注文住宅は坪単価だけでは判断できない?低価格=お得とは限らない理由とは

注文住宅を検討する際には、坪単価について知っておくことが大切です。この坪単価は住宅メーカーによって額が異なるものの、「そもそも坪単価ってなに?」「いくらくらいが妥当?」という疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

本記事では坪単価の内容や相場、坪単価別にどのような家が建てられるかについて紹介します。

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1. 新築注文住宅の坪単価とは?

坪単価とは、1坪当たりに必要な建築費用のことです。ここでは、坪単価の意味や相場、計算方法について紹介します。

1-1.1坪当たりに必要になる建築費

坪単価は床面積1坪当たりの建築費が、いくらになるかを算出した数字です。1坪は約3.3平米で、畳ならば約2枚分。坪単価は住宅メーカーの広告でもよく見かけるもので、家を建てる際に必要な建築費の目安として参考にされています。

1-2.坪単価の相場

住宅金融支援機構の「2019年フラット35利用者調査」では、2019年における注文住宅の所要資金の平均価格は3,454万円で、延床面積の全国平均は125.8平米です。この数値から平均的な坪単価を計算すると、90.6万円になります。

参照:住宅金融支援機構「2019年フラット35利用者調査

注文住宅の工法は4種類あり、各工法の坪単価は以下に示す通りです。

工法坪単価目安メリット・特徴
在来工法(木造軸組工法)50万円~70万円
  • 耐震性に優れる
  • 建築後のリフォーム、間取り変更がしやすい
ツーバイフォー工法30万円~60万円
  • 耐震性に優れる
  • 工期が短く、コストが抑えられる
木質パネル工法60万円~80万円
  • 耐震性に優れる
  • 工期が短い
鉄骨系ブレハブ工法50万円~70万円
  • 大手住宅メーカーの採用が多い
  • 工期が短い

1-3.坪単価の計算方法

坪単価は次の計算式で算出します。

家の本体価格÷延床面積(建物の床面積の合計)=坪単価

例えば、坪単価90万円で注文住宅を建てようとした場合、延床面積40坪の家であれば3,600万円の建築費が必要です。

この計算に用いる本体価格とは本体工事の費用で、全体の約70%に当たります。このほかに既存建物の解体費や地盤改良工事、外構工事などの付帯工事費が20%、ローンの手数料や登記などの諸費用が10%かかります。

注文住宅の費用内訳のイメージ

坪単価の計算方法だけを見れば、坪単価の低い住宅メーカーを選べば費用を抑えられると考えられます。実際には、坪単価と延床面積を計算して総工費を割り出してみたものの、かかった費用はもっと高かったというケースは少なくありません。

なぜこのようなことが起こるか、次の項目で詳しく解説します。

2. 坪単価は各住宅メーカーで求め方が変わる

坪単価は各住宅メーカーで求め方が変わるのイメージ

坪単価の計算方法には特別な決まりがなく、必ずしも延床面積をもとに計算している住宅メーカーばかりではありません。ほかにどのような計算方法があるのでしょうか。

2-1.算出方法は延床面積と施工面積の2つ

坪単価は延床面積をもとにした計算ではなく、施工面積で計算している住宅メーカーもあります。施工面積とはベランダや地下室、玄関ポーチなど建築基準法で延床面積には含まれない部分を含めた面積です。延床面積よりも広くなり、延床面積で計算した場合よりも坪単価が下がります。

しかし、建築費自体は延床面積で計算した場合と変わらないため、実際に支払うときに考えていたよりも高くなったという印象になることも。坪単価を見るときは、計算の基準が延床面積か施工面積かを確かめておいてください

2-2.本体価格に含める費用も異なる

本体価格に照明器具などの設備、電気やガスの配管費用などを含めている場合もあり、この場合は坪単価が上がります。同じ施工方法で間取りが同じ家でも坪単価が違うのは、本体価格に別の費用が含まれている可能性があるでしょう。坪単価が上がりますが、付帯工事として追加になる費用は少なくなります。

無料相談の際は、坪単価を計算している本体価格には何が含まれているかも確認してください

2-3.坪単価の算出方法が同じ住宅メーカーで比較する

算出方法が異なる住宅メーカーの比較は、基準が違うため、正しい情報は得られません。そのため、坪単価の算出方法が同じ住宅メーカー同士でのプラン比較が必要です。希望する広さの家を比較し、どのくらいの予算ならば自分の希望に合う家が建てられるかを確認する目安になるでしょう。

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3. 坪単価別の注文住宅の傾向

坪単価別の注文住宅の傾向のイメージ

坪単価は計算方法によって異なりますが、どの程度の建築ができるかの目安になるでしょう。ここでは、坪単価ごとの注文住宅の内容にはどのような傾向があるのかを紹介します。

3-1.40万円以内:性能を保ちつつ建築費を抑える

坪単価を40万円以内に抑える場合、注文住宅としてのメリットはあまり得られないかもしれません。建売住宅と同じ程度の設備グレードで、いくつかのプランから選ぶようになる場合も多いでしょう。

例えば延床面積の坪単価が30万円で30坪の場合であれば、本体価格は900万円です。このほかに別途工事費や諸費用が約20%かかりますが、1,000万円以内に抑えることも可能です。

コストを抑えるための工夫が行われているのが特徴で、外観は基本的にシンプルなものになるでしょう。既存のプランをもとにいくつかの変更を加えるセミオーダータイプは、設計費用も低く抑えられます。

予算はかけられないものの、建売住宅にこだわりの部分を付け加えたいという場合におすすめの価格帯です。住宅メーカーを選ぶ際には、どのような工夫でコストを抑えているかを確認するとよいでしょう。

3-2.40万〜50万円:予算配分により希望が叶う

坪単価40万〜50万円は、延床面積が30坪の場合であれば総工費が1,400万~1,800万円程になります。コストを抑えながらも予算配分をうまく行えば、希望が叶いやすい坪単価といえるでしょう。コストを抑えるために室内ドアには既製品を使い、長い時間を過ごすリビングの内装は豪華にするなど、1点豪華主義のプランが可能です。

外観をシンプルにすることで、耐震性の高いシステムを導入することもできます。揺れを大幅に低減する、繰り返す余震にも強い工法など耐震性能にコストをかければ、より安心して暮らせるでしょう。

太陽光発電や自然の風を取り入れるドアなど、自然を上手に取り入れた住宅も実現できる価格帯です。生活の中で何を一番優先したいかを考え、上手にプランニングするとよいでしょう。

3-3.50万〜60万円:グレードの高い設備も可能

坪単価が50万〜60万円になると住宅メーカーの選択肢が広がります。延床面積が30坪の場合、総工費は約1,800万~2,000万円ほど。すべてを叶えようとすると予算オーバーになりますが、バランスをうまくとれば希望の間取りや設備が実現しやすいでしょう。

この価格帯であれば、凹凸のあるデザインなど好みに合わせた外観にすることも可能です。フローリングには柔らかい無垢材を使う、キッチンの壁には防汚クロスを貼るなど、選べる内装のバリエーションも広がるでしょう。メリハリのある予算配分で、憧れの住まいが実現します。初期投資として、外壁材や屋根材にメンテナンスフリーのものを選べば将来のランニングコストが抑えられるでしょう。

3-4.70万〜80万円:省エネに配慮した設備などの導入もできる

70万~80万円の坪単価になると、延床面積を30坪とした場合の総工費は2,300万円〜2,800万円ほどになり、実現できるものの幅がかなり広がります。こだわりの間取りや外観、設備などを実現しやすいでしょう。

高効率給湯器や太陽光発電といったエコロジーな設備を選ぶ、オリジナリティのあるデザインの外観にする、設備をグレードアップするなどの希望が叶えられます。外壁や屋根に耐久性の高い素材を使ったり、断熱効果を高めたり、よりよい暮らしにする工夫も施せるでしょう。

3-5.80万円以上:プランの幅が大きく広がる

坪単価80万円以上はプランの幅が大きく広がり、より自由度が高くなる価格帯です。延床面積が30坪の場合には総工費が2,800万円以上となり、ほぼ思い描いた理想通りの家を建てることも可能でしょう。

全体のグレードを高めることもできますが、あとから変更できる壁紙などはコストを抑え、交換の効かない耐震性や断熱性には最新技術を取り入れることもでき、選択肢が豊富。エネルギー消費を見える化し、省エネができるHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の導入も可能です。初期費用はかかるものの、長期的に考えれば節約にもなるでしょう。床に段差をつけ天井は高くして変化に富んだ空間を作ったり、結露しにくい樹脂サッシの窓を採用したりなどこだわりの家づくりを楽しめます。

この価格帯では望むものが手に入りやすいものの、すべてのグレードを高めようとすると予算を超える可能性もあるので注意してください。こだわりの強いものから順に優先順位をつけておくのがおすすめです

4.坪単価をできるだけ抑える方法

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希望の家を建てるには予算が足りないという場合、坪単価をできるだけ抑えなければなりません。ここでは、効率よく坪単価を抑える方法について紹介します。

4-1.優先順位をつけて必要なものを絞る

予算内で希望をすべて叶えることが難しい場合、実現したいものに優先順位をつけてみてください。住宅メーカーのカタログを見ていると「あれもこれもいい」とキリがなくなるため、いったんそこから離れてノートに希望を書き出してみるとよいでしょう。

すべて書き出したならば夫婦で意見が一致したものや、これだけは譲れないというものをよく話し合って10個程度に絞り込み、順位をつけます。作り上げた優先順位のリストに従って検討していけば、予算の範囲内で効率のよい家づくりができるでしょう。

4-2.不要な壁や扉を減らす

コストを抑えるには、できるだけ間取りを少なくすることがコツです。壁や扉が多いほど手間がかかり、人件費や材料費がかさみます。広い空間にして、仕切りたい場合にはカーテンやパーテーションを使うようにするとよいでしょう。予算が抑えられるだけではなく、柔軟に部屋の模様替えができるようになるため、家族が増えるなど環境が変わっても住みよい空間を作れます。

さらに収納スペースの扉を減らす、1階と2階を吹き抜けにするなどもコストを減らせるポイントです。より開放的な空間になるというメリットもあります。

また、建築費の多くを占める門扉やフェンスを設けないことで大幅なコストダウンができます。門扉やフェンス代わりに植木を置くのもひとつのアイデアです。

4-3.凹凸を減らしてシンプルな外観にする

建築費で一番コストがかかるのが、外壁や屋根など家の外側の基礎となる部分です。同じ面積でも凹凸のある複雑な形状の家は手間がかかります。必要になる資材が増え、内部構造も複雑になるので作業が増えることになるのです。この作業をシンプルにすることでも、大幅なコストカットを叶えられます。

とはいえ、長く暮らす家ならばデザイン性にもこだわりたいものです。ほかの部分とのバランスをとりながら、優先順位が高いところに予算をかけるなどの工夫をして、後悔のない家づくりを行ってください。

5. 注文住宅は坪単価だけで判断するのは避けよう

注文住宅は坪単価だけで判断するのは避けようのイメージ

注文住宅を予算に合わせることは大切ですが、坪単価ばかりではなくプランの内容にも目を向けることが大切です。

5-1.将来のメンテナンスも考える

家は完成すればそれでよいというわけではありません。暮らしていくなかで様々なコストがかかります。外壁や屋根、内装などの予算を抑えたばかりに、将来のメンテナンスにコストがかかるといったリスクを背負う可能性もあるでしょう。最低限の材料で仕上げた場合、張り替えや塗り替えが必要になる時期は早く訪れます。コストカットする場合にも、その分メンテナンスの費用が必要になることを把握しておくことが大切です。

5-2.ランニングコストも計算に入れておこう

断熱性や機密性を高める設備には初期費用がかかります。しかし、それをカットすれば当然ながら設備を整えた場合よりも光熱費がかさむでしょう。初期費用を抑えた分、ランニングコストがかかる場合のことも計算に入れておいてください。

6.注文住宅は坪単価基準の違いを理解してから相談しましょう

注文住宅は坪単価基準の違いを理解してから相談しましょうのイメージ

本記事では、注文住宅の坪単価について紹介しました。坪単価は住宅メーカーごとに計算方法が異なります。施工面積をもとにした計算の場合には、考えていたよりも費用がかかったと感じるかもしれません。坪単価の基準は各社で異なることを理解し、ぜひ理想の我が家を手に入れてください。

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この記事の編集者

「家づくりのとびら」編集部

NTTデータグループが運営する注文住宅相談サービス「家づくりのとびら」編集部です。難しい住まいづくりの情報を、わかりやすく正確にお伝えします。記事は不動産鑑定士や宅地建物取引士などの不動産専門家による執筆、監修記事がメイン。初めての住まいづくりをサポートします!

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