- 1年中快適な室温を保てる
- 電気代の節約につながる
- ヒートショックを防げる
- 防音性が高い
それぞれのメリットについて解説します。
3-1.1年中快適な室温を保てる
高気密高断熱住宅なら、1年中快適な室温を保てます。外気が侵入することを防ぎ、室内の空気を外に逃さないためです。
冷暖房が外に逃げることもないため冷暖房の効きもよく、夏は涼しく冬は暖かく過ごせるでしょう。
3-2.電気代の節約につながる
高気密高断熱住宅は冷暖房効率がよいため、電気代の節約にもつながります。お財布にやさしいだけではなく、省エネにつながるため地球環境にもやさしいのが魅力です。
3-3.ヒートショックを防げる
高気密高断熱住宅は、ヒートショックを防ぎやすいというメリットもあります。
ヒートショックとは、温度差によって血圧が乱高下し、心臓や血管に負担をかけてしまうことです。心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こし、命を落としてしまうリスクも否定できません。冬場に高齢の方が発症するケースが多く、暖かい浴室と寒い脱衣所の温度差が特に危険とされています。
外気温の影響を受けにくい高気密高断熱住宅なら、住宅内全体の温度を一定に保ち、部屋ごとの温度差を小さくできます。そのため、ヒートショックのリスクを軽減できるのがポイントです。
3-4.防音性が高い
高気密高断熱住宅は、防音性が高いのも魅力です。
気密性が高いため、隙間から室内の音が外に漏れにくく、外の音が侵入することも防げます。また、断熱材には音を吸収し、室内の音漏れを防ぐ効果もあります。
小さな子どもやペットがいる家庭や、住宅が大通りや繁華街に面している場合でも、音を気にせず安心して生活できるでしょう。
4.高気密高断熱住宅のデメリット
一方、高気密高断熱住宅には以下のようなデメリットがあります。
- 建設費用が高くなる
- 乾燥しやすい
- 内部結露対策が必要
高気密高断熱住宅を選んで後悔しないためには、メリットだけではなくデメリットも理解し、慎重に検討することが大切です。
4-1.建設費用が高くなる
高気密高断熱住宅は、建設費用が高くなる傾向にあります。断熱材の材料費や、気密性や断熱性を高めるために技術力が必要であるためです。一般的な注文住宅に比べると、坪単価が3〜5万円程度高くなる可能性が高いです。
しかし、高気密高断熱住宅にすることで電気代の節約につながることを考えると、長い目で見てお得とも判断できます。
また、省エネ性能の高い住宅を建てる際は、補助金制度を利用できる場合があります。
4-2.乾燥しやすい
高気密高断熱住宅は、空気が乾燥しやすいのがデメリットです。
空気が温まると、相対湿度(ある温度の空気中に含まれうる最大の水分量に対し、どの程度の水分が含まれているか)が低下します。高気密高断熱住宅は冬でも室内が暖かいため、乾燥を感じやすくなるという仕組みです。
また、そもそも冬は空気が乾燥しています。高気密高断熱住宅では、乾燥した空気が換気システムによって循環するため、全体的に乾燥しやすくなります。
高気密高断熱住宅で快適に生活するためには、乾燥対策が欠かせません。
4-3.内部結露対策が必要
高気密高断熱住宅では、内部結露対策も必要です。
内部結露とは、室内の暖かい空気が断熱材の隙間から壁の内部に侵入し、温度が低下して結露になってしまうことです。
内部結露を放置すると、断熱材や木材などが腐ってしまいます。また、室内にカビが発生しやすくなり、健康被害をもたらすリスクもあります。
内部結露対策では、断熱材を隙間なく設置できる技術力の高いハウスメーカーに依頼することが大切です。また、耐水性が高く結露に強い断熱材を使用するという方法もあります。
ここまで、高気密高断熱住宅のメリットとデメリットをご紹介しました。事前に情報を集めたうえで、計画的にマイホームづくりにとりかかることで、後悔のない理想の間取り設計に繋げられるでしょう。
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5.高気密高断熱住宅で後悔しない!ハウスメーカーの選び方
高気密高断熱住宅で後悔しないためには、ハウスメーカー選びが重要です。ここでは、高気密高断熱住宅の建築を依頼する際のハウスメーカーの選び方を紹介します。
- 断熱等性能等級が4以上のハウスメーカーを選ぶ
- 施工実績を確認する
- モデルハウスや見学会で効果を体験する
5-1.断熱等性能等級が4以上のハウスメーカーを選ぶ
高気密高断熱住宅にしたい場合は、断熱等性能等級が4以上のハウスメーカーを選びましょう。断熱等性能等級とは、住宅の省エネ性能を示す基準のことです。
戸建て住宅の場合、等級は7段階です。このうち、等級4は省エネ基準、等級5はZEH基準相当と言われます。断熱性を高めたい場合は、等級4以上の住宅を建てられるハウスメーカーに依頼しましょう。
参照元:国土交通省「 【参考】省エネ性能に係る上位等級の創設」
5-2.施工実績を確認する
ハウスメーカーに依頼する前に、施工実績を確認することも大切です。
断熱性能は、職人の技術力に左右されます。UA値やC値などはあくまでも設計値であり、実際に数値どおりの性能になるとは限りません。
高気密高断熱住宅の施工実績が豊富なハウスメーカーであれば、十分な技術力と経験を有していると判断できます。
また、実際にそのハウスメーカーで注文住宅を建てた人の口コミを調べることも大切です。
5-3.モデルハウスや見学会で効果を体験する
モデルハウスや見学会で、実際に気密性や断熱性を体験するのも1つの方法です。
高気密高断熱と謳われていても、実際には期待どおりの快適さを感じられない可能性があります。
百聞は一見に如かずと言われるように、実際に住宅の中に入って気密性や断熱性を確かめることが大切です。
より正確に性能を確かめるためには、真夏や真冬に見学を実施しましょう。
6.高気密高断熱住宅を建てる際のおすすめハウスメーカー3選
ここでは、高気密高断熱住宅を建てる際のおすすめハウスメーカーを3つ紹介します。
- スウェーデンハウス
- 一条工務店
- 三井ホーム
6-1.スウェーデンハウス
スウェーデンハウスは、日本の住宅メーカーに先駆けて「全棟高性能保証表示システム CQ+24 」をスタートさせたハウスメーカーです。これは、C値や断熱性能を表すQ値などを測定し、性能を表示したうえで引き渡す制度です。
壁や床の継ぎ目にも断熱材を入れ、継ぎ目の上から防湿気密フィルムで覆うことで気密性と断熱性を高めています。また、3層のガラス窓と木の枠で断熱性能を高めているのも特徴です。さらに、外壁パネルに充填される断熱材は、スウェーデンの現地工場における厳しい品質管理をクリアしています。
このような工夫により、気密性能と断熱性能の2022年全棟平均は以下のとおりでした。
- C値:0.64平方センチメートル(1平方メートルあたり)
- Q値:1.18ワット(1平方メートルケルビンあたり)
参照元:スウェーデンハウス「高断熱・高気密・計画換気」
6-2.一条工務店
一条工務店は、高い断熱性と省エネ性を実現する「外内ダブル断熱構法」を採用しています。
外内ダブル断熱構法とは、外壁だけではなく天井や床なども高性能な断熱材で覆い、高い断熱性能を発揮する工法です。また、外気温の影響を受けやすい開口部にも断熱性が高い住宅部材を採用することで、全体が魔法瓶で包まれているような住まいを実現しています。
実際、UA値の基準は1平方メートルケルビンあたり0.25ワットと、断熱等性能等級5をクリアしています。
なお、外内ダブル断熱構法を採用している商品は、グラン・スマートとアイ・スマートの2つです。
参照元:一条工務店「高断熱構造『外内ダブル断熱構法』」
6-3.三井ホーム
三井ホームは、高気密高断熱に強みがあるハウスメーカーです。
外壁の枠組に2×6材を使用することにより、従来の約1.6倍の厚さで断熱材を充填することに成功しました。さらに、独自のプレミアム・モノコック構法によって気密性と断熱性を高め、外気温の影響をほとんど受けない超高断熱化を実現しています。
また、壁内に多くの木材を使用し、木材が持つ調湿効果を活かしているのも特徴です。木材が湿度を調整してくれるため、高気密高断熱住宅の難点である乾燥しやすさや内部結露問題に対処できます。
参照元:三井ホーム「高断熱・高気密」
まとめ:高気密高断熱住宅を建てるならハウスメーカー選びが重要
高気密高断熱住宅は、その名のとおり気密性と断熱性が高く、1年中快適な室温を保てる住宅です。性能が高い分建設費用は高い傾向にありますが、省エネ効果が高く電気代を節約できます。夏や冬も過ごしやすい住宅を建てたい方は、高気密高断熱住宅を選んでみてはいかがでしょうか。
高気密高断熱住宅には統一された基準がないため、本当に性能の高い住宅を建てられるハウスメーカーを見極める必要があります。UA値やC値といった基準はもちろん、施工実績や口コミをチェックし、ハウスメーカーを慎重に選びましょう。実際にモデルハウスや見学会を訪れ、効果を実感することも大切です。
ぜひ本記事をご参考にしていただき、理想のマイホームを叶えてくださいね。
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