【簡単解説】注文住宅の平均坪単価は約71万円|様々な角度から坪単価を比較して解説

2023年度における、「住宅建築に併せて土地も購入される場合」の建築費の平均坪単価は、全国平均で約71万円でした。
この記事を読むことで、注文住宅の建築の坪単価について基礎的な考え方がわかり、周囲と比べて幾らくらいの坪単価であれば適切かを判断できるようになります。

この記事では、注文住宅の坪単価ついて以下の内容を解説します。

この記事でわかること

  • 坪単価の計算方法
  • 坪単価ごとの「家の造り」の違い
  • 地域別・構造別に見る平均坪単価
  • 大手ハウスメーカーと工務店の坪単価目安やメリ・デメ
  • 坪単価を安く抑える3つのコツ

ハウスメーカー別の坪単価を確認したい方は下記関連記事をご覧ください。

坪単価ではなく、注文住宅の費用相場全般を把握したい方は下記関連記事をご覧ください。

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1.注文住宅の坪単価とは?

坪単価とは、床面積1坪(約3.3㎡)当たりの建築費がいくらになるか計算したものです。

下記の計算式で求められます。

家の本体価格÷延床面積(建物の床面積の合計)
=坪単価

例えば、家の本体価格(建築費)が2,000万円、延床面積が40坪の場合は、「2,000万円÷40坪=坪単価 50万円」と求められます。

ただし、ハウスメーカー・工務店によって「延床面積」ではなく「施工面積」で坪単価を出しているところもあります。
坪単価を見るときは、計算の基準がどちらになるか、確認しておきましょう。

1-1.家の本体価格とは?

坪単価の計算に用いられる家の本体価格とは、建築費全体の約70~80%を占める価格のことです。
本体工事費とも呼ばれ、細かなオプションによって変動しない建物部分だけの価格を指します。

<図 建築費の内訳>

注文住宅の費用詳細については、下記記事をご覧ください。

1-2.坪単価で「家の造り」にどんな差がでるかの比較

地域差などがあるため、○○円なら坪単価が高い・安いという明確な基準はありませんが、一般的には

  • 50万円以下:安い
  • 50万~60万円台:平均的
  • 70万円以上:高い

とわけられます。

それに合わせて、坪単価に応じて「家の造り」は変わってきます。

【坪単価別 「家の造りの特徴」と「こんな人におすすめ」 比較表】
坪単価家の造りの特徴こんな人におすすめ
40万円
以内
  • 建売住宅と同程度のグレードの家になる
  • 既存のプランから選ぶケースが多い
  • 外観等、基本的にシンプルな家になる
  • コストを抑えたい人
  • あまりこだわりがない人
40万~
50万円
以内
  • 外観等、基本的にシンプルな家になる
  • 部分的にオプション仕様を選ぶことができる
  • コストを抑えたい人
  • 一部、オプション仕様を入れたい人
50万~
60万円台
  • 凹凸のあるデザイン等、好みの外観にできる
  • 床材・壁材等、グレードアップが可能になる
  • 外観・内装にこだわりたい人
70万~
80万円台
  • オリジナリティあふれる外観等、自由度が高い家づくりが可能になる
  • 設備のグレードアップが可能になる
  • 耐久性・断熱性の高い素材に変更できる
  • 外観・内装にこだわりたい人
  • 太陽光発電等、省エネ設備を取り入れたい人
80万円
以上
  • 全体的に、自由度が高い家づくりが可能になる
  • 中庭等、費用がかかる形状の家が可能になる
  • グレードの高い素材を選ぶことができ、選択肢の幅が広がる
  • 耐震性・断熱性の高い家になる
  • HEMS(ヘムス)の導入ができる
  • 理想の家づくりを実現させたい人
  • 太陽光発電等、省エネ設備を取り入れたい人
  • 初期費用が高くついても、将来的なメンテナンス費用を抑えたい人

坪単価が安い場合、ローコスト住宅と呼ばれるコストを抑えた家づくりを行います。
ローコスト住宅は自由度が低い傾向にありますが、一概に「坪単価が安い=悪い家」とは言えません。
メーカーごとの企業努力により、コストを抑えているケースが多いためです。

大手・中堅・ローコスト、それぞれのハウスメーカーごとの特徴を確認した上で、検討するとよいでしょう。

2.建築費の「平均坪単価」を様々な角度から比較

坪単価は、家を建てる地域や構造、依頼先(ハウスメーカー・工務店等)によって異なります。
まずここでは、2つの角度から平均坪単価を比較します。

  1. 地域別に見る平均坪単価
  2. 構造から見る平均坪単価

以下、それぞれ解説します。
依頼先による違いについては「3.大手ハウスメーカーと工務店、どっちがお得か比較」をご覧ください。

2-1.地域別に見る建築費の「平均坪単価」の比較

2023年度「フラット35」利用者調査に基づく、全国平均の坪単価は下記の通りです。

2023年度 建築費 全国平均坪単価

  • 土地購入なし:約74.9万円
  • 土地購入あり:約71.0万円

※建築費全体の70%を「家の本体価格」として算出し、平均坪単価を計算しています。

以下では、地域別の平均坪単価を、土地購入あり・なしの場合でそれぞれまとめました。

土地購入なしの場合

【2023年度 土地購入なしの場合の建築費 平均坪単価 地域別比較】
建築費家の
本体価格
延床面積平均坪単価
全国3,861万円2,703万円119.5㎡
(36.1坪)
約74.9万円
首都圏4,190万円2,933万円120.4㎡
(36.4坪)
約80.6万円
近畿圏4,142万円2,899万円123.2㎡
(37.3坪)
約77.7万円
東海圏3,893万円2,725万円125.2㎡
(37.9坪)
約71.2万円
その他
地域
3,624万円2,537万円118.0㎡
(35.7坪)
約71.0万円

参考:フラット35利用者調査「2023年度」

土地購入なしの場合、平均坪単価が一番高いのは首都圏、一番安いのはその他地域となりました。

全般的に資材費・人件費等の高騰により建築費が上昇しています。
また都市部においては、「狭小地」と呼ばれる、施工費用が高くなる狭い土地での施工が増える傾向にあるため、坪単価が高めに出たと考えられます。

土地購入ありの場合

【2023年度 土地購入ありの場合の建築費 平均坪単価 地域別比較】
建築費家の
本体価格
延床面積平均坪単価
全国3,406万円2,384万円111.2㎡
(33.6坪)
約71.0万円
首都圏3,402万円2,381万円108.8㎡
(33坪)
約72.2万円
近畿圏3,415万円2,391万円113.5㎡
(34.3坪)
約69.7万円
東海圏3,491万円2,444万円114.7㎡
(34.7坪)
約70.4万円
その他地域3,384万円2,369万円110.8㎡
(33.5坪)
約70.7万円

参考:フラット35利用者調査「2023年度」

土地購入ありの場合、平均坪単価が一番高いのは首都圏、一番安いのは近畿圏となりました。
土地購入なしに比べて、土地代金を支払う必要がある分、建築費は抑えめにしているのがうかがえます。

2-2.構造別に見る建築費の「平均坪単価」の比較

2023年「建築着工統計調査 住宅着工統計」に基づく、構造別の平均坪単価は下記の通りです。

2023年 構造別に見る平均坪単価

  • 木造:約66.0万円
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造:約82.5万円
  • RC造(鉄筋コンクリート造):約122.1万円
  • 鉄骨造:約105.6万円

※1㎡あたり工事費予定額に、3.3をかけて坪単価を算出しています。

参考:e-Stat「建築着工統計調査 住宅着工統計 2023年」

RC造(鉄筋コンクリート造)が一番高く、木造が一番安い結果となりました。
施工する地域や土地の形状、工法によっても坪単価は異なります。

3.大手ハウスメーカーと工務店、どっちがお得か比較

大手ハウスメーカーと工務店ではどちらがお得か比較しやすいよう、坪単価目安とメリット・デメリットを解説します。

【大手ハウスメーカーと工務店の坪単価目安とメリット・デメリット 比較】
大手ハウスメーカー工務店
坪単価目安80万~100万円50万~70万円
メリット
  • 品質が安定している傾向がある
  • 木造だけではなく、鉄骨造も選べる可能性がある
  • 全国展開しているメーカーが多い
  • 保証制度が充実している
  • コストを抑えられる
  • 自由度が高い
  • 地域密着型で、その地域の特性をよく知っている
デメリット
  • コストが高くつきやすい
  • 技術力・保証内容に差が出やすい
  • 施工地域が限られるため、対応していない可能性がある

坪単価のみで見ると、大手ハウスメーカーよりも工務店のほうがお得といえます。
ただし、工務店は技術力や保証内容に差が出やすいため、将来のメンテナンス費用もきちんと比較・検討した上でどこに依頼するかを決めましょう。

3-1.大手ハウスメーカーと工務店で坪単価の差が出るポイントは?

大手ハウスメーカーと工務店で坪単価の差が出るポイントは下記の通りです。

  • 開発費
  • 人件費
  • 広告宣伝費

開発費

大手ハウスメーカーでは、性能や素材・工法など、日々よりよい商品のために開発を進めていることが多く、開発する際の試験や、人件費、研究費がかかる分、坪単価が高くなりがちです。

人件費

大手ハウスメーカーは、住宅展示場にモデルハウスを出展していることが多いです。
そのため、モデルハウスを案内する人の人件費などが、工務店と比べてかかります。

広告宣伝費

大手ハウスメーカーは、CMやネット広告等を積極的に行っていることが多いです。
そのため、広告宣伝費が工務店と比べてかかります。

ハウスメーカーによって、得意な構造・工法が異なり、会社規模や地域によっても建築費用もそれぞれ違いはでてきます。
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4.坪単価を抑える3つのコツ

坪単価を抑える3つのコツは下記の通りです。

坪単価を抑える3つのコツ

  • 凹凸を減らしてシンプルなつくりにする
  • 不要な壁や扉を減らす
  • 複数社から見積りをとり、比較・検討する

それぞれ解説します。

4-1.凹凸を減らしてシンプルなつくりにする

長方形、または正方形など、箱型に近いほど工数が減るため建築費が安くなります。
土地の形状がシンプルな場合は、家のつくりもシンプルにするとよいでしょう。

4-2.不要な壁や扉を減らす

壁や扉が多いほど手間がかかり、人件費や材料費がかさみます。
広い空間にして、仕切りたい場合にはカーテンやパーテーションを使うようにするとよいでしょう。

収納スペースの扉を減らす、1階と2階を吹き抜けにするなどもコストを減らせるポイントです。

4-3.複数社から見積りをとり、比較・検討する

ハウスメーカー・工務店によって、得意分野が異なります。
例えば、狭い土地での施工が得意なメーカーと苦手なメーカーでは、苦手なメーカーのほうが建築費が高くつきます。

そのため、複数社から見積りをとり、比較・検討することで坪単価を見極めることが重要です。

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この記事のポイント まとめ

注文住宅の坪単価とは?

坪単価は床面積1坪(約3.3㎡)当たりの建築費がいくらになるか計算したものです。

下記の計算式で求められます。

家の本体価格÷延床面積(建物の床面積の合計)=坪単価

坪単価別に「家の造り」の違いを比較

坪単価別に「家の造り」と「こんな人におすすめ」の違いを比較します。

【坪単価別の家の特徴とおすすめの人】
坪単価家の造りの特徴おすすめの人
40万円
以内
  • 建売住宅と同程度のグレードの家になる
  • 既存のプランから選ぶケースが多い
  • 外観等、基本的にシンプルな家になる
  • コストを抑えたい人
  • あまりこだわりがない人
40万~
50万円
以内
  • 外観等、基本的にシンプルな家になる
  • 部分的にオプション仕様を選ぶことができる
  • コストを抑えたい人
  • 一部、オプション仕様を入れたい人
50万~
60万円台
  • 凹凸のあるデザイン等、好みの外観にできる
  • 床材・壁材等、グレードアップが可能になる
  • 外観・内装にこだわりたい人
70万~
80万円台
  • オリジナリティあふれる外観等、自由度が高い家づくりが可能になる
  • 設備のグレードアップが可能になる
  • 耐久性・断熱性の高い素材に変更できる
  • 外観・内装にこだわりたい人
  • 太陽光発電等、省エネ設備を取り入れたい人
80万円
以上
  • 全体的に、自由度が高い家づくりが可能になる
  • 中庭等、費用がかかる形状の家が可能になる
  • グレードの高い素材を選ぶことができ、選択肢の幅が広がる
  • 耐震性・断熱性の高い家になる
  • HEMS(ヘムス)の導入ができる
  • 理想の家づくりを実現させたい人
  • 太陽光発電等、省エネ設備を取り入れたい人
  • 初期費用が高くついても、将来的なメンテナンス費用を抑えたい人

詳細は「1.注文住宅の坪単価とは?」で解説しています。

建築費の平均坪単価

2023年度 全国平均坪単価

  • 土地購入なし:約74.9万円
  • 土地購入あり:約71.0万円

※建築費全体の70%を「家の本体価格」として算出し、平均坪単価を計算しています。

2023年 構造から比較する平均坪単価

  • 木造:約66.0万円
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造:約82.5万円
  • RC造(鉄筋コンクリート造):約122.1万円
  • 鉄骨造:約105.6万円

※1㎡あたり工事費予定額に、3.3をかけて坪単価を算出しています。

詳細は「2.建築費の「平均坪単価」を様々な角度から比較」で解説しています。

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この記事の編集者

「家づくりのとびら」編集部

NTTデータグループが運営する注文住宅相談サービス「家づくりのとびら」編集部です。難しい住まいづくりの情報を、わかりやすく正確にお伝えします。記事は不動産鑑定士や宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修記事がメイン。初めての住まいづくりをサポートします!

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